十嶋くにお引退&牙騎鱗解散試合
○十嶋くにお&PSYCHOwithMr.X(19分4秒 片エビ固め)真霜拳號&柏大五郎●
※バックドロップ

十嶋くにお引退試合。

十嶋との最後の戦い。
対戦相手と握手したのなんて、いつ以来だろうか?
勝敗なんてどうでもよく、十嶋が思う存分戦って、気持ち良く去っていければ、それで良かった。

周りも同じだったように思う。
だから、マリーンズマスクはサイコになったし、ミスターも石坂も久々に姿を見せた。
柏さんも、まるで自分が引退するかのように緊張していた。

十嶋とは同期であり、2001年にプエルトリコに渡り、KAIENTAI DOJOに入門して以来、約十年のつき合いということになる。

これまでいろんなシチュエーションで、何度も戦ってきた。

シングルでも、タッグでも。
前座でも、メインでも。
タッグを組んで、タッグリーグを制したこともある。
同じユニットに属していたこともある。

十嶋くにおは、自分のプロレス人生において、重要な登場人物の一人なのである。

そんな十嶋の引退には、やはり思うところがあるわけで…引退試合の相手として指名されたことは光栄なのだが、どこか複雑な思いもあり…。

十嶋くにおは、天才型の選手だったと思う。

基本的にセンスはいいし運動神経もいいもんだから、練習しなくても、たいていのことは出来てしまう。
レスラーとして大切な闘争本能も、初めから持っていた。
そして、他の選手には無い“眼力”という武器があった。

が…残念ながらと言うべきか、それ故にと言うべきか、いつからか上昇志向が無くなってしまった気がする。

あくまで個人的な考えだが、十嶋の全盛期は、旗揚げからの数年。
キャリアの後半半分以上は、その能力を爆発させることは無かったと思う。

そういう姿を見て、もったいないなと思いつつ、十嶋らしいなとも思っていた。
そして、いつか何かのきっかけで爆発する時が来るだろうと思っていたら…引退してしまった。

プエルトリコで、同期ながら年下で、若さもあり才能もあった十嶋に、「お前が俺の歳になったら、今の俺よりすごくなってるよ」と言ったことを思い出す。

でも、もうこのセリフも意味を成さなくなってしまった。
これからは、十嶋くにおというレスラーが、今の自分の歳になることは無い。

引退試合を終えた今でも、やっぱり十嶋の若さで引退するのは、もったいないなと思う。
でも、あっさりと引退してしまうのも、やっぱり十嶋らしいなと思うのである。
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