例年なら11月に行われているバレーボールのワールドカップですが、今回は夏場の開催ということでちょっと不思議な雰囲気があります。タイミング的に世界陸上北京大会と世界柔道カザフスタン大会と重なっているのもそうですし、スタンドの観客の格好も長袖ではなくて半袖が多くなっているし、ワールドカップの日本開催が定着してもうすぐ40年になりますが、今までにない雰囲気になっていますね。

さて、今回のバレーボールワールドカップで気になるのがチャレンジシステムの導入。テニスのウィンブルドン選手権のように判定に異議があるときに映像を見て判定が正しかったかどうかを見直すものですが、バレーボールの場合はテニスのようなバーチャルリアリティのような画像でなく、問題となったシーンのどアップが大型ビジョンに映し出されます。で、判定結果が字幕に出るのですが、日本戦でこんなチャレンジが唱えられ、日本に有利な判定が下るとやっぱり黄色い歓声が起こるんですね。テニスのときの盛り上がり方とは異質な感じがします。

大型ビジョンで判定が大写しになるバレーのチャレンジシステムを見ていて、大相撲にもこういうシステムがあればいいななんて考えてしまいました。まぁ、軍配をもらえなかった力士が異議を申し立てるチャレンジシステムのようなものはありませんが、ビデオ判定は70年代から導入されています。相撲の中での流れが重視されるため、映像で見えるものだけで判定を下すわけではないですが、判定の根拠を明確にさせるためにも、仮設の大型ビジョンを本場所の会場に置いてみてもいいのかなと思います。でも、映像を見たお客さんから判定に納得できないとブーイングが起きることもありそうなきがして怖くもありますが。

では、また次回です。
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高校野球100年という節目の年に行われた第97回全国高校野球選手権。好プレーもあれば、珍プレーもあり、パワーもテクニックも例年以上のたっぷり見られた、まさに100年という歴史の足跡を見せつけたような大会だったと思います。ただ、ひとつ物足りないところを除いて。

毎年、夏の甲子園では、テレビ朝日系列の地上波で開会式と決勝が全国ネットで生中継されていました。今年も、開会式の生中継は全国ネットでありました。しかし、決勝は全国ネットでの生中継はありませんでした。関西ではABCが全試合というわけではないですが、開催期間中連日生中継があるそうですし、地元チームが絡む試合を選んで系列局が単発的に放送することあるそうですが、関東では昼間の再放送でも視聴率がとれると評判のドラマ「相棒」を優先させるつもりか、今年の決勝の生中継はテレ朝の地上波では見られませんでした。

私は、子供のころからテレ朝での夏の甲子園の放送があればCMや必要以上にうるさい実況に嫌気する家族を横目にチャンネルをテレ朝に合わせていました。高校野球やプロ野球の阪神戦で甲子園という場所を知り尽くしているABCのアナウンサーが伝える熱戦は何度でも見たくなってしまいます。昔なら「甲子園は清原のためにあるのか!」、最近なら「甲子園で野球がしたい!」などの名文句も生まれていますが、これらはNHKででなくABCのアナウンサーが発したことばです。こんなフレーズも楽しみでした。しかし、今年は開会式だけだったというのはとにかくさびしかったですね。もはや、全試合完全生中継のBS朝日が見られるようにアンテナを買うか、ケーブルテレビと契約するしかないでしょうか?

それでは、また次回です。
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ドラマの放送が終わってからはあまり多く使われることがなくなってきましたが、それでも多少は使われる「ルーズベルトゲーム」という言葉。アメリカの大統領だったルーズベルトが「野球で一番面白いゲームは8-7で勝負がつくゲームだ」といったのがきっかけとなり、「ルーズベルトゲーム」という言葉がアメリカでまず有名になりました。そして、日本では昨年春に社会人野球をテーマにした小説「ルーズベルトゲーム」が原作のドラマが放送されるようになって、一気にこの言葉が市民権を得ました。そうすると、新聞やネットニュース(テキスト)の見出しに「ルーズベルトゲーム」というフレーズが多く使われるようになりました。

さて、この「ルーズベルトゲーム」という言葉は野球で一番盛り上がる点の取り合いをさしていますが、以前このブログで私は、サッカーで「ルーズベルトゲーム」と言えるスコアはどれくらいかと考えました。「本当の強さを示せるスコア」とか「ウノゼロ」とか象徴的なフレーズが使われる「1-0」とか、点の取り合いから見ごたえのある攻防が生まれる「2-1」とか、いろいろ意見がでそうだなんて考えましたが、異論を唱える人が出てきたようです。

