101回目の夏の甲子園を目指した地方大会で代表が続々と決まっていますが、いよいよ今月終盤に入って関東や関西の激戦区の代表も決まります。そんな中、有力校が地方大会で敗れる波乱がいくつも報じられています。

選抜優勝の愛知・東邦がおよそ50年ぶりになるという早さで敗れてしまったのをはじめ選抜出場校や上位シード校が早い段階で敗れることが例年より多いようで、スポーツ紙には敗退校一覧表が掲載されるありさまです。高校野球はじめ学生スポーツには定期的な代替わりというのが宿命なので有力校といってもこれまでの実力を維持できないことだってあります。1人の指導者が何十年にもわたって指導・強化している学校だって甲子園出場のブランクができることがありますが、実力を維持するための方法、方針がしっかりしたものになると何度も甲子園に出場できるようになるかもしれません。それは指導者が培った方法だけではなく、生徒・選手が代々受け継いでいった観念的なものや指導者と選手の間の信頼関係というのもあるでしょう。観念的なものや信頼関係は私立だけでなく公立の学校にもあるかもしれません。そういう信頼関係や指導方針が問われる競技もあります。それは野球の大会ではなくサッカーの大会です。

高校生年代の最強チームを決める高円宮杯全日本ユース選手権は、元々地方大会を勝ち抜いたJリーグのユースチームや高校のサッカー部が集まって予選リーグと決勝トーナメントを行うものでしたが、現在は高校生年代通年制統一リーグになっています。最高峰にあるのが東日本と西日本のプレミアリーグで、その下に各地区のプリンスリーグ、都府県毎のリーグが続きます。で、日本一になるには東西のプレミアリーグを制したチーム同士の王座決定戦に勝つことが必要になります。「都道府県リーグからこつこつ勝ち上がらないと日本一になる資格が得られないのは意味がない」という人もいますが、その時々だけでなく長く築き上げたものどれだけ強固なものが問われる大会というのも大きな意味があるのではと思っています。100年を超える歴史がある高校野球にもこういうものが問われる全国規模のリーグがあってもいいのではないかと思ってきました。

では、また次回です。
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昨年は春が90回、夏が100回と高校野球の甲子園大会が相次いで節目を迎えましたが、今年は社会人野球の都市対抗大会が90回の節目を迎えました。春のセンバツ高校野球よりも2年遅く1927年(昭和2年)にスタートしましたが、戦争による中断期間が短かったためセンバツよりも2年早く92年目で90回目の大会を迎えました。

でも、気になるのは都市対抗野球が「社会人の甲子園」ともいえるはずなのに高校野球ほどのムーブメントがなかなか起きないように見えることです。会場の東京ドームの周りはカードによっては巨人戦に負けずとも劣らずの人出があるんです。ただ、メディアの注目度には何となく温度差を感じるんです。前にも言ったことがあるかと思いますが、ここ数年は開催期間が夏の甲子園を目指す高校野球の地方大会と被ることが多く、東京ドームに出場チームを送り出している県の地元新聞の扱いが高校野球の県大会よりも明らかに小さいという県もあるとか。実業団チームが幅を利かせているからか、その企業にゆかりのある地域しか盛り上がらず、学校からかなり離れていても県内にあるからと応援ムードができる高校野球のようにはいかないようなんです。「都市対抗」だからそれでいいと思う人もいるかもしれません。でも、「企業城下町にいればいやが上にも盛り上がるけど、川を渡れば企業の恩恵を受けているわけじゃないから盛り上がる義理も義務もない」と突き放してしまう人がいると高校野球よりも扱いが小さくなってしまうのかもしれません。

ドラフト候補と言われるような力のある人が出てきても高校野球の注目投手やスラッガーの方が注目度が高いこともあります。「甲子園で活躍したあの人が都市対抗に出た」という触れ込みになれば注目度が出てくることもあります。ただ、甲子園に出たことない人だと注目のされ方は大きくないんです。地元高校・大学出身者が同じ県内の実業団に入って都市対抗に出るとなればその人を中心に盛り上げることだってできるはずなのに、ともどかしくなることもあります。

いろいろとぼやいてしまいますが、都市対抗90回を迎えるにあたって社会人野球賛歌「我街(われら)の誇り」が作られたことに今、期待しています。都市対抗野球の大会歌ではありませんが、センバツ高校野球の大会歌として「今ありて」が65回大会を記念して1993年に作られた時みたいに浸透してくれれば、都市対抗への人々の見る目が変わるだろうと思っています。

