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青木真也のStrikeforce参戦決定!
初戦でギルバート・メレンデスとタイトル戦!



このニュースを素直に喜びたい。日本のMMAマーケットがワールドスタンダードと一線を画した極東の独立地域となってしまわないために、日本を主戦場としたファイターたちが正当な評価を受け価値を持ってもらうために、日本のトップ選手である青木が先陣を行くことには大きな意味がある。


では“ワールドスタンダード”とは何か?
PRIDEの栄光時代を共にした日本人ファンはなかなか認めたくないだろうが、こればかりは仕方がない。MMAを牽引しているのはアメリカでありUFCである。
“UFCアレルギー”を持つ日本のファンは実は少なくないと思う。その気持ちは分かる。PRIDEを買収してもブランドは存続させ、“MMAワールドシリーズ”を実現すると高らかに宣言したにも関わらず実態はご存知の通り。
しかしPRIDEブランドは映像アーカイブとマーチャンダイズで生きていたりする。PRIDEは殺されてはいない。これがアメリカ流なんだと理解するしかない。


PRIDEの晩年から国内二大メジャー体制に変遷した現在に至るまで、日本総合格闘技界の立役者の筆頭格に挙げられるのは間違いなく青木真也である。
常に話題の中心に位置し、誰よりもシビアかつワールドクラスなマッチメイクを強いられながらも劇的な印象と共に結果を残してきた。
昨年の大晦日こそ立ち振舞いでクレームを集めてしまいはしたが、肝心のファイトではグーの音も出ないほどの内容と結果を残した以上、青木が進むべき道は“枠”から外れていくしかなかったはずだ。


日本から世界へ、もといアメリカへ・・・“日本国内最強”のままで満足するなら別だが、もはや日本に留まっていては交じることさえできない評価されたファイターたちがアメリカの地に集まっている現状、世界レベルの実力を証明するならばその争いに参入するしかない。


UFCで敵なし状態の王者に君臨しているBJペンが事実上のライト級世界一と目されてはいるが、この階級に関しては必ずしもUFC=No.1というわけではないところに、今回の青木=DREAMの選択の可能性がある。
ビジネス規模ではまだまだUFCの足元にも及ばないが、質では決して決定的な格差ないファイターたちを抱えているアメリカNo.2プロモーション『Strikeforce』とのパートナーシップにより、今年は日本人トップファイターがアメリカで名を売り始める大きな一歩となるべきである。


BJペンが独走状態に陥ってしまっているUFCに対して、Strikeforce&DREAM連合軍は名前あるタレントが揃っている。しかもUFC未経験者ばかり。ペンに敗れてきたUFCのトップコンテンダーたちとStrikforce勢の実力に開きがあるのか拮抗しているのかは実際に闘ってみないと分からないが、少なくともUFCにとっては日米同盟のライト級人材は喉から手が出るほど欲しいはずだ。


一見UFCが独走状態のアメリカMMAシーンだが、各階級別によく見ていけば第二陣にも大いに浮上するチャンスがある。
ライトのみならず、ウェルター、ミドル、ライトヘビー、ヘビーの各王者の顔ぶれを見ればStrikeforceはUFCにとって脅威になる対抗勢力である。あとはプロモーション方法次第か。


ニック・ディアズ、ジェイク・シールズ、ゲガール・ムサシ、エメリヤーエンコ・ヒョードル。さらにダンヘンやアリスター・オーフレイム、ジョシュ・トムソン、ロビー・ローラーがひしめき青木が絡もうとしている。
名前を羅列しながら興奮してきた。
DREAM出場組のトップファイターがすでにStrikeforceに上がっていることから日米のリンクはスムーズだ。
ジャカレイ、メイヘム・ミラー、ザロムスキー、マヌーフ・・・ビッグネームがうようよ。
日本から見ればStrikeforceはDREAMの海外支社だと都合よく捉えてしまえばアレルギーなくアメリカに心を持っていけるのではないか。


いよいよこの非UFC勢力に日本から青木真也の名が加わることになる。
青木は日本国内では問答無用の頂点にいることをここ数年で証明してみせた。
青木にとって日本国内でやらねばならない残された仕事は一つ、川尻とのチャンピオンシップだが、昨年大晦日の機を逸してしまった上に、アメリカ進出も決まったことで、しばらくは必然性あるタイミングを見ていくべきだろう。
今、青木がやるべき最重要課題はStrikeforceで勝利し、王者となること。そうなれば一気に日本総合格闘技界の明日が開けていく。


王者の青木を追ってアメリカ側がDREAMに乗り込んでくる。
さらに青木に続く日本人ファイターにも期待が及び、川尻や桜井マッハ、長南たちの渡米機会も増えていくだろう。
アメリカのメディアを通じて日本人ファイターの名前を売っていく。ようやく日本のMMAが真の世界戦略を始める第一歩となるべく、青木のアメリカ初戦は大きな重みを持つ。


しかしこれまで青木は誰よりももシビアな闘いを強いられ、結果を残してきた。
青木ならアメリカの地でも必ずやってくれるはず。
青木のマジカルサブミッションにヤンヤの大喝采が飛び交う様をまずは妄想しておくとしよう。
日本との歓声のボルテージの段違いぶりに青木本人がアメリカに病み付きになってしまえば、ますますジャパニーズMMAの未来は明るい。
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・【ASTRA】何気に嬉しいエンセン井上MMA復帰
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【閲覧中】【Strikeforce】青木真也を機にアメリカに乗り込んでいくしかない
2010年03月16日  [Web全体に公開]

1件のコメント


  1. byヴィル on 2010年5月1日 @14時34分

    青木にはもう期待できません。

    これから日本を背負うのは秋山です。