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Strikeforce:FEDOR vs WERDUM
2010/6/26@カリフォルニア州サンノゼ・HPパビリオン
●エメリヤーエンコ・ヒョードル[1R1'9" タップアウト ※三角締め]ファブリシオ・ベルドゥム○



まさかまさかのヒョードルがタップアウトとは・・・


ファブリシオにとっては人生最大の大殊勲。


あそこまでがっちりハマったトライアングルでさすがのヒョードルもタップを選ぶしかなかったということだが、タップという負け方が何よりショックだった。


決してUFCのトップではなかったファブリシオにヒョードルが敗れてしまったという事実は、ヒョードルのリアルなポジションを自ずと証明してしまうのか・・・


相変わらずの無表情で試合後のインタビューに答える姿に寂しさを覚えてしまったのは私だけではないだろう。
ヒョードルから悔しさも見えないのは無表情ゆえか、それとも・・・?と勘繰ってしまったりもする。


“常勝チャンピオン”への憧れを一身に集めていたからこそ高い価値を保っていたヒョードルが、この敗戦により、逆にUFC出場に傾いていくなら大歓迎だし、これから本当の現在なヒョードルの強さを知っていけるというもの。


一方でUFCのことだから“ヒョードルに勝った男”ファブリシオと再契約、なんて力技をやってのけたら面白い。


次の対戦が半ば約束されていたアリスターのモチベーションも気になるところだが、UFCに対抗できていたヒョードルというリーサルウェポンが不発の事態に陥ってしまったことで、今後のMMAヘビー級の行方が気になるのであった。


ヒョードルはこのまま噂される政界進出でフェードアウトしてほしくはないが・・・
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SRC13
2010/6/20@両国国技館



金的問題、石井慧登場、三崎vsサンチアゴ再戦発表、菊田のKO負けと蓋を開けてみればバラエティに富んだ見所とネタが噴出した今年二回目の両国大会だったが、その全てを消し去った衝撃を作り出してみせたのがマルロン・サンドロだった。最後のメインで待ち望んでいた王座挑戦で、僅か38秒、アッパー一撃でタフネスの金原を寝かしてしまうとは、とんでもないにもほどがある。これでパンクラスとSRCの二冠王となったサンドロが次に目指すは当然アメリカ・・・とは分かっちゃいるけど、ちょっと待った。まだ残っているという日本での契約があるうちに“打倒サンドロ”に名乗りをあげる日本人がいなくてどうする!? ということで、期待したい日本人選手をリストアップしてみたい。

妥当な考え方で、王者のサンドロに挑む、というテーマであれば第一コンテンダーは小見川道大になる。
微妙な判定ながらサンドロに勝利した小見川は、戦極〜SRCでサンドロ唯一のフルラウンド戦だったという事実から、近年で最もサンドロと競り合った選手であることは間違いない。
小見川にとっては念願のタイトルマッチ、サンドロにとっては絶好のリベンジチャンスと、やらない理由が見付からない望まれたマッチメイクであるはずなのだが、吉田道場と戦極改めてSRCは政治的事情で絶縁状態にある。
それでもSRCが小見川にオファーを出し、この一戦が実現しようものなら、かつての高田統括本部長の名台詞を叫びたい。
「どっちも、男の中の男だ!」


SRC内で次に考えうる実現性高い必然的挑戦者は日沖発だ。
修斗チャンピオンシップを獲得したばかりの日沖は、金原には勝利しているが小見川には敗れ、サンドロとは未対決。現実的にはサンドロの次戦が防衛戦ならば、相手は日沖が最有力候補だろう。
純粋にこの一戦は観たい。リーチに勝り、立ってよし寝てよし打ってよしのオールラウンダーの日沖ならサンドロに新しい世界を見せてくれる期待をしたい。
日沖にとっても格闘技人生最大の強敵との国際戦となる。
まずはサンドロvs日沖で決まりと見ておいていいだろう。


もし日沖がサンドロの首を獲れなかった場合は他の日本人選手にチャンスが回ってくる。
日本人の人材豊富なフェザー級、まだまだサンドロとやってほしいトップ選手がひしめいている。


あえて競合プロモーションのDREAMからピックアップすれば、ビビアーノに惜敗に王座は逃したものの、ヨアキム・ハンセンをKOで葬ってみせた高谷裕之を推したい。
サンドロとは真っ向打撃対決でKO決着必至、イコール盛り上がり必至の越境バトルとなる期待大。
早速、サンドロとビビアーノを!という声が多く飛び交う中、日本の大会なのだから日本人が望まれて出ていかないとどうする!?


