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DREAM.7 〜フェザー級グランプリ開幕戦〜
2009/3/8@さいたまスーパーアリーナ



ふと気付いた。まるでPRIDEだなあと。そんなことは分かりきっているし、我々ファンが全開で受け入れているからこそDREAMが事実上PRIDEを継承しているのだ。それでも、改めて、PRIDE色を必要以上に感じ取ってしまった。ドクター、ジャッジ、レフェリー紹介アナウンス、オープニングムービー、選手入場式、煽り映像、青いオープニングフィンガーグローブ、7m四方のリング、シルバーのロープ、リングアナ、判定の読み上げ・・・全ては完全にPRIDEのフォーマット。でもPRIDE亡き穴を埋めるにはDREAMが必要だったし、こうするしかなかった。
PRIDEでは実現しなかった新企画・フェザー級GPが始まった。それなのに、どこか縛られている気がした。何故だろう、グランプリ特有の爆発力が封じ込められている気がした。それはPRIDEの呪縛のような気がしてならなかった。

昨年末のDynamite!!のときにも顕著だったが、今なお会場の熱を創り上げているのはPRIDE経験ファイターでありPRIDEから続いてきているファンである。別な見方をすればK-1系選手はまるでアウェイ状態。こんな片寄った現象にアクセントをつける結果になったのがK-1系(HERO'S系)選手だった。

そもそもK-1のFEGが母体となり“大連立”となった経緯があるが、両陣営が手を結んだ効果はまだまだ出ていない。しかしその主たる原因はイメージにあるのではないか。
イベント名こそ違えど、PRIDEの世界観を全面に押し出ていることで見えない壁が打ち破れないでいるのでないか。

そう見えて仕方なかった2009年一発目、二年目に突入したDREAM。笹原プロデューサーはこう語っていた。
「今年は勝負の年」

DREAMを代表する存在となった青木、川尻、石田、フェザー級GPでは今成が歓声を集めたが、皆PRIDE参戦経験組。
PRIDEから発展した新MMAイベントとしてDREAMが勝負をかけていくなら、“非PRIDE”の新顔が必要だ。
PRIDE組と非PRIDE組が切磋琢磨しあって、PRIDEでもないHERO'Sでもない、全く新しいDREAMを創っていくこと。
それが勝負の年に仕立てていくことなのではないか。

そこで重要になるのは非PRIDE組の台頭。その究極のアイコンがKIDなのは明らかだ。
KIDの存在なくしてフェザー級グランプリ開催はありえなかった。いや、KIDなくとも成立はするかもしれないが、KIDがいるといないとでは企画の重みが変わってくることは否定できない。

そこで今回の開幕戦で顕著な役目を果たしてくれたのは高谷だった。
日本人勢の中で唯一のKO勝利。キャラクターと集客力と相成って、グランプリにおいてMVP級のインパクトを残してみせた。
山本篤の頑張りも特筆ものだった。結果的には今成に星を奪われたが、非PRIDE勢力としてはDREAMブランド創りに貢献したと言えよう。

HERO'S旗揚げの際の名キャッチコピー、
「業界に前田日明が足りない」
をDREAMに置き換えてみよう、

「DREAMにはHERO'Sが足りない」

高谷しかり、そして4月大会で一回遅れのグランプリに挑む所英男、そしてそして山本KID。
PRIDEのフォーマットの中で非PRIDE勢が存在感を示すことが新しいDREAMに繋がるはずだ。
その場合もちろん彼らの闘いぶりと結果が肝心になってくる。
PRIDEから引き続いている“生粋”のファンが彼らにPRIDE系選手以上の歓声を投げかけるようならば、DREAM改革は成功の第一歩を踏むことになる。

PRIDE系選手は“外様”に対して「こんちくしょう!」の精神で「俺たちのリングを荒らされてたまるか!」と気持ちを押し出して真っ向勝負に挑んでもらえればいい。
フェザー級グランプリの場合、その対象はKIDに集約されるのだろうが、だったらもっともっとKIDを挑発して、KIDから逆指名されるくらいにアピールすべきだ。
去年のライト級グランプリで川尻が宇野に噛み付いたように、もっと威勢よくやってもらいたいものだ。

あとは最後のひと仕事。
PRIDEのフォーマットを思い切って変えてしまうわけにはいかないものだろうか。
グローブの色でもいい、リングやロープの色でもいい、究極は煽りビデオ自体でもいい、新たに勝負するのであれば見た目の演出を刷新してみれば、大いに生まれ変わった感は創っていけるはずである。
私個人の希望としては大胆な変化が見たい。オバマ効果で方々で謳われている“チェンジ”である。

ただでさえアメリカに本番を奪われ、地上波中継枠も縮小してしまっているのだ。
業界をリードし感動を生み続けてきたスタッフならば必ずや新しいものを創造してくれるはず。
DREAMを正夢にするための私なりの願いよ、届け!
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