度胸試しのスーパーでの万引きは見事に失敗したジーサンズ。
平均年齢82歳の自分たちだけではさすがに銀行強盗は無理だと考え,その筋のスペシャリスト(?)から教えを乞うことにする。
ジョーの娘の元旦那が紹介してくれたメキシコ系の男を訪ねると,そこはペットショップ。
どうやらペットショップというのは表向きで本業は泥棒らしいのだが,捨てられた子犬を心から可愛がって世話していたりして,何だか根っからの悪党じゃない感じ。
動物たちに行き届いた世話をするための資金として泥棒稼業をしているのだろうか。
報酬として盗り分の25%を渡すことを約束すると,彼は快諾してくれた。
早速ジーサンズの強盗としての研修(?)と特訓が始まる。
綿密な計画,場所の下見,カメラの設置場所の確認,そして予行演習に強盗に必要な体力作り…
幾多の試練を何とかクリアし,リハーサル(といっても,襲撃から引き上げるまでの時間の測定)を重ねた末,この分ならまあ成功するだろう…と,師匠(役名を忘れた)からとうとう合格点をもらえた。
失うものは何もない,もし逮捕されムショにぶちこまれたとしても3食寝床つきなのだ…と覚悟を決めた3人の顔は晴れやかであった。
まるで悲壮感がないのだ(笑)。
決行の日は町内会(っていうのかな)のお祭りで,3人は会場スタッフとして動いていた。
アリバイ作りにはもってこい。
今時はどこにでも監視カメラがあるので,着替えて会場を離れる姿が絶対に映らないように工作する。
そうして,3人はスーツに着替え,マスクをかぶって銀行を襲撃。
フランク・シナトラなどのマスク(あと2人は誰だっけ?←歳は取りたくないもんだ)着用だったのだが,やはりレジェンド俳優だけあってスーツ姿がカッコいいの何の。
1ヶ月間で2度も強盗に襲われた銀行側は怯えつつも,げんなり(笑)。
「あるったけ全部詰めろ」と命じられ,窓口の行員も襲われ慣れたのか従順で,思いの外,手早く済みそう。
そこへ,若いお母さんと一緒に来ていた幼女が,「これも?」と自分の持っている人形(ポポちゃん?)を差し出すのだが,子供の好きなウィリーは無視すればいいものを,「君はいい子だね」とかがみこんで幼女に話しかける。
そのとき,急に腹を押さえてうずくまり始めた。
ウィリーは実は移植が必要なくらい,腎臓が悪いのである。
「大丈夫?」と心配そうにマスクに手をかける幼女…ウィリーの顎から口元までが露になったが,命の危険を感じたお母さんが,「お、おじさんはお仕事中なのよ」と,慌てて止めさせた。
「マスクは暑くて苦しいよ?」
無邪気で優しい幼女にウィリーは,「ありがとう…」とお礼を言う。
何とか腹痛は去ってくれ,立てるようになったウィリーだったが,さあ引き上げようというときになって警報装置が鳴らされた。
何とか警察が来る前に消えなくてはならない…!!
ジーサンズは金を詰めさせたバッグを持って,空砲を詰めた銃(誰も傷つけずに済むように)で支配人を脅す。
支配人とやり取りするうちに発砲せざるを得なくなるのだが,空砲なのに大袈裟に騒いで痛がる支配人のおかげで誰も逆らわず,何とか警察が駆けつける前に銀行を後にすることが出来た。
まずは約束の報酬を師匠に渡し,使用した武器とマスクを元職場の鉄鋼工場で処分,計画通りの時間内にお祭り会場に戻ってスタッフ業務を続けるのだった。
その夜はさっそく高級レストランで食事をして,打ち上げ(笑)。
質素に生活していたときはダイナーでもパイを頼まずにコーヒーだけ注文していたというのに,全種類のパイをデザートに注文する大盤振る舞い(自分たちに)。
気分よく店を出た3人だが,またしてもウィリーの体調が悪化、動かなくなってしまい,とうとう入院を余儀なくされる。
ウィリーの腎臓が移植が必要なくらい悪化していたとは知らなかったジョーとアルは,大ショック。
まともに順番を待っていたって,生きているうちに移植は出来ないだろうと,ウィリーははなからあきらめていたのだった。
「言ってくれればよかったのに…」
何と,アルがドナーを申し出てくれ,近日中に移植手術をすることになった。
そんなある日,3人が万引きをしたスーパーの警備員が,銀行強盗のニュースを目にして,「特徴のある歩き方だから,もしかして…」とFBIに店内カメラの映像を見せたことから,ジーサンズに嫌疑が向けられた。
3人は連行され,取り調べを受ける。
だが,周到に工作した鉄壁のアリバイはFBIも崩すことが出来ず。
捜査官(マット・ディロン)は,それでも犯人は彼らであるとの確信が拭えず,最終手段として,唯一人銀行強盗の素顔を少しだけでも目撃した幼女に面通しをさせるのだった。
幼児の証言が採用されるのか…?!と思ってしまったが,ウィリーに人形を差し出そうとし,体を気遣ってくれた幼女がお母さんと一緒にやって来る。
ジーサンズを含めて10数人の容疑者が車イスに乗ったまま,体育館に並ぶ。
面通しはウィリーが最後であった。
ウィリーをじっと見つめた後,右手にしている腕時計を見て一瞬ハッとする幼女。
その腕時計とは,町内のシルバー仲間たちが特注で作って誕生日プレゼントにくれたもので,文字盤が孫娘(これがまた将来物凄い美人になりそうな女の子)の顔写真なのだ。
銀行で言葉を交わした際,スーツの袖口からのぞくその腕時計を,幼女は確かに見ていた…!!
(このお爺ちゃんがあのときの強盗さんだ…!!)
そう確信した表情だったがすぐに無表情になり,何と幼女は,
「(犯人は)ここにはいないわ」
ときっぱり答えるのだった。
幼女はウィリーのことを直感的に「優しいお爺ちゃんなんだ」と思って,庇いたくなったのだろう。
にこりと,一瞬ウィリーに目配せしてから捜査官を振り返り,「もう帰ってい~い?」とせがむ。
ドキドキしたけど,凄く微笑ましいシーンだった。
ウィリーの移植手術も無事に済み,ジーサンズは銀行からぶん獲った金を同じく年金を打ち切られたシルバー仲間たちにも匿名で送付し分け与える。
そして,アルはアニーと結婚(!!)。
80を過ぎて1日に3回もセックス出来る爺さん…という設定の,アラン・アーキン(笑)。
ハッピーエンドだが,最後の最後におまけが用意されていた。
孫娘のブルックリンがずっとAの成績をとり続けたご褒美に,犬を買ってあげるという約束をしていたジョー。
師匠から,パグの子犬を買うことにした。
そのときの師匠との会話で,「年寄りを敬うのは社会の義務だ」という言葉が出てきて,ハッとなる。
まさか,あのときのタトゥーの強盗は…?!
だが,師匠の首にも腕にもタトゥーはない。
ニヤリと笑って彼が言うには,「あれはヘナで描いたものさ。わざと,目立つ特徴を見せつけて捜査を撹乱するんだ」。
自分でも知らずに憧れ,尊敬に似た気持を抱いていた強盗に,自分たちはコーチを受けていたのだ…と判って,驚きと感動に胸を浸されるジョー。
そんな感じで映画は終わります。