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PRIDE時代のこだわり度数No.1カードが、遂に、ようやく実現することになった。
正直、ピークは過ぎてしまった感は拭えないが、現在の停滞感ある格闘技界でコアな部分を担う“R35”ファンを中心に起爆剤となる切り札カードであることは間違いない。

桜庭も田村も共に、リアルファイトでのUロードを歩んできた。
分派したUの夢の対面として、共に美濃輪、船木と交わり勝利してきた。
現在の総合格闘技シーンでまミクロな世界かもしれないが、それでも“ケジメ”として確認し、落着させなければならない、残された最後の宿題のようなもの。それがこの桜庭vs田村である。

田村は今回の桜庭戦受諾の決断を“流れ”と表現した。
月日を要しているが、たしかに田村はひとつひとつUのケジメをつけてきた。
田村にとっては桜庭は同い年だが後輩。田村にとって永遠に変わることのない上下関係はあるだろう。

先輩の意地。この一戦で田村に視点を置けば、絶対に負けられない、なんとしてでも勝たなければならないという感情が見えてくるはずだし、そんな感情が見たい。
高田戦で流した涙、吉田戦で露にした悔しさ。
桜庭戦を安堵の表情で終えることができるのか、非情な現実に打ちひしがれるのか。
桜庭という重圧に田村のポーカーフェイスを崩してほしい。
何気に私は田村を主役にこの試合を観たくなってきた。

対する桜庭は、実績でもステータスでも田村を事実上越えた存在になっていた。
もしPRIDEで両者の対戦が持ち上がったときに、つまり両者がピークのタイミングで実現していたなら、私は桜庭完勝に投票する。

主催者からのしつこいまでのラブコールと、実現を望むファンの声。桜庭は快諾していても肝心の対戦相手にフラれ続けてきた。
桜庭から田村へのアピールは周りの希望を代弁したもの。そう、桜庭が田村と決定的に違う点は、ピープルズヒーローであることだ。

Uを巡るマッチメイクでも残された一戦であることを桜庭自身が理解しているだろう。
しかし田村が抱いているほど桜庭はこの一戦を特別視してはいないだろう。
桜庭のリアルファイト戦歴にまだ記されていない相手。ドライになればなるほど桜庭が有利になる。先輩に対して胸を貸す。田村に対してリスクの少ない桜庭が絶対的優位に立っていると思うのは私だけだろうか。

桜庭の不安材料は骨折した腕の治療明け初戦であること。必ずしも万全な状態ではない桜庭に対して田村の言う“流れ”が合ったとは思いたくないが・・・

「時間無制限で素手打撃ルール」というとんでもない提案をしてみせた桜庭のリップサービスに対し、田村には「ならばUスタイルルールでやろう!」と返してほしかった。
Uに対するこだわりと愛は俺は誰にも負けない!と、Uを遺物とさせない決意を田村には表してほしかった。逆に言えば田村はそのくらいの自己ブランディングをしなければ桜庭と並べるだけの支持は得られない。
だからこそ田村に注目なのだ。

高田延彦の敵討ちでもなければ榊原さんへの恩返しでもない。
幾多の壁を乗り越えて、2008年末、Dynamite!!を舞台に実現することになった日本格闘技界最後の運命の一戦をどう観ていくか。その気持ちはさまざまだろうが、少なくとも言えることは、これで一区切りがつく、ということである。
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2008年11月12日  [Web全体に公開]
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