わずか8度という厳寒の晩秋の神戸ほっともっと球場のナイターのグランド、ここで日本シリーズ第6戦が行われた。試合は1-1のまま延長戦へ。12回表ヤクルトが2死から塩見がヒットで出塁、捕手ののパスボールで2塁に進塁、代打の神様川端の左前打で塩見が生還1-1の均衡を破り2点目を上げ2-1として、その裏マクガフがオリックスの攻撃を0に抑え、ヤクルトが5時間の熱戦の末20年ぶり日本一を決めた。

マウンドに集まった選手たちが号泣していた。村上、山田、青木、中村悠平、川端が。緊張感と必死でつかんだ日本一。その苦しさから解放された途端、涙腺が緩んだ。日本一の思いが強かった選手ほど感動は人一倍強いはずだ。

日本一を祝福する高津監督の短い挨拶の後、見るからにガッチリ型のパワーがありそうなスワレスが高津監督の胴上げの先頭になっていたのは素晴らしいシーンだった。そういうところにも外国人選手のバースデーを祝うファミリー球団の絆が強いことを感じ取った。

MVPには中村悠平が選ばれた。しぶといオリックス打線を抑えるため、一人で投手陣を引っ張った。オリックスが圧倒的に有利という下馬評を覆し堂々4勝2敗でチームを日本一に導く原動力になった。そして澤村賞の山本由伸から初戦で唯一の得点を奪いシリーズ3割を記録した功績はMVPにふさわしい活躍だった。

オリックス打線で特に印象に残ったのは1番福田の選球眼とバットコントロールの上手さと2番宗の落ちるボール球でもヒットにする上手さ、そしてまだ19歳という若さの紅林のローボールを捉えるバットコントロールの上手さである。石山の難しいフォークを捉えた際、普通の構えからバットのヘッドを下から出しながら決してアッパースィングにならずに確実に捉える技術は凄い。しかも短期戦の日本シリーズで318厘という高打率がそれを示している。

日本シリーズが始まる前の野球解説者の大方の予想は今季4冠を達成し、澤村賞に輝いた山本由伸擁するオリックスが日本一になるというものだった。私は以前のブログでも書いたが、山本一人で連投するわけではないので山本がいるからといって日本一になれるとは限らない、と述べたが結果的には正しかった。

今回の日本シリーズは6戦でそのうち5戦が1点差の試合、1試合だけ2点差だった。それだけヤクルトとオリックスのチーム力の差がなかったことが言える。2019年、20年はソフトバンクと巨人の日本シリーズだったが、2大会とも巨人はソフトバンクに1勝もできずに終わっている。あまりのも盛り上がりに欠ける日本シリーズが2年続いただけに今年の日本シリーズは接戦でとても面白かったと言ってくれる人が多かった。特にヤクルト、オリックス以外のファンの人たちをも好評だったのは嬉しく思う。改めてヤクルトの日本一を心から喜びたい。おめでとう!
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第5戦は8回裏山田の起死回生の3ランがとびだし、5-5の同点に追いつきながら9回表マクガフが先頭打者代打ジョーンズにソロホーマーを浴びて勝ち越され、結果的にその1点が決勝打となり惜しくも敗れた。ヤクルトは先発投手陣はよく抑えているのだが、中継ぎが同点、逆転を許すケースが多い。

ホームランバッタージョーンズに対し、2ボールの後投げた真ん中高めややインコースのストレート(ストライク)は、失投としか思えない。ホームランバッターに高めストレートを投げるならインコースぎりぎりならまだしも少し甘くなるとホームランボールになってしまう。日本シリーズでは代打で5打席1ホームラン、1四球。あとの3打席は三振に倒れている。打たれたホームランと三振に討ち取った球種をしっかり検証した上で今後のジョーンズに対する攻め方を考えるべきだ。低めに落ちるボールの方が無難だったはずだ。

