この1週間というもの、卓球業界がざわついていました。

21日に福原愛さんが現役引退を本人のブログとウェイボー(中国版ツイッター)で公表し、23日には会見で改めて引退に至るまでの経緯や今後について説明しました。福原さんの会見についてはどのメディアも完璧だとか2018年最高だと評し、粗を探すような動きは見られません(もしかしたら29日以降に発売される週刊誌などで粗探しが始まるかもしれませんが)。

福原さんは、「卓球って暗いよね」ととあるタレントがテレビのトーク番組で発言したのがきっかけで植え付けられたと言われているネガティブイメージを払拭し、人気スポーツにまで押し上げた張本人と言っても過言ではないでしょう。また、同業者が週刊誌で「海外での実績しかなく全日本のシングルスで勝てない福原を重用するのはおかしい」と批判を展開したことがありましたが、世界最強と言われる中国との実力差を詰めた功績はこの批判で揺らぐことはありませんでした。
でも、なんだかんだ言っても浅田真央さんが出現して「真央ちゃんみたいになりたい」とフィギュアスケートを始める子どもがたくさん出てその子どもの中から次代を担う選手が現れたように、福原さんが子どもの頃からあらゆるメディアに登場し実績を積んでいき「愛ちゃんみたいになりたい」と卓球を始める子どもがたくさん出てその子どもの中から次代を担う選手も現れたことこそ福原さんの一番の功績かもしれません。福原さん本人「これだけ頼もしい人が現れたなら自分が前に出る必要はもうないと思ったから引退を決断した」と説明しているわけだし。
ウェイボーを見た中国の人達からは感謝や賞讃の声が絶えないそうです。旧満州地域の人のような訛りがあると言われるくらいに中国語を何の不自由もなく話し、「中国で一番有名な日本の著名人」と言われるだけあります。

そして、24日には日本初のプロリーグ・Tリーグが始まりました。両国国技館で開幕戦が行われましたが、両国国技館だからか、演出がボクシングの世界タイトルマッチみたいに見えました。ただ、Tリーグが業界でどんな位置づけになるかはまだはっきりしない印象もあります。大げさな言い方になりますが、Tリーグは「福原愛以後」の日本卓球の方向性を左右しかねない存在になるかもしれません。かつて福原さんが活躍した中国のスーパーリーグや水谷隼選手らが奮闘したドイツのブンデスリーガ、昨年生まれたシンガポールのアジア太平洋リーグなどのように世界トップクラスの選手達が参加したいと思えるような存在になれることを期待していきましょう。

では、また次回です。
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16日発売の東京スポーツ裏1面で、団体の垣根を越えたプロレスオールスター戦が来年2月に行われる見通しとのニュースが掲載されました。昔よりかは団体間の垣根は低くなって違う団体同士の選手の試合が多くなっていますが、大同団結でのオールスターが開催されるのはかなり画期的なことのようです。

今回のオールスター大会はジャイアント馬場さんの没後20年の追善興行という形で行われるということですが、今年4月に亡くなった馬場さんの妻・元子さんが生前に「2019年に没後20年を迎えるのに合わせて何かしらのイベントをやって馬場さんを偲びたい」と近い人に話していたのがきっかけだったとか。日本のプロレス人気をアントニオ猪木さんらと共に確固たるものにまで押し上げた馬場さんだからこそ、こういう構想が持ち上がっても反対する人はきっといないでしょう。大手団体の全日本、新日本、ノアに加えて、馬場さんと縁が深い選手が所属する団体も協力を惜しまないということですし。

東スポによれば実現すれば4例目となるというオールスター大会。最初は東京スポーツ創刊20周年記念事業として1979年に行われた大会で、日本プロレスから新日本・全日本が分立してから初めて馬場・猪木コンビ(日本プロレス時代にはBI砲と呼ばれていた)が結成されて盛り上がったそうです。その後、東日本大震災復興支援イベントとして東京と仙台で開催され、来年にジャイアント馬場没後20年記念の大会が実施されれば7年ぶりになるそうです。

私はバスケットボールの国内主要リーグがNBLとbjリーグに分かれていた頃にプロレス団体のような分かれ方をしたからプロレスのように然るべきときに交流大会をすればいいなんて言ったことがありましたが、それはプロレスオールスターのような大々的なものが行われる前の段階の団体間交流をイメージしていたとはいえ、軽々に例え話に使うのは乱暴だなと今回の報道を見て感じているところです。

