昨日は休日だったので,会社の帰りにスガイディノスに寄って『シークレット・オブ・モンスター』を観てきたよ。
『オーメン』みたいな感じなのかな…と思って,何となく選んだ映画なのだが…
全ッ然違った(笑)。
時代は1918年。第一次世界大戦が終結して間もないフランス。
ヴェルサイユ条約締結のため,アメリカの政府高官が赴任してくる。
物凄く広いけれど古い屋敷に使用人2人を雇い,4か国語を話せる妻と女の子に間違われる程の美少年の息子と共に暮らし始める。
その息子(トム・スウィート)の,反抗期を描いたものなのだが…
何と説明していいものやら。
オープニングは,母親に通わされている教会での降誕劇の練習シーンなのだが,何が気に食わなかったのか,外から教会に向かって石を投げ始める。
石がぶつかった大人たちに見つかり捕獲されるのだが,後日母親に連れられ神父のところに謝りに行く。
クリスマス,劇の終了後,教会を後にする信者たち1人1人に「ごめんなさい」「ごめんなさい」と謝罪させられる。
そこから少年の奇行が始まり,少しずつエスカレートしてゆく。
家庭教師のおねいさんの胸をさわってたしなめられたり,父親が屋敷の中でたくさんの人たちと会議中にわざと素裸にガウンを羽織った姿でふらついて見せたり,それを叱られたからといって部屋に鍵をかけて閉じ籠ったり…
それらのことを,やたらとドラマチック(といっても,精神が高揚するものではなく,不穏で不安感を煽り立てるような感じ)な音楽で見せられる。
いかにも,これから何か恐ろしいことが起こりそうな気がしてくる音楽で,実はサウンド・トラックの購入すら考えている。
それくらい,音楽だけはホラーかつドラマチックで素晴らしかった(笑)。
だが,とりたてて異常だったり残酷なことをしでかす訳ではないから肩透かしを喰った。
その,いかにも「これから何か恐ろしいことが起こりそうな感じ」が90分以上(!!)続く。
終盤ヴェルサイユ条約締結が決定し,祝賀のパーティーの席上で母親から祈りの言葉を振られた少年が,椅子の上に立ち上がって,
「もうどんな祈りだって信じはしない!!」
と連呼。
大勢の招待客の前で恥をかかされ激昂した母親が,席を立ち叱りつけるのだが,その母親を,外であらかじめ拾っておいた石を握った手でグーパンチして昏倒させる。
それくらいかな。
映画はずっと少年の名前が呼ばれることなく進み,終盤のパーティーシーンでようやく母親が,
「やめなさい,プレスコット!!」
と名前を呼んだことにも何か意味があったのだろうか…
その後,いきなり少年は成長して大人になる。
しかも,少年時代の面影全くなし(笑)のトッチャンボーヤ。
それが,とある国の指導者となり,国民の熱狂的指示の中,車を降り立ち歓呼に応えるシーンで唐突に幕を閉じる。
「これで終わりかい…?!」と言いたくなるような最後で,思いっ切り置いてきぼり感を味わった(笑)。
ムッソリーニをモデルにした独裁者であることは解るのだが,群衆は「プレスコット!!プレスコット!!」と名を呼んでおり,旗やタペストリのマークも明らかに架空のもの。
その架空の独裁国家のロゴを次々と機械が書類(?)に刻印するシーンも出てきたのだが,これがまた何ともいえない残念なデザインのモンスター(笑)。
センスのないインディーズ・メタルバンドのロゴみたい。
『シークレット・オブ・モンスター』という邦題も多分,いけないんだろうな。
主人公の少年に何か特別な秘密でもあるのか,次々と生き物や人を殺したりする異常者なのかと思い,どうしたって強烈なシーンを期待してしまう。
母親が何せ4か国語を話す才媛で,全く結婚願望がなかったのに猛アタックされたうえ根負けして結婚,「死ぬ思いで産んだ」のがプレスコットなので,「可愛くてたまらず愛情を注いでいる」というよりは,「産んだからには自分と同じ信心深く頭のよい子に育てたい」一心で教育している…という感じだった。
劇中,息子の言葉に返事をしないシーンも何度かあり,子育てをしたことのない私ですら,ちょっと可哀想だなと思わないでもなかった。
そういう母親の,心底からの愛情を感じないせいで歪みが始まったのか。
また,フランス語を話せないため妻に引け目を感じ,家庭教師のおねいさんと不倫(直接的なシーンはなかったが,おそらく)をする父親を見下し,反抗するようになったのではないか。
反抗して部屋に閉じ籠っても,母親の目を盗んで食事を運んで甘やかしてくれる使用人のおばあさんがいたが,それが露見して母親が彼女を一方的にクビにしたことも少しは原因があったのかもしれない。
…色々思い出してみるが,これくらいのレベルならいたってフツーの反抗期。
それがいきなり,ファシストのリーダーとなって終わり。
秘密でも謎でも何でもなかったよ。
後から考えてみると,どうでもいい脇筋を意味ありげに見せ,時間をかけて追っているところも多い映画だった。
それでも,重厚で美しい映像とドラマチックな音楽だけは楽しめた。
帰りにはすすきので買い物(←実はこっちの方が本命だったという説もある)。
とうとう手袋を買った。
色々見て,ヴィヴィアン・ウエストウッドにした。
親指と人差し指の肉球…違った,指紋の部分に真っ赤なハートがついてるのが気に入ったので。
しかし今時の手袋って,装着した状態でスマホをいじることが出来る仕様になってるんだね。
外を歩いてるときにそんなもん,いじらないっての(笑)。
でも,可愛い。手袋嫌いだったけど,買ったからには大切に使お♪
他には下着やハンカチ,そしてタートルネックのニットなどを購入。
いつもと違う街で買い物をしたので気分転換になり,すっきりした。
明日は仕事の後,健康診断かぁ…
面倒が,クサイ…