こんばんは。
昨日、生まれて初めて家のカギを落としました。
私はカバンに入れてもすぐカギを見失うので大きい鈴をつけているのですが、ライブの打ち合わせ後、今日食べる夕食用に秋刀魚をいつもの八百屋で2匹買って揚々と自転車を漕いでいる時、なんとなく鈴の音がしないなぁと思っていたんです。
でも、猫えさとか猫砂とかも買い凄い荷物量だったので「きっと鈴も押しつぶされているんだろう」とポジティブに考え直しました。
が、マンションに着きカバンを振ってみてもやはり鈴の音はせず、自分も飛び跳ねてみたのですが、やっぱり鈴はなりません。

こんなとき、人はまず呆然としますね。
私の帰宅をわかった猫たちがドア越しに鳴いているのを聞きながら、私もしばし立ち尽くしました。
そして鍵屋を呼ぶと、出張料など込みで1万円くらいすると聞いたことを思い出し、自分の家に一万円払って入るのはバカみたいだし、私はスパイダーマン作戦に出ることに決めました。

私の家は4階建てマンションの3階角部屋なので、まず4階に上がり、屋上の柵の外に這い上がり、柵沿いに壁を這って移動し、自分のベランダの真上までいきました。
カリオストロの城で、ルパンがクラリスを助け出す時に壁を這っていくような、あんな緊張感です。
部屋のベランダの先っちょまで四つん這いで移動し、そこから下水パイプに捕まりながらゆっくり下降。
そして一気にベランダにダイブ。
着地した姿たるや、まさにスパイダーマンに違いありません。
そして、窓を開けて潜入成功。
ん?窓?
…あっぶね、窓閉まってんじゃん!

いやいや、先に妄想をしてみてよかったです。
危うくベランダで孤立するところでした。

でも、一体どうすればいいのか…。
その時、ハッと気づいたのです。
カギをどこに入れたのか。

秋刀魚です。
すぐカギが出せるように、最後に買った秋刀魚のビニール袋に入れておいたのでした。

すぐに大荷物の中から秋刀魚を探しましたが…ない、ない!
秋刀魚の袋ごとないのです。
カギとともに秋刀魚も落としていたなんて。

私は落胆して今来た道を振り返りました。
すると、遠く301号室の前の地面が少し盛り上がっていて、そこには明らかに異物が落ちています。

秋刀魚だ!

私は今まで見せたことのない瞬発力で駆け出しました。
やっぱり。
青ビニール袋に入れられた二匹の秋刀魚が、死んだ魚のような目で私を見上げていました。
そして、その二匹に抱かれるように部屋のカギが埋まっていました。

これで一件落着。

でもカギを入れていなかったら秋刀魚を落としたことにも気づかず、落下現場の301号室の住人は、家の前に秋刀魚が落ちていてさぞビックリしたことでしょう。
そして、その301号室の住人は実は裏社会の住人で、『ゴッドファーザー』の“ベッドに馬の首を置かれた時は「殺す」のメッセージ”と同じように、実は家の前に秋刀魚が置かれた時も何かのメッセージで、この秋刀魚が裏世界を揺るがす大事件に発展したり…ふふふ。
と、妄想しながら、くだんの秋刀魚をほおばったのでした。

秋の夜長に、私の妄想にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
それではまた。
[Web全体に公開]
| この記事のURL

1件中 1~1件目を表示


1