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戦極 第六陣
2008/11/1@さいたまスーパーアリーナ



独特の異様ムードに切り替わって入場ゲートを進みリングに上がる北岡の“スタイル”は戦極名物になりつつある。明らかに北岡は戦極の舞台でハジけた。旗揚げイヤーの第六戦、年内最終大会のメインとなる二階級のグランプリシリーズを締めてみせたのも北岡だった。

初戦は足関サブミッションでパンクラスらしく秒殺突破、決勝はフルラウンドに及ぶも優勢をキープし、グランプリ制覇というビッグタイトルを手にしてみせた。
これは北岡個人にとってはもちろんのことパンクラスにとっても嬉しく大きいことだ。

北岡を通したその先にどうしてもパンクラスを見てしまう。
ここ数年の目にあまる凋落ぶりに他人事でない辛さを覚えながら、余計にかつての様々なパンクラスの名シーンを思い出していた。
するとどうしたことか、リング上に最後に立った北岡にパンクラスの歴史が凝縮されて乗り移っているではないか。

戦極の名物となりつつある北岡の戦闘モード。
入場時から完全に“世界”に入ってしまうその佇まい。
白目をひんむき、目の前の対戦相手を睨み付ける。

このシーン、パンクラス初期に船木が見せていたではないか。
真っ先に思い出されるのは博多での高橋戦。両者ともに白目をひんむき合って、リング上の異様な緊張感は会場中に伝染し、観客は拳を突き上げて大興奮。
パンクラスの独自性のひとつに、このなりきり戦闘モードはあった。

そして北岡が見せる過剰なまでの勝利の雄叫び。全身に力を込めて、両腕を突き上げて跳び上がる。
パンクラシストに課せられた義務のように、そういえばかつては勝利後の歓喜の体現を誰もが見せた。これはパンクラスなりのプロ魂の表現として教えてられていたのだろう。
北岡の歓喜は、かつての鈴木みのるのポーズそのものである。

最後にマイクを持った北岡は、人生の師匠、先輩3人の名をあげ、感謝の意を表した。
鈴木みのる、中井祐樹、そして船木誠勝。
修斗の中心的ジム・パレストラで鍛練した北岡が進んだ道はパンクラス。当時の修斗とパンクラスの立ち位置を考えたらあり得ない選択こそ、北岡が成し遂げた価値ある“ハイブリッド”。

専門誌で自ら語ったように、今や北岡こそがパンクラス、そう捉え認識するのがパンクラスの未来である。
それだけに、今回のグランプリ制覇は本当に大きな大きな結果である。

まさかの敗戦を喫しながらも、リング上に上がって計画通りの王座決定戦に臨むことになった五味に対しても、北岡は臆することなく不思議な空気のマイクアピールを貫いてみせた。

五味vs北岡、これは面白く興味深い対決になりそうだ。
日本人相手に滅法強さを発揮し激情を体現できる五味のあるべき姿を、北岡が蘇らせてくれればいい。
ただしそれでは北岡は許さない。パンクラスを背負って五味を越え、世界を目指す。
戦極らしさの日本人対決、旗揚げ以来最大のクライマックスが来年1月4日にやって来る。
北岡が五味をもハイブリッドしてくれれば、この上なく痛快な現在進行形パンクラスとなる。
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