おれの出番はオープニングのシングルマッチだった



対戦相手は初顔合わせのレオン・バン・ギャスタレンという、おれと同じスキンヘッドで体格もよく似たベビーフェースのレスラーで、いわばハノーバーの売り出し中の若手というところか



「なんだよ!?普段日本で試合してるのと変わんねぇじゃん!ど〜せなら2メートルくらいある奴とやりたかったぜ・・・」



そんな愚痴を日本語が通じないのをいいことに、実際に声に出す



それも沢田研二の「サムライ」のメロデーに強引にのせながら



一人で海外に行ったときのおれの信条は「なにごとも楽しむこと」だから、これでいい



こうすると愚痴が愚痴でなくなるから



10月3日 pm8:00(現地時間)



予定通り、大会はスタートした



場内は超満員札止め



二年前にハノーバーに来たときと同じアリーナなので、現地の客のおれに対する反応は、まず間違いなくブーイングだろう



気になるのは対戦相手のレオンの反応だ



奴が先に入場する



客の食いつきは、果たして・・・?



「ワ-ワ-!キャーキャー!!レ-オン!レ-オン!」



場内は割れんばかりの大声援!



「しめた!」



おれはこの時点で、試合の手応えを感じた



レオンはハノーバーの人たちにかなり愛されているベビーフェース中のベビーフェースだったのだ



「よし!いけるぞ!!」



おれは気合いを入れて、自分のテーマ曲がかかるのを待っていたのだが・・・



※気が向いたら続く

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