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DEEP 38 IMPACT
2008/10/23@後楽園ホール



終わってみれば、メインに登場した柴田勝頼が最もインパクトを残していた。

地上波での露出がずば抜けいるからなのか。DEEPの会場に来る人は一見さんよりも格闘技を深く知るマニア層の会話で「柴田観ておきたいねえ」という声があちこちで聞こえた。

格闘技キャリアはまだグリーンボーイの域。しかし地上波テレビで全国に伝えられた“狂犬”キャラや知名度あるある船木の後ろ楯もあり、柴田はDEEPに招かれた特別枠に見えた。

入場であのダッシュをしてくれるのか、という期待感は蔓延していた。わずか10メートルに満たない花道ダッシュにドッと沸いた。

リングに立った柴田はかなりデカく見えた。船木直伝のハイブリッド肉体改造を遂げた柴田は、“らしい”雰囲気をプンプン匂わせている。
本来勝負論で語られるべきリアルファイトの世界で、プロレスラーという存在が勝敗を超越した特殊な価値を作ってきたが、柴田は久々にプロレスラー魂を押し通す気概を持った者である。

とにかく声がいい。
プロレスラー特有の喉を絞って低いのだが高いような発声。芸人で例えれば、ケンドー・コバヤシ。ケンコバも生粋のプロレスファンとして習得したのだろう。
現在の師匠・船木もこの声の使い手。柴田のなりきり具合はそのままプロ意識として買える。

滑川にテイクダウンを奪われ、マウントも奪われ、やはり総合格闘技スキルはまだまだだが、柴田は劣勢をプロレスラーの気で盛り返してみせた。
柴田に飛んだこの日唯一の自然発生コール。これもプロレスの味。

ドローの結果も、普段よりダウンサイズした後楽園ホールで誰よりも大きな存在感を示した柴田の価値を至近距離で知った。
まだキャラ先行段階だが、この先ベーシックな総合テクニックを身に付けていけば・・・と願いたいが、プロレスラーらしさを貫くための独自のこだわりがあるならば、柴田の進む道筋までは外野に指図はできないか。
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