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DREAM.14
2010/5/29@さいたまスーパーアリーナ



青木vsメレンデスのストライクフォース決戦を前に、日米関係協力推進策第2弾強力カードがDREAMから発表された。


桜井“マッハ”速人 vs ニック・ディアズ


日本の格闘技ファンにとってディアズはPRIDEラスベガス大会で五味からタップを奪った印象が一番強いだろうが、さらに日本のオールドファンにとって強い記録はフランク・シャムロックを完膚なきまでに叩きのめしてしまったことだ。
事実上のDREAM×Strikeforce王座統一戦でマッハをKOしたザロムスキーにも完勝しているニック・ディアズは日本にとっては“まだ掴みどころのない”強豪と言ったところだろうか。
ボクシングよし、サブミッションよしのディアズは私のフェイバリットファイターのひとり。UFCを敵なしで独走するGSPとまともに真っ向勝負できる貴重な非UFCファイターのトップ中のトップと断言したい。


が、今回ばかりはディアズを敵にまわして、我らが日本代表のマッハを応援しなければならない。
マッハのワールドクラスチャレンジはまだ道半ばだから。修斗王座を失ってから海外選手だけでなく日本人にも黒星を喫することがあるマッハだが、それでもまだまだマッハには世界で対戦してほしいファイターがたくさんいるから。


修斗〜PRIDEで幾多の海外強豪と相対してきたマッハでのMMAは実は2回しか闘っていない(アブダビやゴールデントロフィーは除く)。
アメリカでトレーニングキャンプを張るようになったマッハだからこそ、現地のトップファイターとアメリカ流の力比べをしてほしいのだ。


今回のディアズ戦はマッハに対して用意できる現状考えうる最高最強の相手。下馬評は芳しくないが、そんな逆境を覆してみせるのがマッハの底力と信じたい。


アメリカとの絡み、アメリカでの実力証明が避けられなくなった今、青木はナッシュビルに飛び、マッハは現役王者を迎え撃つ。
一体日本がナンボのものか見せてやれ! 世界の舞台で日本人を応援するという、世界スポーツの正しい姿が本格的に始まろうとしている。
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DREAM.13
2010/3/22@横浜アリーナ
直前コラム



“13”で起こった大転換をどれだけの者が覚えているだろうか。時は2001年、PRIDEが桜庭のグレイシー狩りシリーズで勢いを加速させていた真っ只中、同じく桜の季節。『PRIDE.13』大会から主催者はより過激なルールを導入した。「4点ポジション時の頭部への足による打撃攻撃」の解禁。このルールを自分のものにしたヴァンダレイ・シウバが桜庭を破り、スターダムを駆け上がる大きな大きな一歩を踏んだ・・・・・・


DREAMとして3年目、13回目の大会を迎えようとしている。DREAMにとっての“13”の転換は何になるのか。それは“青木”であり、“アメリカ”である。


今大会のラインナップを見て違和感を覚える人が多いはずだ。
そう、青木の名前がない。
青木は文字通り大黒柱としてDREAMの旗揚げからほとんどの大会でリングに立ってきた。もはや青木真也の姿があって当たり前という感覚の中、いざ青木がいないとぽっかりと大きな穴が開いてしまい、DREAMなのにDREAMでない気がしてならない。
DREAMを留守にする間、青木が赴く先はご存知のようにアメリカ。MMA隆盛の地でUFCを向こうに回し、DREAMと協力関係にあるStrikeforceに初出場する。
この動きこそ“13”の転換である。


MMAの中心となったアメリカに、総合格闘技発祥国・日本の代表が乗り込む記念すぶき1ページ。
しかし青木はアメリカに飲み込まれに行くのではなく、日本を、DREAMをアピールにしに行くのだ。
もはや日本国内で完結する世界ではなくなったMMAシーンで、日本が存在を示す道はアメリカに行くことしかない。


PRIDE時代にも二度のラスベガス大会を実現したが、志なかばに崩壊してしまった。
しかしその時の種が三年の月日を経てアメリカで芽を出したと思えば合点がいかないか。
実はアメリカで初戦となる青木のファイト。だからこそ最初が肝心。この結果いかんでジャパニーズMMAの、DREAMの今後が大きく左右されてしまう。
ここは日本人ならば青木を心の底から応援するしかない。


青木を皮切りにDREAMにはアメリカ進出の人材が控えている。
今回初参戦となるUFC経験者・長南亮、同じく初参戦のジョシュ・バーネット、WEC経験者の前田吉朗、弘中もUFC経験者、またチャンピオンシップを争うビビアーノ・フェルナンデスとヨアキム・ハンセンもDREAMを背負ってアメリカ参戦してもらいたいものだ。
提携先のStrikeforceからは初来日のまだ見ぬ大物・KJヌーンがDREAMの地を踏む。
実に今後のアメリカ進出を期待させるラインナップではないか。


ジャパニーズMMAここにあり。
2010年のDREAMは日本の想いを込めてアメリカに逆襲していく。
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DREAM.13
2010/3/22@横浜アリーナ



ようやく発表されたDREAMの2010年、3月の開幕大会で、いきなり、この目を疑う外国人対決が発表された。


ビビアーノ・フェルナンデスvsヨアキム・ハンセン


!!!???


