「次の日にならないでと思う日の夜」

この一秒がいとおしい
あのたった一秒が懐かしい
そして そのたった一秒が恐ろしい

いくら思い焦がれても
いくら名残惜しんでも
いくら祈り続けても
時間が通り過ぎていく

抱き止めようとしても腕の間を
掴み取ろうとしても指の隙間を
スルスルと 音も無く去っていく感触だけが残る

もう少し味あわせて
もう少し楽しませて
もう少しだけ ここにいさせて

一秒が過ぎる
五秒が過ぎる
三十秒が過ぎる
一分が過ぎる

カチ、カチ、カチ、カチ・・・・・・

目の前に置かれた時計が何の表情も見せず
ただただ僕に
時が流れていく様を
これでもかと 見せつけている
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