では、また次回です。
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ジャニーズ事務所のジャニー喜多川代表が9日に87歳で亡くなり、翌日はニュース番組も情報番組もこの話題一色になりました。また、スポーツ紙は中日の石橋選手が高卒ルーキーとしてセ・パ分立後球団初となるスタメンマスクをかぶり、プロ初安打初打点の活躍をみせた試合を1面にした東京中日スポーツ以外の5紙がトップの扱いになりました。本当に大きな出来事なのかと実感しました。

60年近くの長きにわたって、しかも途切れることなく時代をリードするアイドルを送り出してきたジャニー代表の千里眼というか時代感覚は誰もまねできないかもしれません。ジャニーズ全体でミリオンセラーとなった作品数は12、私は意外に少ないと思いました。だって、AKB48だけで40作近くになるし、乃木坂46、欅坂46に広げて秋元康プロデュース作品のミリオンを数えれば50を超えてしまいます。ただ、歴史的な背景が違っているため単純に比較するのは乱暴かもしれません。48グループと坂道シリーズの場合は握手券や選抜総選挙の投票権目当てに何枚も買う人がいるから簡単にミリオンセラーにできるという特殊性があるとはいえ、時代的に言えばCDやダウンロードで音楽を気軽に楽しめる状況になりミリオンセラーが出やすくなりました。しかし、ジャニーズで初のミリオンセラーが生まれた80年代は現代と比べるとまだ気軽とは言えず、この頃に達成したミリオンセラーというのは世の中に本当に知れ渡った証拠と言えるかもしれません。また、秋元プロデュースのグループは知名度の広まり方が限定的というか深く狭いのに対して、ジャニーズの場合は深く広く知名度が広まっていくのでミリオンセラーの作品数が秋元作品の4分の1以下であっても影響力が大きいような気もします。

48グループの研究生は全体で100人程度ですがジャニーズJrは300人もいるとか。48グループの場合は正規メンバーになればチームAなどといったチームのどれに入るかというだけになりますが、ジャニーズの場合はジャニー代表が適材適所を見極めたうえで新たなグループを次々と作っていたとか。交換留学という形で乃木坂のメンバーがAKBに一時的に加わったりAKBのメンバーがSKE48のメンバーを掛け持ちをしたりするようなケースがあっても48グループの一員という位置づけが変わることはない。一面的という感じでしょうか。それに対してジャニーズの場合はグループそれぞれのコンセプトを明確にしていって多面的なアクションをしていけた。それがジャニーズの強みだったかもしれません。ジャニーさん亡き後のジャニーズでもこのような展開を続けていけるのでしょうか? 欽ちゃんこと萩本欽一さんが追悼のコメントで「たくさんアイドルを育てたけど一番大事なジャニーさんを育ててないよとツッコみたい」と記していたのが印象に残ります。

では、また次回です。
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現地時間の1日、アメリカ・メジャーリーグが大揺れに揺れました。大谷翔平選手が所属するエンゼルスの先発投手陣の一角を担っていたスカッグス投手が遠征で訪れていたテキサス州の宿舎で急死したのです。この日にも試合が予定されていましたが、エンゼルスの対戦相手だったレンジャースの関係者が中止にすることを発表し監督が弔意のコメントを発表するという異例ずくめ対応がとられました。翌日の試合は行われましたが、エンゼルスの選手や監督はスカッグス投手の思い出話をかわしてから試合に向かったとか。事件性はないといわれていますが死因はわかっていません。

今回は死因がまだわかっていませんが、1980年代あたりだとアスリートの突然死の原因としてドーピング違反になる薬物の過剰摂取が疑われることがありました。ドーピング検査では違反が見つからなかったのに突然死のあとに検死してみると薬物摂取のあとが見つかったということがあり、フェアプレーの担保のためだけでなくアスリートの生命を守るためにもドーピングをやらせないようにしようという考えが広まりました。そのおかげか、最近でこそこういう原因とみられる突然死が少なくなりました。
また、一般の人より脈拍が少ないのに血液の拍出量が多い、いわゆるスポーツ心臓で引き起こされるという循環異常で突然死したという人も昔はいました。ただ、最近は運動量を心拍数に合わせてコントロールして負担を少なくするように考慮する仕組みが構築されるようになって突然死が一時期よりかはなくなってきたような気がします。こういった取り組みの精度を高めていくことがスカッグス投手のような人を出さないようにする足掛かりになるかもしれません。

ただ、新手のドーピングが原因で命を落としたという人が現れないとは言い切れません。それに極限以上の鍛錬にこだわる人が全くいないとは言い切れません。当事者意識がないところで言ってしまいますが、こういったことを遠ざけるための努力をするのが当然だと思われるような人が圧倒的多数になることを祈る以上のことはありません。

では、また次回です。
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