メキシコって



貧富の差が激しいって、よくいいますが



ほんとその通りで貧しい人は、とことん貧しい生活をしいられています



しかし不思議と、そこに暗さはなく



みんながみんな逞しく生きていて、笑顔もそこかしこに溢れています



いかにも貧乏そうなボロッボロの家から、ものすごく太った方が出てくることもよくあって



「お前、余裕で食えてんじゃね〜かっ!」て、思わずツッコミを入れたくなりますからね



私はそんなデタラメなメキシコ(人)が大好きです



街の至るところで、露店がこれでもかっちゅうほど立ち並んでて活気があるところも大好きですし



飲食店はもちろん、売れるものならなんでも売ってやろうというあの商魂たるや、見ていて清々しさすら覚えます



ほんと、なんでも売ってますから



日用雑貨類はもちろん



adidaasのスニーカーだって



SUNNYのウォークマンだって



ありとあらゆるものが道端で売られてますし



あのROMEXの腕時計だって、近所のスーパーに買い物に行く感覚で買えますからね



エロ本やエロビデオ専門の露店なんかもざらにあって、通るとついつい覗いて過ごしたものでした



そんなある日、とあるエロ露店で



推定年齢90歳オーバーのお婆ちゃん単体もののエロビデオを発見しました



しかも信じられないことに、そのパッケージにはアルファベットで大きく



「DEBUT!」



と、書いてあるではありませんか!



本当かどうかはさておき、どうやらこのビデオはお婆ちゃんのデビュー作らしいのです



ついて良い嘘と悪い嘘



この2つが混在しながら押し寄せてくる世界観に



私はメキシコ中の唐辛子を肛門の中に突っ込まれたかのような衝撃に襲われました



しかし受けた衝撃は、これだけではございません



そのお婆ちゃんのエロビデオを売っている露店の店員が



なんと、推定年齢10歳くらいの男の子だったのです



そのときの、私の眼の前にあるそれは



「90歳でAVデビューしたお婆ちゃんのビデオを売る10歳の男の子」



という、ガイドブックには決して載らないメキシコの日常



もう、なにがなんだか・・・



いや、これにはきっと事情があるのです



然るにこれは、メキシコ社会に蔓延る貧富の差が悪いんであって



この男の子が別に悪いわけではないんだと



この子だって、こんな仕事を好き好んでやっているわけではないんだと



そんなことを考えながらやるせない気持ちになっていると、ふいにその男の子と眼が合いました



私は瞬時に固まってしまいました



明らかに眼の奥が疲れているというか、老けているというか・・・



その一瞬でいろんなものが見えてきてしまい、私の心は本当に不条理感でいっぱいになりました



そして日本の子供にはあり得ない、切なさと強かさを併せ持つその眼差しが



私にはっきりと、こう訴えかけていたような気がしたのです



「裕福な日本人なんて、こんなボクを見て笑うんでしょ?」



「そんなにお金持ってんなら助けてよ・・・ここからボクを救い出してよ!」と・・・



たかだかほんの数十秒の出来事でしたが、私はもうこの男の子に完全に情がわいているのがわかりました



日本男児として、「今ここで一肌脱がなきゃいつ脱ぐんだ!?」と



熱い気持ちになった私は



「坊や、お釣りは要らないから」



「そのお釣りで食えるだけタコス食べてきていいからさ」と言い残し



そのお婆ちゃんのビデオを買って帰ったのでありました



帰ってからそのビデオを、恐る恐る観てみると



F1のレースが録画されておりました



セナはやっぱり速かったですね



合掌
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