なんとヨアキムがフェザー級に落とし、二階級制覇に挑むチャンピオンシップ。
びっくり。
ライト級でもトップクラスにいたヨアキムが下の階級に来たら、とんでもない強さで相手がいなくなっちゃうんじゃないの?
まったくもって予想すらしなかった顔合わせに目が覚めた。


続くビッグニュースは行き先が注目されていた日本人トップランカー・長南亮が満を持して日本メジャーに復帰。
桜井マッハの孤軍奮闘状態だったウェルター級に頼もしい人材が入ってくる。
是非とも王座戦線に絡んでもらいたい。


世間への格闘技の健全発信のリーダーとして、今年のDREAMに期待したい。
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DREAM.11
2009/10/6@横浜アリーナ



日本のメジャーMMAプロモーションが揃って実施した2009年のメイン企画・フェザー級グランプリが遂にファイナルを迎えた。“じみつよ”な日本人色が強かった戦極に対して、TBS系列全国ネット中継向けに分かりやすいキャラクター演出で味付けされたDREAM。国際色の豊かさに勝ったDREAMは、ブラジル人王者の誕生で今後ワールドワイドでの混戦模様を伺わせてくれた。

“大本命”KID脱落のハプニングによりファイナルステージに進んだ日本人二名、高谷と所は王者を追うコンテンダーグループとしてKIDと肩を並べたと言ってよいだろう(所は敗者復活ではあったが人気面のバリューも加味して)。
その中でランキングを作るならば、所をパワフルなパウンドでねじ伏せた高谷がKIDと並ぶ日本代表のツートップとなろう。


高谷は今回のグランプリで最も名を上げた。軽量級でありながら一人打撃を武器にKOを積み重ねて決勝まで勝ち進んでみせた。
シビアな日本人対決をも力で乗り越えてみせた。テイクダウンに苦しんだ前田戦はワンパンチで大逆転、フラッシュダウンを二度も喫した所戦は仕返しとばかりに打撃の違いを思いしらせた。
目の前の獲物を捕らえて離さず詰め寄るプレッシャー。随所にみせる舌なめずりが高谷の野性味を際立たせていた。


KIDに土をつけたことで一躍注目の人となり、MMAキャリアは浅いものの優勝候補の呼び声をも集めたジョー・ウォーレンを、まるで総合格闘技黎明期にタイムスリップさせたかのような下からのアームバーで電光石火フィニッシュしたビビアーノも野性的コンプリートファイターに進化していた。
KID戦で見せた機敏さと瞬間極めモーションに加え、高谷と真っ向から勝負できる打撃が加わったのだから手がつけられない。


誰が予想できたかこの組み合わせ、高谷とビビアーノによる決勝戦はスプリットの接戦になったが、打撃一本の高谷よりも多彩な攻め手を繰り出したビビアーノが支持された。


でもこの結果で良かったと思う。
もし日本人がグランプリを制しベルトを獲得していたら、KIDと闘わずして“ヒエラルキー”が変わってしまうことになる。
しかし日本がトップとはならなかった。ならば、これまでKIDがフェザー級の“絶対君主”としてプロモーションの顔となってきたが、日本人ではなく外国人が実の頂点を極めたことで、KIDは頂きを目指すために日本人同士の競争を強いられることになる。
DREAMでまだ実現していないKID対日本が開戦する。本当はファンが観たかったのはこれだ。


かつてKIDに大接戦の末僅差判定で敗れているものの、ビビアーノが王者となったことでKIDとの再戦も必然となろう。
だがその前にKIDがやるべきことは王座挑戦権を掴むための日本人ナンバーワン決定戦へのエントリーである。


ならば、まず真っ先に実現すべきカードはKIDvs高谷だ。
マッチメイクの“色”は絶妙であり、DREAMのフェザー級日本人メンバーを見渡せば“KID対戦権”を与えて然るべき存在は準優勝の高谷が筆頭である。


早ければ大晦日から、少なくとも2010年のDREAMフェザー級戦線は本当に待ち望んでいたKID絡みのカードが実現していかねばならない。


ベルトの価値かKIDの価値か、この二つが混沌として絡めば絡むほど、DREAMフェザー級は面白くなっていく。
フェザー級黄金期の到来にときめく準備をしておこう。
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DREAM.12
2009/10/25@大阪城ホール