DREAMから同級の人気者を挙げるなら、やはり所英男だ。実は昨年大晦日に一度はサンドロ戦が対抗戦のひとつとして組まれていたことを忘れている人が多いのではないか。こんなにKOを連発しているサンドロともし闘っていたら所はどうなっていたのか・・・恐い方の結果が浮かんでしまうのは私だけだろうか。


ここは所ではなく、所のライバルでありベストパートナーと呼べる人物を提案したい。
かつてパンクラスでサンドロと闘い判定ながら敗れているDJ.taiki。MMAストライカーのDJならサンドロのイージーファイトにはならないのではないかDJ本人がブログで対戦アピールしているくらいなのだから、もしDREAMと契約がないのなら、私がSRCブッカーなら即声をかけるのだが。
SRC戦極でDJは貴重な存在となるはずである。


最後にもうひとり、未だメジャーに上がっていない王者クラスの大物を。それはリオン武。
日沖に王座を奪われたものの修斗チャンピオンの実績は日本MMAメジャーでは誰もが認める通行手形。王座を手放してかえって身軽で動きやすい今、残された大物の参戦はSRCにとって新しい血になること確実だ。


打倒サンドロの日本人先鋭部隊は列をなして控えている。サンドロ対日本人を実現していくことがSRC戦極の色になるだろうし、ファンも望んでいるはず。


結局は選手はギャラ&スポンサーのグロスマネーが多い方を選ぶもの。サンドロが狙う北米よりも多いマネーをドンキをはじめ日本で用意していけばサンドロは“助っ人ガイジン”として日本にいてくれるのではないか。


とにかく、サンドロを逃すまじ、である。
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SRC13
2010/6/20@両国国技館
直前コラム



昨年末のDynamite!!でDREAMとの全面対抗戦に星勘定上は敗れたものの、日本国内のMMAプロモーションとして“両メジャー”の役割を果たしていることを証明した『戦極』改め『SRC』。ブランド名は変わろうが、やはり“戦極”という言葉のイメージが強いが、その戦極に集う選手たちが成すイメージはズバリ、“ジミツヨ”である。見た目の華やかさ、いわゆるイケメンやファッショナブル路線ではなく、じっくり闘いしっかり強い。格闘技の根幹をなす条件を備えた選手こそ戦極あらためSRCの財産だ。そのジミツヨ道を最先端で突き進む選手こそ、今大会のメインを張るフェザー級王者・金原正徳。KIDに勝った男が戦極改めSRCのブランドを背負っている。

その金原とタイトルを争うのが現在SRCで考えうる最強の外国人チャレンジャー、マルロン・サンドロ。戦極〜SRCで一本とKOの山を築いてきたブラジル幻想の体現者は、現役のキング・オブ・パンクラシストでもある。
戦極改めSRCの王者vsパンクラスの王者。これをダブルタイトルマッチと見ることで、本当ならSRCになるべきだったパンクラスの存在アピールと逆襲の下剋上を私は秘かに期待している。


パンクラスからは所属選手の川村を今大会では派遣しているが、冷静に見渡すとなんとパンクラス王者経験者が他に3人もラインナップされている。
初のウェルター級戦に臨む菊田早苗。グラバカでパンクラスに旋風を巻き起こした立役者は後にパンクラスを離れ独立。グラバカの活躍と反比例するようにパンクラスが弱っていったのは周知の事実だ。
「同じ相手と防衛戦をやるモチベーションがあがらない」という身勝手な理由でウェルター級王座を剥奪された(後に返上扱いに変更)SKアブソリュートの和田拓也。新たにスタートするウェルター級GPにあっさりエントリーしている。
戦極改めSRC育成選手の真騎士は現役のパンクラス・ライト級王者。SRCのライト級タイトルに絡むときがきたら、パンクラス王座は返上してしまうのだろうか。せめてパンクラスのリングで一度は防衛戦をしてほしい。


