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吉田秀彦引退興行〜ASTRA〜
2010/4/25@日本武道館



J-ROCK主催の”自主興行”は日本メジャーMMAプロモーションと肩を並べる”第三メジャー”と捉えても差し支えないだろう。振り返れば、PRIDE、戦極と必ず吉田道場勢の存在があり、何だかんだで大きなアクセントとなっていた。今回の日本武道館興行を仕切ってしまえることから、J-ROCK代表・國保氏の手腕の強さを感じずにいられない。現時点で発表されたマッチメークは4試合、吉田道場所属選手および普段から練習を共にする縁深い選手がラインナップされる中で、意外な選手の参戦が発表された。


エンセン井上。実に6年ぶりの格闘技復帰戦となる。
格闘技引退後はプロレスのリングに立ち、前田日明氏主催の『アウトサイダー』で用心棒的スタンスで会場に姿を見せていた一方で、容疑者として世間に広く報道されてしまう失態を犯してしまった方の印象が強いことは否めない。エンセン井上という人物のイメージの持たれ方が決してポジティブではなくなってしまったことは当の本人も自覚していることだろう。


本来なら母国・ハワイに強制送還されるはずだったが大量の署名を集めて日本に留まることになったという。
そこで巡ってきた大舞台での復帰戦。このたび、エンセンの参戦報道を受けて、純粋にかつてエンセンが日本格闘技シーンに残してきたインパクトの数々がフラッシュバックした。たしかに、エンセンからは大きな感動をもらってきた。


その筆頭は、修斗主催の『VALE TUDO JAPAN』でのランディ・クートゥア戦での速攻サブミッション勝利。あのときNKホールは揺れた。総立ちで震えた。アリーナ席後方で観戦していた私は思わず立ち上がりウォーーーッと叫びながら両腕を突き上げていた。この姿がフジテレビ格闘技番組『SRS』で抜かれていたことは私の大切な思い出である。


思い返せば、エンセンの試合は修斗時代からほとんどライブで観戦してきた。やがてPRIDEが始まり、鳴り物入りでエンセンの参戦が発表され、相手はマーク・ケアーと決まっていたのに、双方の事情で2度に渡って流れたことがあった。3度目の正直で一騎打ちが実現したものの、当初のボルテージは少なからずトーンダウンし、試合も展開が少ないまま終始ケアーが上を固めて終わってしまい、何とも言えぬ心情になってしまったことも思い出のひとつだ。


エンセンはPRIDEでは要所で大物外国人と対戦してきたが、結果がついてはこなかった。それでも、エンセン井上という特別なブランドは際立っていたし、今度こそ一発しでかしてくれるはずと彼への期待は薄れることはなかった。


日本デビュー以来、リングに立つ回を重ねるごとに増えていったエンセンのタトゥーの数。あの山本KIDも元々はエンセンの指導により修斗の道に入っていった。
エンセン率いる『PUREBRED』には正直おっかないイメージを抱いていたが、その分本物の強さをオーバーラップさせていた。


エンセンにとってはここ数年いろいろあったが、リング外で起こしてしまったことはここで掘り下げるつもりはない。
エンセン井上が再び、現在のジャパニーズMMAの舞台に立つ。この事実だけで、日本総合格闘技黎明期からの強烈なかけがえのない思い出が私の記憶から噴出してくる。
それだけエンセン井上は日本格闘技界にとって重要人物だということ。久方ぶりのガチンコリングで一体どんな生き様を見せてくれるのか。私はエンセンの復帰をウェルカムしたい。


何曲も繋いだ、ゆるーい曲での長ーい入場で、エンセンを先頭に何十人いるんだという数の”ファミリー”が列をなす。♪イノウエーーーー、イノウエー♪ グレイシートレインどころではないエンセンワールドの2010年バージョンが楽しみだ。願わくば、この列の中に山本KIDもいてほしい。山本姉妹もいてほしい。でもそれはないか。


今、エンセン井上というブッキングの意表の突き方が絶妙ではないか。國母代表、あっぱれである。
エンセンの相手がナンセンというのも、語呂合わせがどうしても気になってしまうが絶妙アゲイン。
エンセンの出場で『ASTRA』への興味が一気に急上昇した。


小見川が「くそったれ!」なら、エンセンは「くたばれ!」。
マイクアピールができる結果=エンセンの勝利を期待したい。
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