ナンパ韓国人と話をしつつ一時間ほど走り、
そろそろ日も暮れだした頃、バスはいよいよカウサン周辺にやってきました。
この時期(4月13・14・15日)のタイは、
ソンクラーンというタイ旧暦の正月祝いの時期です。
そこで何をやるかというと、国中が3日間、誰彼構わず水を掛け合うのです。
毎年その祭り目当てに来る観光客もたくさんいて、街は人の海と化すそうです。

この日はソンクラーンの前日、いわば日本の大晦日みたいなもので、
車窓の外はすでに踊りまくっている人の群れや、
警備隊、タイ名物の屋台などで大騒ぎになっていました。

「うおー!!タイに来たぞー!」

私はすぐにでも叫びたい気持ちでしたが、それをグッと抑え、
韓国人男性に口説かれている知的な日本人女性を演出していました。
そしてバスは目的地停留所に着くと、ポンピングブレーキで静かに停まりました。
…と言っても、車内放送がバス停の名前を言ってくれるわけでもなく、
添乗員が教えてくれるわけでもないので、
なんとなくここかな?という勘で判断し、降りる事にしただけです。
すると、驚いたことに車内に乗っていたいろんな外国人たちが一斉に私に向かって、「ここがカウサンですか?」「ここで降りればいいんですか?」と、
それぞれの国の言葉で聞いてきました。

知るかよ!私が聞きてえよ!

私はそう言いたいのもグッと抑え、
同時に知的日本人女性の演出が成功したことを密かに喜んだのでした。

荷物を肩に担ぎ、バスのステップを一歩一歩踏みしめる私。
降りた。
ついにカウサンの地へ降りた。

しかし、降りた瞬間に祭りの物凄い人ごみに流されました。
そのおたおた加減たるや、スターウォーズのC3POです。
同じホテルに泊まるといっていた韓国人はどうしたかと振り向くと、
なんと2人はバスから降りるや私のことには目も触れず、
仲睦まじげに手をつないで人ごみに流れて消えていきました。

ホモだったのかい!!

どうりで一人の男性の方がつまらなそうに怒っていた訳です。
さすがタイ(色んな意味で)
まあ、同じホテルに泊まる気は毛頭なかったのでいいですけど。
さあ、気を入れ替えてこの人ごみをかき分けて進むことだけに集中しよう。
目指すは電話BOX。
いよいよあの人に連絡を取るのです。
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