漫画家の水島新司さんが82歳で亡くなったことが17日に明らかになりました。断筆(引退)宣言した2020年から病気療養を続けていたそうです。

「ドカベン」「野球狂の詩」「あぶさん」など多くのファンに親しまれた野球漫画を送り続けていただけにテレビや新聞での訃報の取り上げ方は独特でした。漫画家のような文化人の訃報は一般ニュースの項目として扱うことが一般的ですが、水島さんの場合はスポーツニュースの項目として扱った番組が散見されたのです。水島さんの漫画を見てプロ野球を志した選手が現役・OB問わずに多くいること、作品を通して提言を続けたことなどで野球界の発展に大きく貢献したからスポーツニュースとして扱おうと考えたのかもしれません。また、スポーツ紙では翌日18日の1面にもってきたところがありました。新聞によってはそれに続く2面、3面の関連記事を文化・芸能関係ではなくプロ野球関係の記事として扱い、選手や球界関係者のコメントを多く掲載していました。こういう漫画家、見た記憶ありません。それだけ球界に水島さんを尊敬する人がいるのかもしれません。

私はアニメの再放送で「ドカベン」「野球狂の詩」を見たことあります。また、「あぶさん」は完結直後に刊行されたコンビニコミックの傑作選全5巻で読み通しました。「ドカベン」は中高生向けの少年チャンピオンで掲載されていたからかかなりドラマティックなシーンが描かれましたが、ビッグコミックオリジナルで掲載された「あぶさん」は野球シーンだけでなく人間ドラマにもリアルさを感じたものです。また読み返して水島さんの世界観を楽しもうと思います。では、また次回です。
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マリナーズのアドバイザーとして活躍しているイチローさんが、恒例となった草野球「神戸智辯」の試合を18日に神戸で行いました。今回の対戦相手は高校女子選抜チーム。今年夏の高校女子選手権決勝が甲子園で初めて行われたのが大きな話題になりましたが、この開催をきっかけになって生まれた競技力向上のプロジェクトの一環として行われたとか。イチローさんが17奪三振完封してしまったことが大きく取り上げられましたが、その一方で甲子園でプレーした選手を含めた女子選手の奮闘ぶりも各メディアで報道されました。

さて、女子野球といえば両国国技館で行われたファン感謝デーで、巨人が来年春に女子部門を立ち上げることを発表したのがこれまた話題になりました。まずは高校卒業見込み2人と大学卒業見込み1人と契約し、来年更に練習会やトライアウトを行って選手の採用を進めたうえで再来年に公式戦に参入することを目指します。現存最古のプロ野球チームの参入ということで業界内ざわついているようですが、実はおととしに埼玉西武ライオンズレディース、昨年に阪神タイガースウイメンとNPB球団の女子野球参入は相次いでいます。それに巨人は以前から関東の社会人チームや高校・大学の野球部が集まるリーグ戦「ヴィーナスリーグ」を、阪神は「ヴィーナスリーグ」同様に関西のチームを集めて行う「ラッキーリーグ」を後援しています。NPBでも前々から多少なり女子野球に対する興味があったといえるかもしれません。それが女子チーム発足という形で拍車がかかっているともいえるかもしれません。

そういえば、「女子プロ野球ってどうなった?」という疑問を抱く人もいるでしょう。サプリメント会社のわかさ生活が興した女子プロ野球リーグは2009年に関西で産声を上げ、その後愛知や埼玉でもチームが設けられましたが慢性的な赤字経営が響き給料遅配に業を煮やした選手が次々と退団。昨年まではギリギリの人数で試合を行っていましたが、今年になって残っていた選手たちもやめ「開店休業」状態になってしまいました。コロナ渦も影響したようです。リーマンショックがだめを押すような形で「開店休業」状態に追い込まれたマスターズリーグ(NPBのOBが現役時代に所属したチームの垣根を超えたチームで11月から翌年2月にかけて戦ったリーグ)の二の舞になってしまいました。マスターズリーグにしても女子プロ野球リーグにしてもある程度スポンサーは集まっていましたが、運営母体がぜい弱なところがあったから経済の大きな波に吞み込まれてしまったのかもしれません。

ただ、NPBの球団が女子部門を立ち上げたことは光明になるかもしれません。それに女子侍ジャパンに選出される選手がみんな女子プロ野球リーグの選手で占められることもなく、女子プロ野球リーグも関わっている女子野球の統括組織はまだ健在です。わかさ生活がいろいろな意味で一人で抱え込むのではなく、NPBと女子野球の統括組織が協力し合って若い人たちが目標にするようなリーグとして女子プロ野球を復興させることを期待したいです。では、また次回です。
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11月に始まったNHKの朝ドラ「カムカムエブリバディ」。およそ100年にわたる家族の歴史を描く物語ということで、朝ドラでは珍しく主人公が3人入れ替わりで登場することで話題を集めています。

現在は上白石萌音さん演じる最初の主人公・雉間安子(きじま・やすこ)が物語の中心になっていて2人目の主人公・るいの幼少期も描かれています。その安子の嫁ぎ先は戦前から戦時中にかけて大儲けした衣料品メーカー。ストーンズの松村北斗さん演じるその家の長男・稔と英語とルイアームストロングの唄が縁になって結ばれました。雉間家には野球に打ち込んでいた次男・勇もいます。村上虹郎さん演じる勇も安子に恋心を抱いていて、一時はアニメ「タッチ」のような三角関係になっていました。