よい言い方をすれば、パンクラスなくして戦極改めSRCは成り立たない。しかし本来ならパンクラスが主体的になっていれば戦極やSRCのようなメジャーと呼ばれる規模のプロモーターになれたはずだ。
UFCやPRIDEやDEEPほか外部大会に選手派遣形式で進んでしまったゆえ、パンクラスの主催興行は決してメジャー感あるものではない業界の底辺を支える役目に落ち着いているが、自ら王座も制定している以上その価値も創出していかねばならない。あくまでもパンクラスの中の王者を決めることではあるが、他のプロモーションでも制定している王者との比較はSRCやDREAMなどのメジャーで組まれてしまうというヒエラルキーシステムの中層部に落ち着かざるを得ない現実は悔しくはないか?
パンクラス旗揚げから見ている私のようなオールドファンは少なからずそう思っているはずだ。


だからこそ、今回はパンクラスにとっての下剋上のチャンスなのだ。サンドロはパンクラス所属選手ではないが、パンクラスの最強の象徴である。サンドロが金原に勝利しSRCの頂点に立とうものなら、同時にパンクラスがメジャーの頂点に立ったも同然ではないか。
パンクラスとSRCの二冠王が次なる挑戦者に一方のベルトを指定してみせる。SRCのベルトが欲しければ、まずはパンクラス王座戦だ。いや、SRCよりもパンクラスのほうが強くて価値がある、というブランディングを推し進めていくべきだ。


SRCの母屋を構成員のパンクラスが乗っ取ってしまえ、ということ。リング上で実力で勝利し、パンクラスの力を証明し、パンクラスのメジャー化へ・・・パンクラスのフロントや所属選手はこのくらいの気持ちでいてもらいたい。もうパンクラスが“踏み台”として舐められている姿を見るのは飽きた。


いちパンクラスファンのささやかな願いが現実になったら、痛快ではないか。決まりきった統一機構のない格闘技界だからこそ、“可能性はゼロではない”。
なので、サンドロの勝利に賭けておく。頼んだよ、現役のキング・オブ・パンクラシスト!
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UFC115のチャック・リデルKO負けを見て溜めていた思いを吐き出します


脳を揺さぶる頭部や顔面への打撃はプロ格闘技には必須であり、誰しも一発も食らわずにキャリアを終えることなど皆無に等しいが、最近この打撃による顕著なダメージ現象が頻発している。と言うより、ファンとしての素人目線で見ても明らかにダメージが蓄積しているだろうという選手が目につく。そんな選手に限って最前線で闘ってきた人気ベテラン選手だったりする。鍛え上げられた生身の肉体が生み出す芸術的感動と隣り合わせで、闘う当事者たちを蝕む危険が同居する格闘技という特殊なジャンルの非情な現実を改めて知る。そして心が痛くなってきた。

UFCの看板ファイターで今なお高い人気のチャック・リデルがまた敗れた。一発のパンチでぐらつき、フィニッシュも一発のカウンターだった。ただし、「え?このパンチで倒れちゃうの?」という本音を抱いた人は少なくないのではないか。
40歳という高齢もあるが、ここ数年のチャックは明らかに倒れやすくなっている。


同じ日に出場したミルコ・クロコップもそうだ。フラッシュダウンで済んだが序盤でパンチを食らい尻餅を着いた。このパンチで?と思ってしまったのは私だけだろうか。


“倒れやすくなった現象”は日本国内では、やはりベテラン選手に多く見受けられる。


引退した武田幸三は晩年、ダウンを喫しない試合がないどころか、前述した選手たちと同様、一発が効いてしまうシーンが続いていた。観ている自分が思わず目を覆ってしまうほどの悲痛さが辛すぎた。


同じキック系の現役では、緒形や村浜の打たれ弱さが目立つ。引退はしたがHAYATOも倒れやすくなっていた。
ダウンはキック系格闘技では一番盛り上がるシーンだが、ダウンの数だけ当人にダメージが加わることになる。


総合では、業界一の立役者・桜庭が見るからに厳しい。グラウンドサブミッション主体の桜庭はパウンドを食らう場面がここ数年で急増した感が強い。HERO'S初戦のスミルノヴァス戦でしこたま食らったパウンド地獄、そして悪夢の秋山戦でも必要以上にグローブとマットに頭部をサンドイッチされた。
見るからに全盛期からほど遠いコンディションの桜庭だが、人気者の宿命か、今なおリングに上がり続ける桜庭を、本人以外に誰が止められようか。
しかし、全盛期を知っているからこそ、現在の桜庭を観るのが辛くて辛くて仕方ない。


