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SRC13
2010/6/20@両国国技館
直前コラム



昨年末のDynamite!!でDREAMとの全面対抗戦に星勘定上は敗れたものの、日本国内のMMAプロモーションとして“両メジャー”の役割を果たしていることを証明した『戦極』改め『SRC』。ブランド名は変わろうが、やはり“戦極”という言葉のイメージが強いが、その戦極に集う選手たちが成すイメージはズバリ、“ジミツヨ”である。見た目の華やかさ、いわゆるイケメンやファッショナブル路線ではなく、じっくり闘いしっかり強い。格闘技の根幹をなす条件を備えた選手こそ戦極あらためSRCの財産だ。そのジミツヨ道を最先端で突き進む選手こそ、今大会のメインを張るフェザー級王者・金原正徳。KIDに勝った男が戦極改めSRCのブランドを背負っている。

その金原とタイトルを争うのが現在SRCで考えうる最強の外国人チャレンジャー、マルロン・サンドロ。戦極〜SRCで一本とKOの山を築いてきたブラジル幻想の体現者は、現役のキング・オブ・パンクラシストでもある。
戦極改めSRCの王者vsパンクラスの王者。これをダブルタイトルマッチと見ることで、本当ならSRCになるべきだったパンクラスの存在アピールと逆襲の下剋上を私は秘かに期待している。


パンクラスからは所属選手の川村を今大会では派遣しているが、冷静に見渡すとなんとパンクラス王者経験者が他に3人もラインナップされている。
初のウェルター級戦に臨む菊田早苗。グラバカでパンクラスに旋風を巻き起こした立役者は後にパンクラスを離れ独立。グラバカの活躍と反比例するようにパンクラスが弱っていったのは周知の事実だ。
「同じ相手と防衛戦をやるモチベーションがあがらない」という身勝手な理由でウェルター級王座を剥奪された(後に返上扱いに変更)SKアブソリュートの和田拓也。新たにスタートするウェルター級GPにあっさりエントリーしている。
戦極改めSRC育成選手の真騎士は現役のパンクラス・ライト級王者。SRCのライト級タイトルに絡むときがきたら、パンクラス王座は返上してしまうのだろうか。せめてパンクラスのリングで一度は防衛戦をしてほしい。


よい言い方をすれば、パンクラスなくして戦極改めSRCは成り立たない。しかし本来ならパンクラスが主体的になっていれば戦極やSRCのようなメジャーと呼ばれる規模のプロモーターになれたはずだ。
UFCやPRIDEやDEEPほか外部大会に選手派遣形式で進んでしまったゆえ、パンクラスの主催興行は決してメジャー感あるものではない業界の底辺を支える役目に落ち着いているが、自ら王座も制定している以上その価値も創出していかねばならない。あくまでもパンクラスの中の王者を決めることではあるが、他のプロモーションでも制定している王者との比較はSRCやDREAMなどのメジャーで組まれてしまうというヒエラルキーシステムの中層部に落ち着かざるを得ない現実は悔しくはないか?
パンクラス旗揚げから見ている私のようなオールドファンは少なからずそう思っているはずだ。


だからこそ、今回はパンクラスにとっての下剋上のチャンスなのだ。サンドロはパンクラス所属選手ではないが、パンクラスの最強の象徴である。サンドロが金原に勝利しSRCの頂点に立とうものなら、同時にパンクラスがメジャーの頂点に立ったも同然ではないか。
パンクラスとSRCの二冠王が次なる挑戦者に一方のベルトを指定してみせる。SRCのベルトが欲しければ、まずはパンクラス王座戦だ。いや、SRCよりもパンクラスのほうが強くて価値がある、というブランディングを推し進めていくべきだ。


SRCの母屋を構成員のパンクラスが乗っ取ってしまえ、ということ。リング上で実力で勝利し、パンクラスの力を証明し、パンクラスのメジャー化へ・・・パンクラスのフロントや所属選手はこのくらいの気持ちでいてもらいたい。もうパンクラスが“踏み台”として舐められている姿を見るのは飽きた。


いちパンクラスファンのささやかな願いが現実になったら、痛快ではないか。決まりきった統一機構のない格闘技界だからこそ、“可能性はゼロではない”。
なので、サンドロの勝利に賭けておく。頼んだよ、現役のキング・オブ・パンクラシスト!
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1件のコメント


  1. by桜井 on 2011年6月8日 @17時10分

    これも良かったですね。