「恥ずかしくて」

恥ずかしくて
君と向き合うことが出来ないから
白い紙と僕は向き合う

恥ずかしくて
君に気持ちを伝えられないから
白い紙に僕の気持ちを書き写す

恥ずかしがっていた時間と
同じだけの時間を使って
やっと書き上がった詩は
恥ずかしくて
とても君に見せられたもんじゃない

「月を目指す」

夜の街灯に引き寄せられた一匹の蛾
月と間違え 幾度も街灯にぶつかり続ける哀れな蛾
たぶんその蛾は あとは死ぬまでその街灯にぶつかり続けるのだろう

(僕の月は、果たして本物だろうか)

もう 今更だ
例え 死ぬまで街灯にぶつかり続ける事になろうとも
他の哀れな蛾と同じ様に街灯の足元に屍をさらそうとも
それが本物だと信じて 飛び続けるしかない
どちらにせよ 所詮 僕らには気付きようもないのだから

「マイアミビーチにて」

浜辺に座り 一人 大西洋を眺めてみる
初めて見る 日本から一番遠い海
でも何故だろう 初めての割りに思ったほど感動が無い
いや
感動はしているのだが 何かどんよりと違和感がある
僕が慣れ親しんだ東京湾や太平洋とは 確かに違うはずなのだが
何かが 同じ様に思う
この気持ちは 初めてメキシコの地に立った時にも感じていた

浜辺に座り 一人 アメリカの空を眺めてみる
太陽を見て ふと気付いた
僕はいつだって ちっとも動いていなかった
僕はいつも ここに座って 景色が移りゆくのを眺めていただけなのだ

浜辺に座り 一人 自分を見つめてみる
宇宙の中心に
ポツンと一人で座っていた


※2007年アメリカ・マイアミにて

山口竜志選手、引退を表明されていたんですね。

彼は、大学のレスリング部出身で、さらに歳も近かったので親近感があったんですよね。
まあ、大学時代の成績は段違いですが。

大和ヒロシとしては残念で、三原弘嗣としては寂しい引退です。

とにかく、第二の人生頑張って欲しいと願うばかりです。

「夜空に果つる」

夜空にほんの一瞬 輝いた流れ星
あの光に 一体何人の人が気付いただろうか
あの一瞬に 一体何人の人が空を見上げただろうか

きっと 空で燃え尽きてしまっただろうから
きっと 地上には届かなかっただろうから
あの瞬間に立ち会った人にしかわからないけど

僕は忘れない

あの夜 名もない宇宙の塵がとても明るく輝いた事を
あの夜 願いを言う間もなく通り過ぎていった一瞬の輝きの事を
僕は決して忘れない

(山口竜志選手に捧ぐ)