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Strikeforce - NASHVILLE
2010/4/17@ケンタッキー州ナッシュビル
○ギルバート・メレンデス[5R 判定]青木真也



アメリカ現地ではフリーテレビで生中継されたUFCのコンペティタープロモーション『Strikeforce』の映像を日本ではインターネットを通じて視聴ができたので、コアな格闘技ファンはほとんどが今回の歴史的一戦を自分の目で確認していることだろう。なぜ“歴史的”だったのか。日本人選手がアメリカを含めた海外プロモーションに出場することは珍しくないが、今回は日本最強の現役王者であり最後の砦がアメリカと直接対決し実力を証明する機会だったからだ。


日本代表のDREAM王者・青木真也が挑んだ相手はStrikeforce王者・ギルバート・メレンデス。日本でもお馴染みのメレンデスは今やアメリカで成功を手にしている。アメリカの市場規模が日本より大きいゆえに、MMAという新興スポーツの広がり=ビジネスの大きさが日本を凌駕してしまうのは無理もないが、ファイターの強さまでも比例しているわけではないはず、という期待を日本人の多くが抱いていたはずだ。かく言う私もこの一人だった。
しかし現実は甘くなかった。


UFC王座を失ってしまったがBJペンに次ぐ世界トップランクの評価をプレスやファンから得ていた青木は、日本国内でのライト級カテゴリーで国内外の強豪を軒並み撃破し、もはや敵なし状態。アメリカに新たな敵探しに赴く流れは必然だった。


初参戦でいきなりチャンピオンシップという待遇は青木への高評価とDREAMへの敬意の表れと捉えたい。
UFC包囲網を作るべく日本を巻き込んだStrikeforceは積極的にDREAM系ファイターを参戦させ、今回と同様の王者対決も実現させている。ウェルター級ではアメリカが完勝しているが、まさかまたしても同じ結果が待っていようとは。
ショックであるが、現実を受け入れないことには先にも進めない。


5ラウンド、フルマークの判定で、青木敗れる。
得意のグラウンド&サブミッションに持ち込めなかった。つまりメレンデスがその局面に至らせなかった。
メレンデスこそKOを奪うことはできなかったが、終始自分のペースでゲームを進められた時点でルール上の勝利、完勝だった。


面白いか、つまらなかったか、という感想になれば観た者それぞれだろうが、ここでは結果が全てである。
青木が負けたことで、現時点でDREAMはStrikeforceより弱かったことになる。
思っていた以上にアメリカと日本との間には進化速度の差を感じさせられた。


ケージとリングの違いなのか、ルールの違いなのか。青木自身が否定したようにそれらは関係ないと思う。
日本では総合格闘技だったものが、アメリカではNHB→MMAとなり、世間に浸透し、プレイヤーが増え、技術が進化し、業界そのものがビジネスとして成長していることが決定的な差を生んでいるのだ。
片や日本ではPRIDEショック以降の状況はご存知の通り。


しかし、こう考えていけばいい。
もはや、アメリカが“メジャーリーグ”なのだと。プロ野球やサッカーと同じく、日本国内のメジャープロモーションはセ・パ・リーグやJリーグの機能を果たし、インディーがイースタン・ウエスタンリーグやJ2・J3になればいい。
外国人選手は助っ人ガイジンのごとし、王座争いまでのしあがるといつしかアメリカに舞台を移してしまう。でもそれでいい。
日本でまずは堂々とトップを獲り、期待を一身に背負って世界メジャーに進出する。そこでイチローや松井のようにアメリカっ子が認める活躍をしてみせ、名声と共に多額な収入を獲得することが真の成功となる。
格闘技で億万長者になることができる土壌がアメリカにはあるのだから、本気ならそこを目指すべきだ。


日本<アメリカと、MMAのパワーバランスが変わってしまった以上、ファイターたちにとってアメリカは目指すところにならなければならない。
PRIDE時代は日本>世界だったということ。あの頃の栄光を再び、とするためには結局マネー次第なのだ。


プロフェッショナルファイターであるならば、マネーを追求して何ら悪いことはない。それどころかお金を払って観たい対象にならなければプロとは言えない。
強さに裏付けられた人気を得て、ファンの数は日本のみならず世界規模になる・・・それに応じたマネーがついてくる。


日本発アメリカ行きのワールドツアーに出でよ、ジャパニーズファイターたちよ。
強い日本人が観たいに決まっているが、それを証明するにはアメリカで勝たねばならない。
大いなる目標を持ったファイターたちが日々磨き鍛える道を応援したい。


青木がアメリカリベンジに燃え上がる姿が見たい。
他の日本人も青木の敵討ちの気持ちでアメリカに挑んでほしい。


もはやアメリカなくしてMMAは語れない。
しかしこれが世界的発展の健全な形なのだ。
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