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DEEP M-1 CHALLENGE 3rd EDITION in JAPAN
2009/4/29@ディファ有明



ヒョードルがディファ有明のリングに立つ・・・もはやそれは事件である。

DEEPが日本代表として協力している『M-1GLOBAL』はその名の通り世界各地から有望選手を集め競い合わせる人材育成の舞台。
たしかにUFCとはビジョンが異なる戦略を理解できた。

契約の条件をあくまでも独占とし、他のプロモーションで試合することを禁ずるUFCのもとでは、今回のようなヒョードルの姿を観ることは叶わなかった。

実戦でなくとも、エキシビジョンと言えども、たとえ3分間でも、ヒョードルが間近でアクションするのなら、それは観たいに決まっている。
いや、皇帝と呼ばれる現役最強王者を拝んで、少しでも強さのエッセンスをお裾分けしてもらいたいと願うのが、格闘技を支えるファンの中の真のファンの姿勢だ。

ヒョードルと対するのは青木真也。エキシビジョンだから成り立つ組み合わせも、ヒョードルの相手として最もふさわしいのが青木だった。
時代の寵児にあてがわれたご褒美は、我々格闘技ファンも納得できる贅沢なひとときとなった。

赤いサンボ衣をまとったヒョードルと青木は揃ってニコニコ。
ゆるい空気の中でもヒョードルの一挙手一投足を一瞬たりとも見逃すまいと客席から視線が集中する。大会を通して最も濃密な時間だった。

豪快なリフトアップ、大胆な払い腰、一転緻密なサブミッションとヒョードルは魅せてくれた。
やっぱり、動くヒョードルが観れて嬉しいことこの上なし、だ。

リングサイドにはM-1とAfflictionの幹部がズラリ。これは近い将来の日本イベント開催を予感せざるをえない。
セコンドではあるが、なんとランペイジ・ジャクソンもいた。UFCとの契約は大丈夫か!?

ヒョードルが歩いたあとには次に繋がる格闘技の未来がある。ヒョードルが笑えば業界も笑えるようになる。
ヒョードルとM-1によるMMA新基準が何だかやってくれそうなしてきた。
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DEEP 38 IMPACT
2008/10/23@後楽園ホール



終わってみれば、メインに登場した柴田勝頼が最もインパクトを残していた。

地上波での露出がずば抜けいるからなのか。DEEPの会場に来る人は一見さんよりも格闘技を深く知るマニア層の会話で「柴田観ておきたいねえ」という声があちこちで聞こえた。

格闘技キャリアはまだグリーンボーイの域。しかし地上波テレビで全国に伝えられた“狂犬”キャラや知名度あるある船木の後ろ楯もあり、柴田はDEEPに招かれた特別枠に見えた。

入場であのダッシュをしてくれるのか、という期待感は蔓延していた。わずか10メートルに満たない花道ダッシュにドッと沸いた。

リングに立った柴田はかなりデカく見えた。船木直伝のハイブリッド肉体改造を遂げた柴田は、“らしい”雰囲気をプンプン匂わせている。
本来勝負論で語られるべきリアルファイトの世界で、プロレスラーという存在が勝敗を超越した特殊な価値を作ってきたが、柴田は久々にプロレスラー魂を押し通す気概を持った者である。

とにかく声がいい。
プロレスラー特有の喉を絞って低いのだが高いような発声。芸人で例えれば、ケンドー・コバヤシ。ケンコバも生粋のプロレスファンとして習得したのだろう。
現在の師匠・船木もこの声の使い手。柴田のなりきり具合はそのままプロ意識として買える。

滑川にテイクダウンを奪われ、マウントも奪われ、やはり総合格闘技スキルはまだまだだが、柴田は劣勢をプロレスラーの気で盛り返してみせた。
柴田に飛んだこの日唯一の自然発生コール。これもプロレスの味。

ドローの結果も、普段よりダウンサイズした後楽園ホールで誰よりも大きな存在感を示した柴田の価値を至近距離で知った。
まだキャラ先行段階だが、この先ベーシックな総合テクニックを身に付けていけば・・・と願いたいが、プロレスラーらしさを貫くための独自のこだわりがあるならば、柴田の進む道筋までは外野に指図はできないか。
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DEEPらしさ炸裂のメインイベントである。

2001年に旗揚げしたDEEPが独自の存在感を発揮しまくった原動力は、団体の垣根を取っ払った夢の日本人対決実現だった。
中立の舞台という位置付けで、本来ありえない“U”系対決が続出したからたまらなかった。

リングスvsパンクラスvsUインターvs修斗。

やがてDEEPがPRIDEと融合し、PRIDE後の今はいつしか日本総合格闘技界の中枢を担う役割を果たすまでしなった。

DEEPならではにプロレスラー路線もあり。
ルチャリブレの覆面軍団招聘時のキテレツさも忘れられないDEEP独自の一面だ。

HERO'S〜DREAMで星は震わぬもキャラクター際立つ存在感で一際大きな歓声を集めている柴田がDEEPに来たことで、実力に適正し柴田の魅力を広げられるマッチメイクが保証されるだろう。

元新日本プロレス、現・船木の弟子が相対するは、元・前田日明のリングス純粋培養選手・滑川。
DEEPらしい絶妙なカードではないか。

試合展開云々よりも、まずは組み合わせの妙。

柴田絡みでは今後、入江なんか面白そうだなあ。
せめてDREAMでミノワマン戦には辿り着いてもらいたいが。
純粋に実力勝負で行くなら桜井隆多や福田力、中西裕一などとDEEPミドル級タイトル争いをできるくらいにはなってほしいものだ。
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