ソフィアはとうとうアントニオとの離婚を決め,ギャラクシーを売る前に皆で旅行をしようと提案する。
人手に渡る前にさんざん乗り倒したいというのもあったろうが,何より「私物を取りに戻ることになっているアントニオと顔を会わせたくない」というのが主な理由だったろう。
海辺のホテルに宿泊し,家族たち(おばあちゃんとアデラは留守番)は楽しいときを過ごす。
レストランで夕食時,ソフィアはとうとう子供たちに離婚したことをはっきりと知らせるのだった。
1人だけ父の浮気を知っていても,兄弟に話すことを口止めされており,ずっとストレスを溜めていたトニオもいくぶんかは楽になったようだが,はっきりと離婚を知らされたら知らされたでショックだったらしい。
食後みんなでアイスクリームを食べるときにしょんぼりしていた姿が,ひどく印象的だった。
つらかったね,もう一人で抱え込まなくていいんだよ,えらかったね…と言って抱きしめてあげたくなった。
だって,アイスクリームなんて,しょんぼりしながら食べるものじゃないからさ…!!
この旅行は言わば,アントニオなしでのこれからの生活を皆で頑張ってゆこう…という一家の決起会と,死産したクレオを励ます会のようなもの。
精一杯旅行を楽しみ,思い出を作る家族たち。
旅行の最終日は海でたっぷりと遊ぶ。
「あまり遠くへ行っちゃダメよ…私,泳げないんだから…」
クレオが一番小さいペペを浜辺に戻して体を拭いてあげている間に,今度はパコとソフィが海に入ってゆく。
私にも経験があるのだが,子供の頃初めて海に入ったとき,私はあまり水を怖いとは思わなかったクチで,波が来る度体が浮くのが面白く,唇を紫色にしながらもどんどん沖に入ってゆこうとして親から何度も連れ戻された(笑)。
多分,パコもソフィも幼くてまだ海の怖さが解らなかったのだろう。
クレオが「遠くへ行っちゃダメ!!」と叫ぶのも聞こえない程,どんどん行ってしまった。
不安を覚えたクレオは金ヅチだというのに,2人を連れ戻しに危険をかえりみずに海へ入ってゆく。
大きな波が何度も押し寄せる中,パコとソフィの名を呼びながら。
この海のシーンは驚異のワンカット撮影で,臨場感のある波の音も相まって,物凄い迫力だった。
正直,怖かったもん。
あれ,本当にどうやって撮影したのか…パコとソフィの頭が見えたと思ったらまた沈み…クレオも溺れちゃうんじゃないかと本当にハラハラしたよ…!!
あのシーンは劇場で3度が3度とも,「頑張れ…!!クレオ,頑張れ…!!」と祈りながら観てしまった。
何とか2人をつかまえて浜辺に生還したクレオ。
ソフィアもトニオもやって来て,無事でよかったよかった…とクレオをみんなで抱きしめるのだった。
そのとき,クレオがぽつりと口にした衝撃の言葉。
「本当は…産みたくなかったの…」
勿論,フルティン野郎との子供のことである。
「産まれてこなきゃいいって…思ってたの…」
そう吐露して涙を流す。
そんなことを考えていたら本当に赤ちゃんは死んでしまった…赤ちゃんを死なせたのは自分のせい…だから,絶対にパコもソフィも死なせる訳にはゆかない…そう思って命の危険もかえりみずに,クレオは海へ入って行ったのだろう。
そんなクレオを抱きしめながら,家族たちは言うのだった。
「私たち…クレオが大好きよ」
そのシーンが,この映画のポスタービジュアルになっている。
絆を深めた家族たちは家へと帰って来る。
本棚はすべてアントニオが持ってゆき,広い家の中はがらがらに。
だが,留守中おばあちゃんが子供部屋を模様替えしてくれていて,子供たちはいたく気に入って大はしゃぎ。
笑顔で迎えてくれるアデラに,クレオは「話したいことがたくさんあるの」と笑顔を返す。
コレ,何か,いいセリフだったなぁ。
そして,帰るなり早速クレオはお仕事。
洗濯カゴを抱えて離れの屋上へと階段を昇ってゆく。
抜けるような青空(白黒なんだけど,それが分かるの!!)が広がり,やはり飛行機が…
画面には「リボへ」と字幕が表示され,エンドロールが始まる。
このリボという人物は,監督の育った家に勤めていた家政婦さんの名前で,この映画は何と自分の子供時代を振り返ると共に,彼女との思い出を懐かしむために作ったものらしい。
自分を世話してくれたリボへの,映画によるラブレターといったところか。
本当にしみじみと心が温かく潤ってくるような映画で,大好きになってしまった。
2週間で1日1回の限定上映だったので,全くの休日に1回,出勤前に無理やり早起きして1回観に行ったのだが,あまりの評判の良さに1週間上映期間が延長された。
そのため,3回観られたのである…感謝!!
