STRONGEST−K'09トーナメント2回戦
○柏大五郎(19分47秒 柏クラッチ3)真霜拳號●

柏大五郎が実力者であることは知っている。

頭の固さ以外、これといって強さを感じさせる特徴が無いため目立たないが、その技術は確かなもの。
しかし、それを今回のような形で出してくるとは…。

思い返すにこの試合、フォールは最後の柏クラッチ3のみ。
それまでは試合開始から約20分間、全くフォールが無かった。

フォールには、いくつかの種類がある。

試合のペースを握るフォール。
攻撃のリズムを作るフォール。
相手のスタミナを奪うフォール。
…他にもいくつもあるが、最も重要なのは当然のことながら、勝ちに行くフォールである。

最後の柏クラッチ3は、完全に勝ちに行くフォールだった。
蹴りをキャッチしてからのノーモーションでの頭突きで、一瞬クラッと来ていたのもあるが…それまでに全くフォールが無かったからこそ、より効力を増していた。

魂のこもったフォールは、それ自体が技になり得るのである。

狙いだったのか偶然だったのか、それは分からない。
だが、これは自分達が入門してプエルトリコで練習をしていた時、徹底的に叩き込まれた“無駄なフォールはしない”“フォールは勝つためにのみ”という教えそのもの。

考えてみれば柏大五郎は、武者修行中のMIYAWAKIを例外として、現在KAIENTAI DOJOに残る唯一の一期生。
その教えが最も体にしみ込んでいるであろうレスラーだった。
それが今、こういう形で活きてくるとは…。

優勝への道を断たれたのは残念だが、この敗戦自体には納得している。
反則も奇襲も無く、正々堂々と向かってきて3カウントを奪ってみせたのだから、文句のつけようが無い。

だが…次は同じ結果にはならないよ。
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