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UFC97:REDEMPTION
2009/4/18@カナダ・モントリオール
“日本代表”長南敗戦に想う



カナダと言えば英雄王者・GSPだが、その主役不在でもフルハウス。UFCがもはや名実共に世界最高峰の舞台であることを疑う余地はないが、だからこそ日本人がUFCで活躍する姿を観たいし心から応援したい。PRIDE消滅後UFCに闘いの場を移した日本のトップファイターも少なくないが、残念ながら岡見を除いては契約更新されずにオクタゴンを後にしてしまっている。新たに秋山や宇野の参戦が決まったが、どうせならもっと多くのワールドクラスジャパニーズが出てきてほしいものだ。そこで今回の長南亮だ。

1勝2敗の戦績で迎えたUFC4戦目、後がない状況に置かれていることは誰よりも長南自身が自覚していたはずだ。いつもにも増した気合いの表情と、戦前に伝わってきたグッドシェイプの報。長南にとってUFCに“選ばれている”今こそファイター人生で最もモチベーションが高まっている時期と言える。
同時期にUFCに渡った中村カズや郷野は先に契約解消の憂き目を見させられている。アメリカ修行も経て真剣かつ精力的に金網に臨む長南の強固な決意が必ずしも結実できないことがリアルファイトの非情な現実である。

カナダの地元選手・TJ相手に“アウェイ”マッチ。逆にこれまでは日本で相手にしていた来日外国人の気持ちが分かるはずだ。試合時の声援だけではない。わざわざ試合のために遠距離移動する労力は大きなハンデとなる。そんなシチュエーションにも関わらず日本にやって来て強さを発揮してきた外国人ファイターたちのように、今度は日本人が外国に乗り込んでいかねばならない。
やはり、そこで必要となる絶対的な評価の基準は勝利以外にない。

致命傷こそもらわなかったものの、長南は全ての局面でTJに優勢を許してしまった。特にTJのテイクダウンとグラウンドには驚かされた。日本人にとっては無名で馴染みなくとも、今や世界規模で次々と優秀なMMAファイターが頭角を現している事実を知る。

かつては日本が総合格闘技の中心地だった。だから世界のファイターは日本を目指した。そして実績を残してきた。
しかし今ではアメリカをはじめとした世界にMMAの場が広がり隆盛の一途を辿っている。だからこそ日本からも行かねばならない。そして結果を残さねばならない。その気でいないと日本は“ガラパゴス”になってしまう。

アウェイで勝つことの難しさと厳しさ。日本でもメジャープロモーションは大会を重ね、かつての栄光を取り戻すべく努力を続けているが、海外にもメジャーが存在する以上避けては通れない。
日本から世界の他舞台にチャレンジすること自体に意義があるが、結果を残さねば世界レベルで存在が認められなくなる恐れがある。

誰よりも長南自身が悔しいに決まっている今回のUFC3敗目。しかし長南は日本人選手の中で間違いなくトップレベルの意識を持っている。
だから中途半端な「よくやった!」などという言葉は長南にとって気休めにもならない。

「勝て!絶対勝て!」

UFCをはじめとした海外参戦する日本人選手たちにかける言葉はこれ以外にない。
それが日本格闘技界のためになる。
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