では、また次回です。
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7日に行われたワールドボクシングスーパーシリーズ(WBSS)のバンダム級トーナメント1回戦で井上尚弥選手が1ラウンド1分10秒でKO勝ちをおさめ、来年春に行われる見通しの準決勝に進みました。

日本人が戦った世界戦では最速となる時間での決着にも驚きましたが、試合前後の演出にも驚きました。選手入場直前に上映される映像(日本的に言えば「煽りVTR」)のナレーションは英語であからさまに煽るような物言いをすることがないし、選手が入場するときにはすぐにリングに上がらず「ポディウム」と呼ばれるお立ち台にあがるし、試合後の勝利インタビューでは英語のインタビュアーの質問を通訳が日本語に直して井上選手がそれに答えるし…と、今まで見たことがないものばかりでした。

特に不思議に感じたのは勝利インタビュー。メジャーリーグで日本人選手が放送している地元局のインタビューを受けているときに通訳の方が一緒にいるようなシーンを見たことありますが、それはアメリカ国内でやっていることなので不思議には感じませんでした。ただ、井上選手のインタビューは日本国内で行われた試合でのこと。日本人のインタビュアーがよどみなく質問して井上選手が普通に応えるインタビューも後にしてはいましたが、通訳を介するインタビューは不思議な感じでした。世界中に同時放送しているからそうしているようですが、日本国内で行われたスポーツイベントでこういうシーンを見た記憶はありません。サッカーのFIFA主催大会ではインタビューする選手に合わせてインタビュアーを立てているようで通訳を介するようなことはありません。その一方で、他の海外スポーツで日本人選手が活躍している様子を報じるニュースをテレビで見ていると日本人選手が英語でコメントするシーンが字幕つきで流れることも最近は多くあります。日本でこういう世界規模の大会が多く行われるようになるとこういうシーンが当たり前になるかもしれませんが、日本語でストレスなく語る姿が当たり前と思う意識は簡単には変えられず違和感が根強く残る気もするのは私だけでしょうか?

では、また次回です。
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現存最古の大相撲トーナメントである全日本力士選士権が行われた1日、日本相撲協会の理事会も行われ貴乃花親方の退職が受理されました。これで貴乃花部屋は解散となり、部屋の力士・関係者の受け入れ先は元小結隆三杉の千賀ノ浦部屋になります。

昔は親方が相撲協会から離れることを「退職」でなく「廃業」と言っていましたが(力士が親方にならずに引退する場合も廃業と言っていました)、今回の貴乃花親方のケースも、協会内でのトラブルが原因でなく自分の意思で相撲協会を退職した兄の花田虎上さんに続いて、昔なら「廃業」扱いになりそうです。現役時代に大きな功績を残した人が親方になったものの志半ばで「廃業」に追い込まれると、ほぼ毎回のように衝撃的なニュースになります。

例えば、元横綱輪島の花籠親方は借金のトラブルで廃業した時はスポーツ紙の1面になりました。原因が原因なのでテレビでは何日も大きく取り上げていました。元横綱北の富士の陣幕親方は元横綱千代の富士に九重親方の名前を引き継いだ後、理事選挙に敗れてほどなく退職。北の富士勝昭としてNHKの専属解説者などフリーの立場で活動する現在に至ります。今回の貴乃花親方のケースは、協会内の人間関係が原因という点では北の富士さんのケースに近いかと思いますが、弟子の暴行事件に端を発した親方の協会批判(攻撃?)が平年寄降格という形で収束したかと思ったところでの「爆弾投下」という形は北の富士さんのケースよりも衝撃的な印象があります。貴乃花親方は重大な決断をするときは誰にも相談しないことが多いと言われていますが、今回のような決断を回避するための方法が貴乃花親方にはなかったのかなと残念に思います。

弟子達は千賀ノ浦部屋へ移ることになりますが、部屋の合併・移籍は時として飛躍のチャンスになります。輪島が解散に追い込んでしまった花籠部屋の力士の中には放駒部屋に移った後に十両、幕内へと出世した人もいます。貴乃花部屋の力士の中には解散を知って涙した人もいるそうですが、新天地での飛躍へ頑張ってもらいたいところです。

では、また次回です。
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