日本シリーズ3勝1敗のチームが日本一の確立は今までのデータによれば8割以上だというから勢いで決めてほしかったが、4回裏村上ソロで勝ち越しながら、6回表田口がT-岡田に同点にされ、7回表石山が逆転打を許してしまった。石山の紅林に投げたフォークなどは外角低めの非常にいいコースに投げたにもかかわらず大振りせず、フォークをしっかりミートしてヒットにしていた。オリックスの打者は低めの球への対応が非常によくできている。宗などはバットのヘッドを低い位置から出し、地面スレスレのボール球のフォークやスプリットをヒットにしてしまうテクニックを持っている。それが1点差ながらヒット数ではヤクルトの倍打っているところにも表れている。前日好投した石山だったが太田、モヤに対しては外角ギリだったが高さが打ちごろだったのが悔やまれる。

第6戦の舞台は神戸ほっともっと球場。晩秋の屋外のナイターは寒さが心配だ。オリックスの先発はエースの山本が予想される。前回は球数を投げさえ、6回でマウンドから降ろすのに成功した。フォークとストレートの見極めをしっかりできるかがカギになるだろう。ベース上でストライクから鋭く落ちてボール球になるフォークに対応するのは難しい。十分対策を練って前回の反省点を克服したい。前回、山本から貴重なタイムリーで唯一得点をたたき出した中村悠平のときランナーを得点圏に進めることができるかがポイントになろう。

3勝1敗で王手をかけながら最終戦までもつれると相手に勢いを与えてしまう。その意味でも今日のゲームで何が何でも日本一を決めたい。第5戦でヤクルト主力の3,4番にアベックホームランが出た。ようやく目を覚ました山田の地元神戸での一発を期待したい。第1戦での負傷で途中交代した宮本が復調したようだ。今日のスターティングメンで宮本の攻守にわたるひたむきなプレーを見たい。投手陣としては日本一まであと1勝なのだから勝機と見たら1イニングでも先発投手も投入すべきだ。必勝を願う。

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今日の先発は予想通りヤクルト小川、オリックス田嶋だった。立ち上がりは小川、田嶋の安定したピッチングが続いた。試合が動いたのは3回表ショート西浦のエラー1死満塁から、2番宗のタイムリーで先制を許す。とにかくオリックスの1,2番コンビは三振しないし、ボール球でのヒットにしてしまう手ごわい打者。この試合も小川が投げたチェンジアップはバウンドスレスレのボール球、それを宗は下からセンター前にはじき返し1点先制する。

ヤクルトは3回までノーヒットに抑えられていたが4回やっとオスナがフェンス上段に当たる初ヒットを放つ。そして5回裏2死満塁としたあと初戦同様中村のタイムリーヒットと相手のエラーで一気に3点を奪い、3-1と逆転した。

しかし5回表ランナーを一人置いて杉本の2ランホーマーで同点に追いつかれる。甘いストレートを投げれば当然杉本が見逃すわけがない。さらには7回表吉田正にレフト前に打たれて1点勝ち越される。


その裏ヤクルトはサンタナが2死から青木を置いて値千金の2ランを放ち5-4と逆転した。このシリーズサンタナにとって初安打だったが、四球でランナーには出ているし、決して打てなかったわけではない。大飛球が野手の正面だったり不運な当たりも少なくない。今日も4打数0安打に終わった哲人だったが、サードライナーやホームラン性の大飛球をとばすなどあたりは良かった。この1勝はヤクルトにとって大きい。

投の方では7回表吉田正に勝ち越し打を許した田口に代わり登板した石山が回またぎで8回も投げ4打者をパーフェクトに抑える好投、9かマクガフが先頭打者を四球で出したものの後続を抑え1点差で逃げ切りシーソーゲームに勝利したのは大きい。これでヤクルトは2勝1敗とした。

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伊藤智仁コーチが「先発がゲームをつくれれば勝機あり」と語っている。まさにその通りだと思う。今日の先発が予想されるのがヤクルト小川、オリックス田嶋。ちょうど5月29日の交流戦で二人が先発し投げ合っている。そのときは小川が7回被安打9,失点3。田嶋は5回被安打9,失点6。7-4で小川が勝ち投手になっている。