で,この映画もDVDが発売されたら絶対に買うつもりである。
(『ROMA/ローマ』あらすじと感想・完)
人手に渡る前にさんざん乗り倒したいというのもあったろうが,何より「私物を取りに戻ることになっているアントニオと顔を会わせたくない」というのが主な理由だったろう。
海辺のホテルに宿泊し,家族たち(おばあちゃんとアデラは留守番)は楽しいときを過ごす。
レストランで夕食時,ソフィアはとうとう子供たちに離婚したことをはっきりと知らせるのだった。
1人だけ父の浮気を知っていても,兄弟に話すことを口止めされており,ずっとストレスを溜めていたトニオもいくぶんかは楽になったようだが,はっきりと離婚を知らされたら知らされたでショックだったらしい。
食後みんなでアイスクリームを食べるときにしょんぼりしていた姿が,ひどく印象的だった。
つらかったね,もう一人で抱え込まなくていいんだよ,えらかったね…と言って抱きしめてあげたくなった。
だって,アイスクリームなんて,しょんぼりしながら食べるものじゃないからさ…!!
この旅行は言わば,アントニオなしでのこれからの生活を皆で頑張ってゆこう…という一家の決起会と,死産したクレオを励ます会のようなもの。
精一杯旅行を楽しみ,思い出を作る家族たち。
旅行の最終日は海でたっぷりと遊ぶ。
「あまり遠くへ行っちゃダメよ…私,泳げないんだから…」
クレオが一番小さいペペを浜辺に戻して体を拭いてあげている間に,今度はパコとソフィが海に入ってゆく。
私にも経験があるのだが,子供の頃初めて海に入ったとき,私はあまり水を怖いとは思わなかったクチで,波が来る度体が浮くのが面白く,唇を紫色にしながらもどんどん沖に入ってゆこうとして親から何度も連れ戻された(笑)。
多分,パコもソフィも幼くてまだ海の怖さが解らなかったのだろう。
クレオが「遠くへ行っちゃダメ!!」と叫ぶのも聞こえない程,どんどん行ってしまった。
不安を覚えたクレオは金ヅチだというのに,2人を連れ戻しに危険をかえりみずに海へ入ってゆく。
大きな波が何度も押し寄せる中,パコとソフィの名を呼びながら。
この海のシーンは驚異のワンカット撮影で,臨場感のある波の音も相まって,物凄い迫力だった。
正直,怖かったもん。
あれ,本当にどうやって撮影したのか…パコとソフィの頭が見えたと思ったらまた沈み…クレオも溺れちゃうんじゃないかと本当にハラハラしたよ…!!
あのシーンは劇場で3度が3度とも,「頑張れ…!!クレオ,頑張れ…!!」と祈りながら観てしまった。
何とか2人をつかまえて浜辺に生還したクレオ。
ソフィアもトニオもやって来て,無事でよかったよかった…とクレオをみんなで抱きしめるのだった。
そのとき,クレオがぽつりと口にした衝撃の言葉。
「本当は…産みたくなかったの…」
勿論,フルティン野郎との子供のことである。
「産まれてこなきゃいいって…思ってたの…」
そう吐露して涙を流す。
そんなことを考えていたら本当に赤ちゃんは死んでしまった…赤ちゃんを死なせたのは自分のせい…だから,絶対にパコもソフィも死なせる訳にはゆかない…そう思って命の危険もかえりみずに,クレオは海へ入って行ったのだろう。
そんなクレオを抱きしめながら,家族たちは言うのだった。
「私たち…クレオが大好きよ」
そのシーンが,この映画のポスタービジュアルになっている。
絆を深めた家族たちは家へと帰って来る。
本棚はすべてアントニオが持ってゆき,広い家の中はがらがらに。
だが,留守中おばあちゃんが子供部屋を模様替えしてくれていて,子供たちはいたく気に入って大はしゃぎ。
笑顔で迎えてくれるアデラに,クレオは「話したいことがたくさんあるの」と笑顔を返す。
コレ,何か,いいセリフだったなぁ。
そして,帰るなり早速クレオはお仕事。
洗濯カゴを抱えて離れの屋上へと階段を昇ってゆく。
抜けるような青空(白黒なんだけど,それが分かるの!!)が広がり,やはり飛行機が…
画面には「リボへ」と字幕が表示され,エンドロールが始まる。
このリボという人物は,監督の育った家に勤めていた家政婦さんの名前で,この映画は何と自分の子供時代を振り返ると共に,彼女との思い出を懐かしむために作ったものらしい。
自分を世話してくれたリボへの,映画によるラブレターといったところか。
本当にしみじみと心が温かく潤ってくるような映画で,大好きになってしまった。
2週間で1日1回の限定上映だったので,全くの休日に1回,出勤前に無理やり早起きして1回観に行ったのだが,あまりの評判の良さに1週間上映期間が延長された。
そのため,3回観られたのである…感謝!!
で,この映画もDVDが発売されたら絶対に買うつもりである。
(『ROMA/ローマ』あらすじと感想・完)