東京は北区
19:00startの某興行にて
☆川村亮 vs 新井健一郎
ドイツの某地方都市で活動している某ローカル団体に、初めて一人で試合しに行ったときのこと
このときの興行はヨーロッパ各地と、アメリカと日本から選手を集めて行うというものだったんだけど
まぁこういう現場って言い方は悪いけど、寄せ集めのレスラーによる単発の興行なんで
試合前でも試合中でも試合後でも、なにかの拍子で信頼関係が崩れてケンカになることも大いにあるわけだ
そんな海外ローカルプロレス独特の、賑やかな中にも緊張感がかすかに漂う控え室に入り
一通り挨拶を済ませて、スペースを確保
あぁ、日本人は当然オレ一人なわけで、流石に心細いったらありゃしない
なので、ちょっとリラックスしようと鞄からタバコを出すと
隣のレスラーが血相を変えつつ、わかりやすい英語でオレにこう言ってきた
「おい!ここのボスはタバコが大嫌いだから、吸ってるとこ見られたら食らわされるぞ!」
どうやらここのボスは、大の嫌煙家らしい
「え〜?そんなの自己責任じゃん!?」
そう思ったところで仕方がないわな
だって、ここにはここの流儀があるんだから
じゃ〜タバコは諦めるかぁと鞄にしまおうとしたら、彼は続けてオレにこんなようなことを言ってきた
「どうしても吸いたければ、地下室に行ってきな」
これはありがたいとばかりに地下に降りてみると、倉庫なのかなんなのか
机も椅子も棚もなにひとつ置いてない、白いタイル張りの薄暗い部屋があってさ
雰囲気的にはそれこそ、掟を破ったレスラーはここでリンチされんだろうなぁっていう
ちょっと冷たい感じがする部屋だったんだけど
でももうそこぐらいしかなかったから、そこでタバコを吸っていると
ついさっき挨拶したばっかりの、身長は190センチに体重は140キロはあろうかという
顔つきも見るからに悪ガキっぽい巨漢レスラーが入ってきたではないか
「うわ!ひょっとして、こいつ・・・ボスの手下で、タバコ吸ってるオレを食らわしに来たってか!?」
そう思って身構えていると、そいつはオレにこう言ってきたんだよ
「オレ、数年前に覆面かぶって●●●●(日本のプロレス団体)に行って試合したことがあるんだけどさ・・・」
な〜んだ、日本経験者か・・・と
いやいや、ちょっと待てよと
もしこいつがその来日時に、日本人レスラーからなにかしらの嫌がらせをされていたとしたら
「オレは日本人が大嫌いなんだよっ!」
つって、やっぱりオレをシメに来たんじゃ・・・!?
あ〜!もうきっとそうなんだ!
ん!?てことは・・・
はは〜ん、わかったぞ
だいたいボスがタバコが大嫌いってのも、嘘なんだろ〜よ
この巨漢レスラーの積年の鬱憤を晴らさせるべく
みんなで協力して、オレをこの地下室に来させるよう仕向けたに違いないんだ!
ちっきしょ〜(怒)・・・ドイツまで来てハメられたやんけ!(泣)
と観念しかけた、その瞬間
そいつはオレにこう言ってきたんだ!
「ジャパニーズパイ●゜ンガール、イチバ〜ン!」
なんじゃそりゃ!(怒)
話を聞くと、どうやらこいつはその来日時に
たまたまやった女がパイ●゜ンで
それで目覚めたのか、もともとフェチだったのかはわからないけど
とにかくそれが最高に良かったらしい・・・
初対面の巨漢レスラーからいきなりそんな話をされて、ただただ唖然としているオレに向かって一通り
ジャパニーズパイ●゜ンガールへの熱い思いや感謝を述べると、そいつは去って行ったんだけど・・・
いや〜、それにしても
遠路はるばるやって来たドイツの薄暗い地下室で、オレはいったいナニを聞かされてんだか??
で、その日の対戦相手はそいつでやんのな
もうなにがなんだか(泣)