プロ野球はパリーグで福岡ソフトバンクが27日に3年ぶりの優勝を決めました。ですが、いつもと違う風景がみられました。

優勝決定の瞬間、ストッパーの森投手と甲斐捕手が歩み寄って軽くハグしたあとグラウンドにいた選手たちは普通にベンチに戻ります。それからベンチにいた選手や監督・コーチ、スタジアムに待機していた孫正義オーナー、王貞治会長をはじめとした関係者が改めてグラウンドに姿を見せます。このあとどうなったかといえば、工藤監督を胴上げすることなく大きな輪を作り万歳三唱。キャノン砲で金銀のテープが放たれました。優勝インタビューとペナント授与式、記念撮影が終わってグラウンド上でのセレモニーは終わり。そして祝勝会になりますが、監督・オーナーなどの挨拶の後はビールかけをすることなく、くす玉を割るだけで終わり。新型コロナウイルスの感染拡大防止のためか、優勝決定日の定番セレモニーはほとんど行いませんでした。

胴上げについてはクライマックスシリーズを勝ち抜き日本シリーズ進出を決めた時にしないチームもありますが、ビールかけが自粛されたケースもわずかながらありました。昭和天皇が吐血され自粛ムード一色になった1988年はセリーグ優勝の中日がビールかけを取りやめました(パリーグ優勝の西武は一応自粛を表明していましたが選手が自然発生的にやっていました)。アメリカ同時多発テロがあった2001年はパリーグ優勝の大阪近鉄がビールかけを自粛しました。

前にも話しましたが、スペインではリーガエスパニョーラで優勝したレアルマドリードの選手・関係者がいつも通り監督を胴上げしていました。日本はどうだろうと思っていましたが、胴上げもビールかけもしない優勝になりました(コラムを書いている29日昼の時点ではセリーグの優勝は確定していませんが)。やっぱり、2020年は特別なのかもしれません。

では、また次回です。

(追記)このコラムを書いた翌日の30日に巨人のセリーグ優勝も確定しましたが、原監督の胴上げはありました。
[Web全体に公開]
| この記事のURL
昨年最後のブログで触れた「国際水泳リーグ」(ISL)の2シーズン目が17日、ハンガリーのブダペストで始まりました。日本とカナダの新チームを加えて10チームで争う今シーズンは新型コロナウイルス感染拡大の影響で各地を転戦することなく、11月22日まで週末が来るたびにブダペストで試合が行われる集中開催の形がとられるとのことです。

北島康介さんが代表を務める日本チームの名前は「東京フロッグキングス」。年末のブログではスーパーラグビーのサンウルブズよりも日本代表の濃度が少し高くなりそうと書きましたが、ふたを開ければ入江陵介、松本克央、萩野公介、大橋悠衣、今井月と日本代表の濃度は考えた以上のものになりました。男女16人ずつという定員で外国人選手も受け入れることもあるので、日本代表メンバーをそっくりそのまま送り込むわけにいかないにしてもおさえるべきところはおさえているなという感じです。水泳ファンのブログを見ると日本代表の平井伯昌監督と鈴木陽二コーチがチームの参謀役を務めることになったからこういう顔ぶれになったという意見もあるようですが(鈴木聡美、渡部香生子、大本里佳、渡辺一平、中村克といった選手がいないことを指しているかと)。海外からはロシアのモロゾフ、アメリカのリア・スミスなど世界大会での経験が豊富な選手を迎えます。外国勢も日本勢もかなりの人材が集まっています。

ISLはアメリカの4チーム、フランス、イギリス、イタリア、ハンガリー、カナダ、日本のチームが参加しますが、どの国のチームも代表チームをそっくりそのまま送り込んでいるわけではなくいろいろな国の選手が集まっています。この辺はスーパーラグビーによく似ています。そう言うと、「サンウルブズみたいにならなきゃいいけど」と不安に思う人もいるかもしれません。サンウルブズは南半球の強豪国の壁に跳ね返され勝ち星をなかなか積み上げることができませんでした。「関口宏のサンデーモーニング」のスポーツコーナーで星取表のフリップを出して「1年目は2勝、2年目は3勝、3年目は4勝なのかな…」と関口さんがぼやくのがお約束になっていました。でも、私はそこまで大変なことにはならないと思っています。というよりも、そうなってはいけないと思います。フロッグキングスの強化はトビウオジャパンの強化に結びつかなければならないんです。日本びいきになるのはISLのコンセプトからややずれるかもしれませんが、世界の強豪との真剣勝負の舞台が増えることでおのずと国際舞台での経験値は増すし、常に世界レベルで戦える選手がどんどん出てくる日本全体のレベルも上がっていってアジアのライバルである中国に間違いなく差をつけることを期待できるはずです。

フロッグキングスの初戦は24日。CSのテレ朝チャンネルで放送されるそうなので、見られる環境がある方は世界水泳やパンパシ選手権とは一味も二味も違う会場演出を楽しみながらフロッグキングスの奮闘ぶりに注目してください。
では、また次回です。

<テレ朝チャンネルでの放送予定などはこちらへ>
[Web全体に公開]
| この記事のURL
来年9月にスタートする女子プロサッカーリーグ「WEリーグ(ウィリーグ)」に参入するチームが15日に発表されました。前々にチーム数は8か10か12と公表されていましたが、1チームの参入申請が却下されたため奇数の11チームに落ち着きました。

