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K-1 WORLD MAX 2010 〜-63kg Japan Tournament 1st Round〜
2010/5/2@JCBホール
直前コラム



大きくて新しい波、到来の予感・・・これまで格闘技の歴史を振り返れば、エポックメーキングな出来事はそのベールを脱ぐ前に尋常なき高揚感を与えてくれる。そしてその後は永遠に語り継がれる対象となる。数々の伝説を創ってきた正道会館からK-1が生まれ、K-1から今回、3つ目のビッグバンがもたらされようとしている。1つ目は1993年4月のK-1GRAND PRIX旗揚げ大会。2つ目は2002年2月のK-1 WORLD MAX開幕の日本代表トーナメント。共に、指折り数えて大会当日を待った。ワクワクドキドキ。この気持ちはとても大事だ。期待感を表す一番分かりやすい表現。そして2010年5月、K-1にとって新たな階級“-63kg”のスタート・・・ハンパないワクワクドキドキ。遂に本格開戦する軽量級カテゴリーがK-1流の味付けで光り輝く新ブランドに映っている。


ジャパニーズオリジナルな“63kg”という一見中途半端な設定も、その数字に自らを合わせて集まる選ばれし22人の顔ぶれを見たらワクワクドキドキ。K-1がメジャーな舞台として国内全てを束ねる以上はK-1流に従わねばならない。
“立技打撃系異種格闘技戦”というK-1の基本コンセプトが具現化された選手のバリエーションがワクワクドキドキ感を生みだしている。
キックボクシング、ムエタイ、空手、テコンドー、MMA、甲子園、高校生、喧嘩・・・キックボクシング団体でこれまで60kg級のトーナメントは何度も行われてきているが、これがK-1だからできる発想と力技。マニアも認め、一般層に働きかける、だから今回の軽量級が戦前から盛り上がっているのだ。


22人、11試合というボリュームの中、ほとんどのキック系トップ選手が顔を並べているが、敢えて注目したいのはMMA代表と甲子園代表だ。彼らがK-1ならではのトーナメントを色付けする存在となっている。


「若いスターを潰す」と一人毒づいて独自の存在感をあらわすDJ.taiki。K-1には総合格闘家や古くはプロレスラーのエッセンスは欠かせない。実力的にもキャラクター的にもまだまだ未知数ののりしろを持つDJが新設トーナメントをかき乱してくれたほうがK-1らしくて面白い。


そして高校生選手と甲子園出場組のユース系が5人も出場する。これは長い目で見たK-1の未来戦略と言えるが、これまでは甲子園の枠組みの中でいたティーンズと卒業生が今回から本格的にプロ選手たちと対等な立場でエントリーしていることがフレッシュではないか。これで彼らのうち一人でも“大人食い”をしようものなら痛快この上ない。


K-1としては初めて使用するJCBホールでチケットはほぼ完売状態。テレビ中継は関東の深夜のみ。このプレミア感、飢餓感の煽り具合がK-1GP、K-1MAXの旗揚げ時とダブる。二度あることが三度あるなら、今回も間違いなくK-1にとってのビッグバンとなるはずだ。
熱戦とKOのサプライズ続出。これがK-1が持ち合わせた稀有なるパワーだった。超満員のJCBホールが尋常ない熱で充満している様子しか思い浮かばない。


日本人が絶対的主役なゆえ、今後もっと世間に浸透する可能性を秘めている“-63kg”はどこを目指していくべきか。
同じリングスポーツのボクシングでは軽量級王者が誕生し、世界戦ワンマッチで地上波テレビ中継が成立しているように、K-1も“ガイジン天国”から脱出し強い日本人選手を全面に押し出したいところ。本来なら世界レベルになればムエタイが強敵になってくるところだが、まだここでは触れておくのをやめておこう。
亀田兄弟や内藤大助、長谷川穂積、ほかボクシングの世界タイトルホルダーのように、魔娑斗や武蔵が引退した後のK-1から世間的知名度ある新しい選手を輩出しなければならない。今回の22人の中から何人がK-1を引っ張る存在になっていくのか。
作られたスターではなく、リング上のファイトで魅せて勝った者がのし上がる。さあ、K-1新時代の幕開けを目撃しよう。
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