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本日、正午前のニュースで、その声に思わず振り返った。

「PRIDEなどで活躍した格闘家・エンセン井上・・・」

池袋のラブホテル街にあるコインパーキングに停めた車の後部座席にドアを開けて座っていたところ、職務質問をうけて、車内から大麻が見つかり、現行犯逮捕されたという。

エンセンはアメリカ国籍で、本名は井上エンセン正二、とも報道された。
修斗に初出場した際のリングネームも同じ本名だったことを思い出した。

グレイシー柔術がバーリトゥード界を席巻する中、その柔術を身に付けた未知の日系ヘビー級戦士として、エンセンはあまりにもセンセーショナルだった(郷野も顔負け?)。

格闘技を引用する際に“PRIDE”という単語が使われたことに驚いたが、私が見たニュースはTBSだったから使いやすかったのかもしれないし、PRIDEという名前が格闘技を言い表すのに対世間に伝わりやすかったのかもしれない。
実際にエンセンはTBS系の大会には出場していないが。

そういえばPRIDEでエンセンがホドリゴ・ノゲイラと闘った際も、同時期に暴力沙汰が発覚し、地上波でこの一戦は放送されなかった。

エンセンはすでに現役引退しているが、この報道が格闘技界にとってマイナスイメージになってしまうことが悲しい。

大麻捜査にはお決まりのように、この先芋づる式に別の格闘家も・・・
なんてことがにならないことを祈るのみだ。
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UFC89
2008/10/18@イギリス・バーミンガム



結果速報をシャットアウトしてテレビの前に座る。日曜日の24時。しばしのイントロダクションの間随所に使用されていたPRIDEの映像にちょっぴり感慨。UFCがPRIDEの映像権を掌握しているからこそできる業であり、今後日本のテレビ放送でPRIDE映像を垣間見る機会はWOWOWでしかないということ。やはりUFCにMMAの最高峰が詰まっているなあと感服していると、中継のオープニングマッチが我々日本人にとってのメインイベントではないか。我らが郷野の登場。UFC中継再開に際してWOWOWの掴みはグッドだった。

イギリスで開催されたUFC89では地元選手の起用が多かったが、それは当然の施策。
郷野の相手、ダン・ハーディーはホームの声援を浴びて優位な心境にあっただろう。
アウェイの郷野は臆することなく久々に“アゲアゲ”なパフォーマンスでかなりの時間をかけて入場。日本ならもれなくステージと花道があるゆえに分かりやすい演出も、UFCでは舞台装飾なく通路上。そんな悪状況に対する工夫はセキュリティスタッフを巻き込んでの踊り。郷野により日本の固定観念が変わるのなら素晴らしいことではないか。

詰め寄るハーディーに対しバックステップとカウンターパンチで応戦する郷野。ひとつひとつの攻撃が無駄なく居合い斬りの如く緊張の中を一閃する。上背のあるハーディーのほうが時折大きく映り、明確な優劣はつかぬも、印象点をとった感じも受けた。

こめかみのあたりから出血した郷野だが致命的ダメージは受けておらず、ハーディーのバックスピンキックに同じ技で返す神経戦も忘れていない。

判定ポイントの明暗を分けてしまったかもしれないのは郷野の反則ヒザ蹴り。片ヒザをついているとグラウンド状態とみなされ、そこへの打撃攻撃は反則とされる。この細かいルールを郷野が理解していたか否か、いずれにせよ明確なルールのもとMMAというスポーツの競い合いとしてUFCが成り立っていることを再確認させてくれる厳格なジャッジングだった。

最終ラウンドでグラウンド状態に持ち込んだ郷野だが極めには至らず。ただしこのグラウンド時間がもっと長く、しかも郷野がコントロールできていたなら勝敗の行方は変わっていただろう。

判定はスプリットでハーディー。試合直後、郷野は自身のブログで悔しさを露にしたが、どちらに票が転んでもおかしくない接戦だった。
そしてオクタゴンの中での攻防はスポーティーな爽快さを覚えさせてくれた。

もはやUFCが総合格闘技の世界最高峰・メジャーリーグであることは揺るぎない現実である。
次々と新たな人材がUFCのオクタゴンに入り、新たな衝撃を見せ、己の名を売る。
PRIDEの晩年に急浮上したソクジュがUFCでは大苦戦。この日もまさかのTKO敗戦。しかし、まさかと思っているのはPRIDEを通じ選手に思い入れを抱いている我々日本人だけかもしれない。

真の“世界”に挑む日本人ファイターよ、もっともっと出てこい。
こんな不況のご時世だからこそ、気持ちで勝負できる日本の姿勢が見たい。
UFC大会に毎回誰か必ず日本人が出場できるくらいになることを望む。
UFCが日本に帰ってきたのだから!
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