内訳はなでしこ1部から7チーム(日テレベレーザ、浦和レッズ、アルビレックス新潟、ジェフ千葉、ノジマステラ神奈川相模原、マイナビ仙台レディース=仮称、INAC神戸レオネッサ)、なでしこ2部から2チーム(ちふれASエルフェン埼玉、長野パルセイロ)、新規参入が2チーム(サンフレッチェ広島、大宮アルディージャ)。Jリーグ傘下が7チーム(ベレーザ、浦和、新潟、千葉、長野、広島、大宮)、Jリーグ傘下でないのが4チーム(ノジマ、INAC、ちふれ、マイナビ)という形です。Jリーグは当時のトップリーグだったJSL(日本サッカーリーグ)が発展的解消した形で誕生しましたがなでしこリーグは存続します。ただ、WEリーグは当面の間、なでしこリーグの上を行き、WEリーグからなでしこリーグに転落することはないプレミアリーグ的な位置づけになります。

こう書いているとJリーグ誕生の時を思い出します。JSL1部からJリーグに参入したチーム(読売ヴェルディ、三菱浦和レッドダイヤモンズ、古河改めジェフユナイテッド市原、日産横浜マリノス、全日空改めASフリューゲルス、トヨタ改め名古屋グランパス、松下改めパナソニックガンバ大阪、マツダ改めサンフレッチェ広島)もあれば、鹿島アントラーズのように2部から参入したチームもあるし、清水エスパルスみたいにJSLに属していないところからスタートしたチームもあります。ただ、JSL1部だったチームが上位を占めたわけでなく、アントラーズがJリーグ初年度の前期優勝を果たしたりJSLに初年度から居続けたレッズが下位に沈んだりしました。WEリーグはどうなるんでしょう? ベレーザや浦和、INACが幅を利かせるのか、なでしこ2部や3部相当のチャレンジリーグのチームを下敷きにして新たに生まれるチームが躍進するのか…。ジーコやリネカー、リトバルスキー、ブッフバルトのような海外の大物が日本女子サッカーの新たな夜明けを演出するのか…。東京オリンピック終了直後にはじまるだけに、期待が高まるところです。

では、また次回です。
[Web全体に公開]
| この記事のURL
フランスのパリロンシャン競馬場で行われた第99回凱旋門賞。ヨーロッパでは新型コロナウイルス感染拡大の影響で大きなレースの日程変更がいくつもありましたが、凱旋門賞は予定通り4日に行われました。優勝したのは地元フランスのソットサス。騎乗していたのは日本を主戦場にしているミルコデムーロ騎手の弟、クリスチャンデムーロ騎手で、クリスチャン騎手は凱旋門賞初優勝となりました。クリスチャン騎手はミルコ騎手より13歳年下。かなり年の離れた兄弟ですが、切磋琢磨しあい日本やヨーロッパで活躍しています。兄のミルコ騎手も今回の弟の快挙にもちろん大喜びしています。しかも、これには兄のアシストがあったとか。

クリスチャン騎手には出走予定馬のうち2頭の馬に騎乗する可能性があったと言われていました。どちらも大きなタイトルを得ている馬でしたが、調子を上げてきているという情報を聞いたミルコ騎手がソットサスの方がいいと勧めたとか。兄弟2人で勝ち取ったような喜びがあったかもしれません。兄のミルコ騎手ももちろん凱旋門賞の夢を持ち続けています。ですが、日本を主戦場にして久しいミルコ騎手らしいものに変化しているようです。クリスチャン騎手が優勝を決めた直後、「日本の馬で凱旋門賞を制したい」というコメントを公表しているんです。海外の大きなレースに日本の馬に乗って何度も挑戦している中、2011年のドバイワールドカップをヴィクトワールピサで優勝した時からどうやら日本の馬への思い入れが強くなってきたようです。折しも東日本大震災から1か月も経っていない時期での優勝で、日本が元気だということをアピールするような形になったのがきっかけなのかもしれません。

一方で無念を味わったのが武豊騎手。日本人も出資しているアイルランドの馬、ジャパンに騎乗する予定でしたが、所属厩舎の飼料から違反薬物が検出されたため主催者の判断を待たずに調教師から出走辞退を申し入れる異例の事態となってしまいました。前の日に行われたレースに勝っただけに気持ちが高まっていたところでのまさかの出来事。経験豊富な武騎手でなかったことかもしれません。

来年は100回目となる凱旋門賞。日本の馬が優勝する瞬間は来るのでしょうか? では、また次回です。
[Web全体に公開]
| この記事のURL
9月27日に終わった大相撲秋場所は関脇・正代が13勝2敗で初優勝。その後の番付編成会議と理事会を経て大関昇進も決まりました。史上稀にみる激戦を見事に制した正代ですがネガティブ思考が出世を邪魔したと言われ続けましたが、今年に入ってきっかけをつかんできたようです。

これまでは横綱と対戦することが決まった時に「生きて帰れればいい」と漏らし、終盤まで優勝争いに関わっても「自分には関係ない」とどこ吹く風。フィジカルでもテクニカルでもかなりのポテンシャルがあるのにメンタルが足りないと、元横綱の北の富士さんはじめ論客が不安をつぶやいていました。しかし、今年の初場所で幕尻の徳勝龍に最後の最後で優勝をさらわれたのがターニングポイントになったようなんです。

3月の大阪場所で三役になって初の2ケタをマークし、7月場所では照ノ富士と終盤まで優勝争いを演じ、9月の秋場所で初優勝と順調にステップを踏み大関になりました。初場所で優勝を逃したことが本人にとっていたく悔しかったようで、タイトルへの執念をもつようになったといいます。遅すぎた出世と言われますが、ポテンシャルの高さは貴景勝と朝乃山に引けを取らないと言われています。大関が3人いれば程よく盛り上がりそうな感じがするところもあります。これからも前向きな気持ちで相撲に取り組んでくれることを期待しましょう。

では、また次回です。
[Web全体に公開]
| この記事のURL

5件中 1~5件目を表示


1