UFCに主戦場を移したノゲイラやヴァンダレイ、K-1の生き字引・アーツも明らかなるダメージ者だ。


格闘家のダメージ問題は引き際を考えることに繋がる。


昨年末に引退した魔裟斗の場合。2008年のトーナメントファイナルでは佐藤、キシエンコにそれぞれダウンを喫した。世界最高峰レベルを相手に1日2試合という過酷の極致の代償は計り知れない。日常生活に及ばぬ前に・・・ピークでの引退という選択肢は、魔裟斗本人が明言したように、「一番強いときに、かっこよく辞める」ことである。


“強くてかっこいい”・・・これぞ憧れられる格闘家のベストなイメージ。大好きな選手が弱って敗れる姿なんて見たいはずがない。


観る側のファンの気持ちと闘う本人の意志がイコールになることはないだろうが、強さを追求するという点では同じ方向を向いているはずだ。


長年格闘技を見続けてきたが、厳しくも悲しい現実を目の当たりにする機会急増し、複雑な心境に陥ったコアなマニアの想いでした。
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DREAM.14
2010/5/29@さいたまスーパーアリーナ



やっぱりアメリカは、ニック・ディアズは強かった、と言っておくしかない。マッハを僅か1ラウンド、アームバー葬。マッハとて、パンチとキックをヒットさせ、珍しくタックルまで決めるなどテンション高い闘いっぷりで挑んだものの、タップを余儀なくされた結果は完敗でしかない。悔しいがこれが現実。マッハは言い訳はせぬもケージマッチからの撤退を宣言し、ニックは日本のリングの独自性を肯定し、笑った。

青木も敵地で敗れ、マッハはホームで敗れた。“MMA”として金網で囲まれた戦場で競い合う複合格闘技が新スポーツとしてアメリカから世界に派生していくのなら、その過程はジャンルのメジャー化としては至極正しい。
PRIDEが日本にあった頃は間違いなく日本が最先端の場だった。しかし現在はPRIDEの看板ファイターと共に本拠地はアメリカに移ってしまった。それだけのこと。
だから日本からアメリカに渡り、その地で世界の頂点を目指せばいい。


今回マッハが日本でニック・ディアズと一戦できたことは特別な企画だったと認識したほうがよい。UFCへの対抗を目的にSTRIKEFORCEとDREAMが手を組んだ成果だが、この先もっと多くの日本人ファイターがアメリカでSTRIKEFORCEの舞台に上がれるようになっていくことが当面の身近な施策なるべきだ。
日本の地で最強を決めるというコンセプトはかつての思想。アメリカという最高峰に乗り込んで、現地で認められて初めて世界レベルの競い合いに参加できることになる。


もちろん、DREAMは日本のプロモーションゆえ、日本国内での興行が命綱である。だからこそ、こうブランディングをはっきりさせてしまえばいい。
日本でやる興行のターゲットは日本人。DREAMが日本人の最強ファイターを決める場所になり、対世界進出の日本代表決定戦を取り仕切る。ときに来日する“ガイジン”ファイターは日本代表向けのスペシャルゲストな実力査定担当。だからDREAMの主役はあくまで日本人であり、王座は日本人同士で争われればいいし、ガイジン対決など必要はない。強いて言えばSTRIKEFORCEとの王座統一戦であれば対世界の意味はあるが、DREAM内で無理やりガイジンを混ぜた独自のワールドクラスな王座制定は、UFCという最大のコンペティターを向こうに回して痛さを覚える。


プロ野球のセ・パ両リーグ、サッカーのJリーグと同様に絶対的な日本王者がDREAMの看板を張ればいい。
だからこそ、次回大会で遂に実現する青木vs川尻はDREAMにとってとてつもなく大きな意味を持つ一戦となる。
誰もが認める、日本人ライト級、真の最強決定戦。
この勝者が日本代表として堂々とアメリカに乗り込んでいく。
これで純粋に、強さを求道した格闘技の見方が明確になり、頂点を目指すロマンが生まれていくではないか。


中途半端な自称世界はやめて、まずは日本を極めていこうよ。
それがブレていなければ、リングかケージかの論争は大きな問題ではなくなる。
DREAMは地に足着けて、日本人による、日本人のための、次なる夢に繋がる舞台を確立すれば、あの頃とは違う新しい熱を生み出していけるはずだ。
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