月夜の散歩

朝一番の葛藤は
インコちゃんの抱っこ。

朝の時間は貴重
抱っこしている暇はない。

早朝薄暗がりの中
ケージを静かに開ける。

そ～っと離れようとすると
ケージの入り口に可愛い影。

よじよじ出て来て
寝ぼけてピイィと
うずくまるインコちゃん
其れはもう放って置けない可愛さ。

肩を差し出すと
よいしょと上り腕を伝う。

逆手に収まると
満足そうに欠伸してウトウト。

ここから朝一プリリ迄見守る。

今日の離れ技
決め手はシャツふんわり
包み愛情を添えて。

帰り次第身支度を整えて
インコちゃんを抱っこ。

自分からしてる訳じゃないんです
手の中に入って来るんです
しかも逆手好き何です。

抱っこで始まり
抱っこで終わる１日。

良いじゃない。

小指からぷくっと出てる
血の一滴。

ツンツンツンとして
ガブリした可愛い顔を眺める。

噛んじゃダメって
言ってるでしょ？
って言っても解らない
インコだから。

不意にちりりんちりりんと
鈴の音が鳴る。

何だろうと立ち上がると
インコちゃんは逆手に
納まったままふるふる震えてる。

気が強くて臆病な
ところもキュート。

じっくり耳を澄ますと
ちりりんちりりん。

インコちゃんが鳴らす
おもちゃのベルの音に似ているけど
インコちゃんは手の中に居る。

結果音の出どころ分からず
ちょっと謎現象だった。

夜明け前にインコちゃんの
ケージを開ける。

傍に居ると無反応のインコちゃん
そっと部屋から出ようとすると
よじよじと三角ポーチから出て来て
我を求める。

ですよね～ってなる
抱っこしないで出勤とか
納得しないですよね。

差し出す肩に嘴でしがみつくと
寝ぼけた足取りで腕を伝い
逆手に納まるインコちゃん。

眠いらしく
漸くは羽を膨らませて
じーっとしてる。

30分程して目覚めた
インコちゃんと朝の攻防。

今日の決まり手は
肩に留まったインコちゃん毎
そ～っと上着を脱いで
包んで置いた
上着くるみ固め優しさを添えて。

何事とインコちゃんが
出て来た時には
ごめんねごめんね
行ってきますと声掛け。

ケージ開けるだけで
出勤すれば良いとも
思うけど愛情不足良くないの
信念から抱っこが欠かせない。

可愛いインコちゃん。
逆手で抱っこされるのが大好きで
小さな頭をくりくりして
すぼめた手の中に入り込む。

欠伸したり羽繕いしたり
顔カキカキ足をアグアグ
したりして自由に過ごす。

出勤前は離れて貰うのに一苦労。

上着脱いでも上手く躱して
肩に居る。

好物のバナナやリンゴ
シードで釣っても指を掴んで
ササッと一口離れない。

離そうとしても
嫌～っ！ってしがみつく。

可愛くて泣けてくるけど
遅刻してしまう。

お願いお願いインコちゃん
遅刻しちゃうよ。
働かないとインコちゃんの
御飯買えないよ。

でスルッと離れたりもする。

天才かと思う。

日々其なりに噛まれるので
小さな傷が絶えない。

何で噛むの？って
言っても分からない。
インコだから。

血も出るけど余り
気にならない。

寂しがり屋の
可愛いインコちゃんを
納得するまで愛でてあげようと
逆手抱っこ。

２時間経っても
納得しなかった。

よく聞くのは
あ～もう生きてたって
しょうがないとか
早くしにたいとか何とか。

元気だなと思う。

何も言わなくなって
食べなくなると
大丈夫かなと思う。

食べれるなら
元気無くても
そのうち出る。

誰も信じられない
あなたの事も。

とか言われても気にならない。

そういう気持ちに
なる時もあるよね
って言ってみたり。

でも信じ合わなきゃ
ダメじゃない？

何で？

この辺がドライと
言われる所以か。

にこやかに寄り添う
自分を想像してみる。

きっと疲れて行き詰まる。