勇の進路について思うことがありました。現在の制度に当てはめれば高校の最終学年になる中学5年の時、夏の甲子園大会が中止になり勇は目標を見失ってしまいます。ただ、野球への情熱は冷めることなく大学に進学して野球を続けることになったのです。その後、戦争が激化して学徒動員などの影響で大学野球も途絶えてしまい勇は野球を辞めることになりましたが、もしも大学進学ではなく職業野球、すなわちプロ野球を選んでいたら…。

NHKで2017年夏に放送されたドラマ特番「1942年のプレイボール」で描かれた1リーグ時代の名選手で、仲野太賀さん演じる野口二郎は大学ではなくプロ野球を選びました
(史実では現在の中京大中京高校を卒業して法政大学に進んだもののほどなく中退している)。二郎が中学を卒業するころに野口家の商売が右肩下がりになったため、家族を助けたいという思いでプロの世界に飛び込んだと描かれています。雉間家が裕福だったから二郎のような選択をする必要がなかったかもしれないし、プロ野球が黎明期で大学野球より格下に見られていた、もっといえば「野球で飯を食おうなんてけしからん」という風潮があったかもしれません。

「カムカムエブリバディ」のエピソードとしては本流のものではないでしょうが、プロ野球がこどもたちの夢にも野球をする学生たちの大きな目標にもならなかった時代があることを痛感した次第です。では、また次回です。
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北海道日本ハムがOBの新庄剛志さんを来年からの監督に迎えることになりました。4日の会見には本人らしいド派手な格好で登場し、本人らしく破天荒な目標をぶち上げました。

驚いたのは優勝を目指さないというんです。ただ、これは単なる戦闘放棄ではありません。「高い目標を持ちすぎると、選手はうまくいかない」(スポーツ報知5日付)からで、地道に力をつけていって9月あたりに優勝を争う位置にいれば優勝を現実的な目標にするというわけです。派手なイメージが強い新庄さんにしては意外に見えるかもしれませんが、監督の仕事を真剣に取り組もうと考えている表れといえるかもしれません。真剣さを感じられるのは背番号にも見えるかもしれません。本人が現役引退時に使っていて、斎藤佑樹投手の引退で来年から空き番になる「1」を希望していますが、「スター候補が育つまでは僕がつける」というんです。チームをけん引できるような存在を新庄さんなりに育てたいという強い思いがあるのかもしれません。

他にらしさをみせたのは呼び方。「監督」でも「新庄さん」でものなく「ビッグボス」にしてほしいとのこと。一時期暮らしていたバリ島の人たちにこう呼ばれていたそうで、監督になってからもこの呼び方をしてほしいというんです。また、「ファン投票でスタメンを決めたい」「試合中にインスタライブをしたい」など独特なプランをいくつも出してきています。現役時代、引退後通じて常に人々をあっと言わせ続けた新庄さんですから、あながち夢物語と片付けるわけにはいかないかもしれません。

北海道日本ハムといえば、監督として侍ジャパンを金メダルに導いた稲葉篤紀さんが、侍ジャパンへの出向から球団に戻りGMになります。2006年の日本一に貢献した二人によるチーム再建がどうなるか、来年のプロ野球で一番の関心事になるかもしれません。では、また次回です。
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プロ野球セ・パ両リーグの優勝が26日、27日と相次いで決まりました。セリーグは26日に東京ヤクルトが6年ぶり、パリーグは27日にオリックスが26年ぶりに優勝を果たしました。気になったのは優勝してからのことです。昨年はコロナ禍による警戒が強かったからか、パリーグ優勝の福岡ソフトバンクはリーグ優勝でも日本一でも胴上げしませんでしたし、セリーグ優勝の巨人は円陣の真ん中でごくわずかのコーチとチームスタッフで原監督を胴上げという簡素なものになりました。ビールかけは両チームともやりませんでした。

さて、今年はどうかというと、少し普段に近くなったようです。セリーグ優勝の東京ヤクルトはアウェイでの決着になったのでダラダラとはできなかったものの、普通通りの胴上げになりました。一方、パリーグ優勝のオリックスは2位の千葉ロッテの負けで決定したため、無人の京セラドームで普通の胴上げになりました。ホームでの決定だったため中島監督からコーチ、選手と入れ代わり立ち代わりでの胴上げになりました。関係者と報道陣しかいないグラウンドだったことを除けば本当にいつも通りになったといえるでしょう。ただ、両チームともビールかけは行いませんでした。コロナへの不安、警戒が完全に払しょくできないうちはまだ難しいのかもしれません。ですが、喜びを素直に分かち合える環境が戻りつつあることは確かかもしれません。

今シーズンもオリンピックで休止期間があったため日本シリーズの決着は11月下旬になる見通し。もう少し野球を楽しむ時間があります。それに観客受け入れ上限が2万人程度まで増える可能性もあるとのこと。少しずつ普通通りに戻ってくる熱狂を楽しみましょう。では、また次回です。
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