便所三郎は、株の才能があったようで、連日、連勝百万円あった元手が既に壱億円までふくれあがっていました。毎日、接客とデイトレードの繰り返し。便所三郎の愛に溢れる接客と、会計はホスト持ちという事もあり、便所三郎は、半年でNo.1ホストになっていました。けれども、いくらタフな便所三郎であっても、体力の限界はくる。頑張れば頑張るだけ、便所三郎の体力を奪う。そこでへこたれないのが便所三郎なのです。くる日もくる日も、ハードワークを続け便所三郎は、ついに倒れてしまいました。病院の一室には、毎日お見舞いの行列ができていました。そう、今まで、便所三郎の愛に助けられたホストクラブのお客さんや、道を踏み外しそうになった時便所三郎に助けられたこえだめ一家の仲間や、便所三郎派のホスト達が毎日、毎日お見舞いに来ていたのです。その時、気付いたのです。自分は人の為に今まで生きてきたつもりだったけど、こんなにも自分の為になっていたのか。その日以来、便所三郎は、クラブ愛から、忽然と姿を消してしまったのです。
さあ、社会人になった便所三郎。今まで経験した事のない荒波にもまれています。毎日、毎日、キャッチに行きますが、誰が熊みたいなホストに付いて行くでしょうか。しかし、便所三郎の無償の愛が伝わり、入社三か月で初めてお客さんを連れて行くことに成功しました。しかし、お会計の時に便所三郎は愕然としました。「これは無償の愛じゃない。」そうです、お客様から、お代をいただいていたら、それは無償ではありません。便所三郎は、壁にぶつかっていました。そこで腐らないのが便所三郎。持って生まれたうたれ強さで、その難局を打破しました。そう、デイトレードです。柏さんからもらっていた、月々千円のお小遣いと、高校の時にやっていた清掃の仕事で溜めた百万円を手に、便所三郎は、兜町に乗り込んだのでした。