小川はモヤに3ラン、田嶋はサンタナにソロホーマーを浴びている。ヤクルト打線では塩見が5打数3安打1打点、オスナ4打数3安打3打点、サンタナ4打数2安打1打点とよく打っている。3試合戦1勝2敗でヤクルトが負け越しているが1勝は小川である。その時小川は6回までオリックス打線を0に封じていたが、7回代打モヤに3ランを浴びている。この試合のように中盤まで小川が好投すれば勝機はあるだろう。それには打線が先制し、有利な展開に持って行けるかがカギだと思う。

さてこれまで2試合両チームの打線を見てきて気づくのはオリックス打線の空振りの少なさである。奥川、奎二がセリーグのチームで三振を奪えた落ちる球にもなかなか三振しない。きわどい球にもファールにできるミート力を持っている打者が多い。奥川や高橋はセリーグでは7回投げれば平均9三振くらいは奪っているが奥川3三振(清水2)、高橋5三振しか取れていない点にも表れている。いっぽうヤクルトは1試合目で山本に9三振など15三振を喫し、2試合目でも宮城に7三振(吉田1)など8三振を奪われている。つまり2試合でヤクルト23三振対オリックス10三振という結果が出ている。特に3番山田5三振と吉田正1三振がいい例である。吉田はホームランバッターでありながら確実性のあるミート力もある。トリプル3を三度成し遂げている山田だけに修正能力があるはずが、東京五輪のときの好調さが全く感じられない。シリーズは短期決戦だけに早く目覚めてもらいたい。小川がこうしたオリックスの三振が少なくミート力のある粘りのある打線をいかに討ち取るかが今日の試合のもう一つのカギである。勝利を祈る!

追記:2017~2020年まで日本シリーズをソフトバンクが制し、19,20年はセリーグを制した巨人は連続して1勝もできずに敗退している。ソフトバンクがそれだけ強かったとも言えるだろうがセリーグを代表してシリーズに出ながら2年連続1勝もできなかったことはリーグ代表として情けないし期待を大きく裏切った。ヤクルトはヤクルトファンだけでなくセリーグファンの人たちからもヤクルトがリーグ代表でよかったと思わせるような戦いをしてもらいたい。
DH制がないヤクルト主催ゲームは先発投手のバッティングも影響するため小川はバッティングがいいのでこの点有利だと思う。


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今日の勝利は気迫のピッチングで133球を投げ抜き、オリックスを完封した高橋奎二に尽きる。しかも5回までヤクルト打線をノーヒットに抑える好投を見せた宮城と投げ合い、6回以降はオリックス打線を無安打に抑え、堂々勝利をおさめた奎二の最後まで貫いた攻めのピッチングにほれぼれした。自身プロ初の完封勝利を日本シリーズという大舞台で成し遂げたのだから天晴れという言葉しか見つからない。
もし仮に8回で奎二をマウンドから降ろしていたらオリックス打線の反撃を抑えることができなかっただろう。6回以降の奎二のピッチング内容で続投させた首脳陣の判断に見事に奎二は応えてくれた。

5回まで宮城も前にノーヒットに抑えられ、散発5安打ながらランナーを出すオリックスペースのゲーム展開にも動じず、常に攻めのピッチングを前面に出し、味方の先取点を信じて投げ続けた奎二、6回表1死から西浦が初ヒット、そして坂口の連打が出たころから次第に流れがヤクルトにやって来た。それと同時に奎二がしり上がりに調子を上げ前述したように6回以降ノーヒットにオリックス打線を抑え、打線がそれに応え、8回表2死ランナー、1、2塁で青木の詰まりながらもセンター前タイムリーでヤクルトが先制、さらに9回には交代したガルバ

考えてみると今季ヤクルトの優勝に至る要所、要所で大きな力になったのが奎二である。阪神との優勝を争う天王山でガンケルと投げ合い阪神打線を0失点に抑えたこと、CSでの巨人戦で6回を失点0で奥川に続きチーム勝利に導き、日本シリーズ進出の原動力となったこと、そして今日負けるようなことになれば俄然オリックスに優勝が傾く大事なゲームで最高のピッチングをしてくれたこと。それらのことを考えると投手陣では奎二無くしてはヤクルトのリーグ優勝も日本シリーズ進出もなかった、と言っても過言ではない。(奥川にもいえることだが)。残り3勝を選手一丸になって東京で決めてほしい。



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