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日本格闘技界にめざましき新しい力の台頭・・・青木真也&北岡悟

戦極の乱 2008
2008/12/31@さいたまスーパーアリーナ



大晦日のDynamite!!と場所もサイズも同じさいたまスーパーアリーナに、超満員とかいかぬものの7〜8割の観衆を集めた『戦極の乱』。聞くところによると招待券はほとんど出しておらず、ほぼ実券のセールスによるものだという。それならばこのご時世で大健闘ではないか。

大方のお目当てはメインの五味だっただろう。五味に集まる歓声がダントツで大きかった。

しかしその五味が、あんなに強くて手がつけられず、日本人相手に負けなしだった男が、まさかの完敗。しかもタップアウト負けである。わずか1分41秒、秒殺である。

たしかにあの頃の“強すぎるオーラ”は伝わってこなかった。
どこか所在なさげで、地に足が着いていない感じに、不安よりも寂しさを覚えかけたゴング前。

日本格闘技の歴史に残る偉業を成し遂げてしまった北岡悟は、またも独自の佇まいで完全に“イッちゃってる”モード。
昨年一年かけて戦極で特異なキャラを確立した北岡に対して、五味が成し遂げてきたものは何か。
この比較だけで両者の勢いの差は明らかではあるが、それにしても、だ。

DREAMでは青木真也が“大黒柱”として、昨年一年間を世界のトップクラスとばかり相対し、見事な勝利を見せてきた。
大晦日のアルバレス戦は圧巻だった。奇遇にも北岡と同じく速攻で足を取り、捻り上げた。

青木は北岡と盟友関係にある練習仲間。日本の双璧をなすMMAメジャー舞台で共に堂々とトップを獲ったという結果は奇遇ではなく必然なのかもしれない。

北岡が五味を獲り、青木は宇野を獲った。
日本のMMAを象徴してきた存在を日本人新世代が揃って乗り越えたことは、確実に新しい時代の到来である。

総合格闘技黎明期から身をもって試行錯誤を繰り返しながら一歩一歩経験と共に成長の階段を登っていった五味や宇野の先輩世代の背中を見ながら、青木や北岡も彼らなりの試行錯誤で道を進んできた。
日々のたゆまぬ努力、そして誰にも負けない格闘技への情熱。これぞ青木や北岡の新世代が持つ揺るぎなき自信の裏付けとなっている。

ネットや携帯の普及と発達で、今や手軽にさまざまな情報を得ることができる時代となったが、そんな情報過多な時代だからこそ一つの物事に専心することは容易ではない。
しかし青木や北岡は格闘技に全てを捧げ、こうしてやってのけてみせた。

あまりにも美しい全身全霊の格闘技愛。
大晦日と1.4と、時期を同じくして弾けた若き二つの結晶。
青木と北岡、二つのニューパワーが世界の格闘技ファンに新しい風景を見せてくれるはずだ。
なんだかとてつもない未来を見せられた気がする。
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