MMAがいちスポーツジャンルとして差別化されるためにアメリカでは多角形の金網に囲まれた“ケージ”が舞台として定着している。これはボクシングやプロレスとの違いをまず初めのビジュアルで示している。このケージがいよいよグローバルスタンダードになる時が来たということか、もはや日本は日本と独自スタイルに拘りすぎていると世界に取り残されてしまうことは明らかだ。

そこでDREAMなりのケージはいかなるものになるのか。
これは実に新鮮だった。アメリカでは揃えたように黒が基調になっているが、日本のメジャーが選んだのは正反対の白。これは通常使用しているリングと同カラーであり、オリジナリティーを表現できていた。
ケージの角数は6。UFCが登録商標を押さえているという八角形のオクタゴンとの違いともなり、業務提携を結んだストライクフォースと同じ仕様で協同路線も活性化することだろう。
さらにディテールの違いもあり、一見同じ金網だが素材が違うという。この細かさが日本らしいではないか。


中継では“WHITE CAGE”と紹介された白いヘキサゴンは、PRIDE崩壊後に実はいまだに心にこびりついているモヤモヤ感に風穴を開けてくれた気がする。
総合格闘技はもはやMMAなのだ。日本が業界の最高峰ではなくなった今、しかし世界有数のMMA人気エリアである以上、思い切ってリングを捨てる勇気は必要だし、やってしまった以上は今が絶好のタイミングである。


リングの方が観やすい、ケージの方が観づらい。そりゃそうだ。しかしこれは慣れというもの。テレビで流す分にはカメラワークが観づらさを解決してくれるし、ライブ会場ならばスタンド席のレイアウトよい会場を選び、中継と同じくカメラによるスクリーン演出でフォローすればよい。


金網だと野蛮に映り地上波テレビが嫌がるという。本当にそうならば事実上テレビ局の保有コンテンツとなっている以上プロモーションの存続に関わる死活問題となるため慎重にならざるをえない。
しかしMMAの舞台として金網多角形がグローバルスタンダードであるならば、最先端の情報を伝える役割を持つメディアとして、地上波テレビ局が拒否することはないのではないだろうか。


世界の流れに乗るという選択肢の一方で、日本は日本の独自価値観で行くという選択肢もある。
特にエンタメの世界では日本は独自マーケット。世界でヒットしたものが日本でもウケるとは限らない。映画にしろ音楽にしろ、昨今は和製ものが海外ものを凌駕しているという現実が証明している。
日本ではMMAは総合格闘技、戦場はリング。そう貫いても何の問題もない。MMAにも総合格闘技にも世界統一機構などなく、各プロモーションが各自のルールを設ければいいのだから。


でも明らかに理にかなっているのはケージだ。試合が途中で中断される“ストップドントムーブ”に日本のファンは慣れてしまったが、外国人が観たら「なんだあのルールは?ありえないだろ?」と思う。実際に私の身近でも同様の意見が海を渡って届いてきている。ロープの隙間から落ちてしまう、ロープが攻防の邪魔をしてしまう、そのような恐れと背中合わせの試合舞台はあるべきではない。
多角形ケージより優れた新たな舞台を開発できるのなら別だが、ケージが流通した今では日本も流れに乗ってしまうべきである。


ヘキサゴンのケージが受け入れられるために分かりやすいプロモーション案がある。
DREAMにとっては主催テレビ局・TBSではない他局の番組だが、日本で“ヘキサゴン”といえば、もれなくフジテレビの『クイズ! ヘキサゴンⅡ』である。
六角形のマットにぴたりとハマる『ヘキサゴン』のロゴマーク。
ヘキサゴンファミリータレントたちがケージで闘うわけはなく、せめてこのケージを使って番組収録なんてできないものか。
世間のファミリー層に対してケージというものの啓蒙ができ、認知が広がればオフィシャルの戦場としてテレビ局側がGOサインを出し導入できよう。


なんて実現性の薄い提案をしてみたが、私はいたって大真面目。
つまりは日本の総合格闘技はMMAとして、世界規準のものになってもらいたいのだ。
日本の舞台がケージとなり、最先端を行くアメリカとリンクすれば、日本にも有望なファイターたちが再び、もっと目を向けるようになっていくはず。


今こそ日本格闘技界変革の大チャンス。
今回新規製作したケージをスタンダードとし、2010年からルールも今回同様の5分3ラウンドとし、世界と繋がる新しいジャパニーズMMAを創っていってほしい。


“白いヘキサゴン”。日本発世界。日本格闘技の未来のためにも、今からやるしかない。
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