その人とは某Jクラブの外国人監督です。彼はテレビでバルセロナがセビリアを5-4で破ったスペインのスーパーカップを見ていたようで、「日本では失点せずに守り勝つ試合の方が高い評価をされているようだが、ゴールがお互いにたくさん出る方が見ている人たちにとっては面白いはずだから、もっと評価したほうがいい」と考えたとか。確かに、たくさんゴールが見られる試合というのは面白いと思う人が多いでしょう。ただ、翻って考えると「大量失点なんてディフェンス陣はだらしない」と斬り捨てる人もいるんですよね。見ていても退屈しない、やる方の緊張感も持続できることを重点的に考えると、やっぱり「2-1」がサッカーのルーズベルトゲームに相応しいスコアなのかなと思います。

それでは、また次回です。
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高校野球が誕生して今年で100年、NPBのリーグがスタートして来年で80年(NPBの公式のプロフィールでは、巨人が設立された1934年がNPBの歴史が始まった年とされ、昨年をNPB誕生80年としていますが、プロチーム同士のリーグがスタートしたのは1936年です)と、野球界にとってメモリアルな年が続きます。そして今年は「戦後70年」でもあります。東京ドームの近くに太平洋戦争で命を落とした野球人(特にプロ野球関係者)の慰霊碑があります。そこには戦前の野球界を彩った人たちの名前も多く刻まれているそうです。そんな中、野球ができる平和をかみしめるための取り組みが進んでいます。その中心にいるのは、やはり、平和都市・広島を拠点に置く広島カープです。

原爆記念日の8月6日、広島のホームが広島市民球場だったころは、市民球場にほど近い広島市内の中心街であらゆる記念行事が行われていたため、交通に混乱が生じる可能性があるとしてホームゲームは市民球場でなく福山や呉、岡山県(県営球場や倉敷マスカットスタジアム)など別の会場を使っていました。しかし、ホームが広島市の中心街からやや離れたところのマツダスタジアムに移ってからはこういう配慮をする必要がなくなったからか、8月6日にマツダスタジアムでホームゲームをやるようになりました。

2013年8月6日、マツダスタジアムで初の原爆記念日でのホームゲーム(広島阪神)。この時には被爆しながらも残ったオルガンが球場に運び込まれ、被爆2世(被爆者の子供)であることをこの数年前にカミングアウトした吉川晃司さんが「イマジン」を歌ったり、事前に配布したフリーペーパーを掲げてもらって緑の輪を作って平和をアピールしたりしたそうです。この日は他のセリーグの試合会場でも平和を訴えるためのアトラクションが行われ、横浜DeNA巨人が行われた福島県郡山では、地元出身で評論家時代から復興支援に取り組み続けているDeNAの中畑監督を中心にした震災復興へのアピールも行われました。

そして、今年の8月6日、原爆投下からちょうど70年というこの日、マツダスタジアムで行われた阪神戦で広島の選手は側頭部に白いハトが描かれた帽子をかぶり、胸にPEACEと書かれ、背番号が86というユニフォームを着て戦いました。同じ背番号をつけて試合を行うのはセリーグでは初めての試みだったとか。パリーグでは、埼玉西武が鉄腕と称された西鉄時代の大エース稲尾和久さんの背番号24を没後に永久欠番にした際、ホームゲームではもちろんのこと、稲尾さんゆかりの場所でもあるアウェイの福岡で行われた福岡ソフトバンク戦でも埼玉西武の選手全員が背番号24をつけてプレーしたケースがあります。ただ、特定の人物の功績をたたえるために同じ背番号をつけることはあっても、人物とは関係ないメッセージを込めた背番号を作ってつけるケースは日本球界では初めてのようです。

「逆転の日本史」のような話になってしまいますが、もしも沢村栄治や景浦将が生き延びて戦後にグラウンドに戻ってきたら…、夏の甲子園決勝でノーヒッターになった嶋清一が戦争で死なずにプロのマウンドに上がっていたら…日本のプロ野球はどこかしら変わっていたかもしれません。今のような繁栄に導かれていく変化かもしれないし、逆に衰退へたどってしまう変化かもしれません。ともあれ、そんな空想・妄想をいつまでも話せるような、そしていつまでも野球を楽しめるような幸せを感じ続けたいですね。

では、また次回です。
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