今月最後の休日を満喫ちうです。

久々に観たい映画もなく,昨日は会社から寄り道せずに帰り,ちゃんとスーパーに買い出しにGO竜馬。

1ヶ月近くスーパーに行かずにいたら,いつの間にかレジが自動精算機に変わっていてビックリ。

今月は8本も映画を観た。

とりわけ素晴らしかったのが,『お嬢さん』『アシュラ』『哭声~コクソン』の韓国映画3作品。

中でも一番魂を揺さぶられた『お嬢さん』のあらすじと感想を,ようやく時間に余裕が出来たので書いていこうかと思う。

先日購入して貪るように読み耽ったサラ・ウォーターズの『荊の城』という小説が原作なのだが,19世紀半ばのロンドンから1939年の日本が統治する朝鮮半島に舞台を置き換えて映画化されたものだ。

スリや詐欺,赤ん坊の売買などを生業とする集団に育てられた孤児のスッキ(キム・テリ)は,ボスの"伯爵"(ハ・ジョンウ)からある企みに加担しないかと誘われる。

日本かぶれで日本に憧れる余り日本人と結婚,日本に帰化して上月(チョ・ジヌン)と名乗る華族がいるのだが。

亡くなった両親から莫大な財産を受け継いだ秀子という姪と,人里離れた豪邸に住んでいる。

上月は日本の春画(!!)が好きで,たくさんの稀少本を所有していた。

詐欺師集団のボスだけあって色んなスキルがある"伯爵"は,藤原と名乗り日本人のフリをし,その稀少本の装丁の名目で上月に取り入ることに成功。

滞在中に令嬢・秀子をたらしこんで結婚し,秀子を豪邸から連れ出したあとは理由をつけ精神病院送りにして,まんまと財産だけいただこう…という計画であった(ひでぇ!!)。

スッキはその手助けをするべく,珠子という日本人のメイドになりすまして"伯爵"より一足先に上月の豪邸に送り込まれる。

その豪邸はすごく広いのだが古く,日光を極力入れない決まりになっている暗い家だった。

上月の所有する莫大な量の本の保存のためである。

そんな暗い豪邸の中で世間を知らずに育った令嬢の秀子(キム・ミニ)は,叔父のために本の朗読をするしかない退屈な毎日を送っていた。

この豪邸というのが…凄かった。

日本,朝鮮,西洋ごた混ぜで,何ともいえない建築様式。

退廃的な雰囲気で,江戸川 乱歩の小説にでも出てきそうな感じ。

大きな図書館みたいな広間の畳を剥がすと池が出てきたり,庭園が現れたり,仕掛け扉,生きてるみたいな蛇のオブジェ…地下室に続く隠し出入口なんかもあったり。

演じているのは韓国の俳優・女優さんなんだけど,流暢ではあってもどこかぎこちない日本語にまず頭がくらくらする(笑)。

豪邸の中ではずっとみんな日本語で映画が進行するのかと思いきや,いきなり韓国語になったり。

まあ,観ているうちにあんまり気にならなくなったけど。

陰鬱だけど艶めかしい映像にひたすら釘付けだったもんでね。

珠子は秀子に気に入られるように仕え,いつもそばにつき従う。

但し,秀子が叔父のために朗読をする間は別だった。

「終わる時間きっかりに迎えに来てね」と言われ,その部屋にだけは入ることを許されないのだった。

だが,ずっと寂しくて退屈だった秀子は,珠子に少しずつ心を許していく。

すっかり仲良くなり『お嬢様ごっこ』をしましょう,と秀子が珠子にドレスを着せるシーンがあるのだが,これがキャッキャ・ウフフと楽しそう(笑)。

秀子が下着姿の珠子のコルセットをぎゅうぎゅう締めて悲鳴を上げさせるところとか,入浴中に(なぜ?)棒つきキャンディーを舐める秀子が「尖った歯が当たって痛いの…」と頬を押さえたとき,「見せて」と言って,やすり代わりにした指貫をはめた指を抜き差しして珠子が秀子の歯を削るところなど…

もう,「この2人がただならぬ関係になるんだな」と匂わせる,セクシーなシーンが次々と出てきてドキドキ。

悪い夢を見てうなされる癖のある秀子は,子供のようにメイドに添い寝を命じるので,珠子も従う訳なのだが…こう来りゃもお,どうにかなっちゃう展開でしょ。

長身で美人だが儚げな秀子と,小柄で可憐だが目つきの鋭い野性的な珠子…どちらもきれいでとっても魅力的だったよ。

本の装丁のために藤原("伯爵")が屋敷にやって来て,上月との仕事の時間以外は秀子に絵を教えたり一緒に過ごし始めるようになるのだが,珠子は秀子が"伯爵"を好きになりうまい具合に結婚まで話が進むように手助けしなくてはならない。

最初は騙す気満々で甲斐甲斐しく仕えて取り入っていたのが,知らず知らずのうちに,秀子の純真無垢で孤独な魂に魅かれてゆくスッキ。

ある日,
「私の母は私を産んで亡くなったの…母が死んだのは私のせいね…」
と打ち明ける秀子に,珠子が真剣なまなざしで,
「この世に,産まれてきてはいけない子供なんて,いないんです…!!」
と言い聞かせるシーンはグッときた。

心の奥底までは悪になりきれないスッキの葛藤に,萌えもえした。

"伯爵"は絵を指導する役目をいいことに,秀子に触れたり甘い言葉を囁いたりして籠絡しようとするのだが,初な秀子はどぎまぎしてばかり。

何せ,ずっと屋敷に閉じ込められて育ったのだから,恋というものがどんなものかも知らない。

この結婚詐欺が成功したあかつきには報酬がもらえるので,秀子が"伯爵"と上手くいってくれたらいいと思っていた…はずなのに…

雄の匂いを漂わせて純真無垢なお嬢様を怯えさせる"伯爵"に憎しみを覚え,もし秀子が"伯爵"に恋してしまったら嫌だと思ってしまう…

そんな自分の気持に戸惑うスッキ。

2人の様子を見る度にスッキの眼が苛立ちと嫉妬を隠せなくなってくるのが手に取るように解った。

ある夜,藤原への気持が自分でも恋なのかどうかが解らない…とベッドの中で珠子に相談する秀子。

胸が痛みながらも,「そうに決まってます」と受け合い,お嬢様も藤原様を好きなのです…と暗示にかける珠子。

こんな,何も知らない田舎娘の私を藤原様は愛して下さるかしら…?私,どう振る舞ったらいいの?男の方に抱かれるときにどうしたら…

そんなことを悩んでいる秀子についムラムラし,藤原をダシにして(笑)体の悦びを教えてしまう珠子だったのだが,2人の初Hシーンがまた悩ましくて,ひじょうに色っぽかった。

いや,そんな生易しい表現じゃ足りないな。赤裸々といっていいくらいリアルだっだ。

映画館では私の隣で高齢のご夫婦が並んで観てたのだが,刺激が強くなかっただろうか(笑)。

ある日,たった数日だが仕事のために上月が屋敷を留守にすることになった。

「私が留守だからといって…解っているだろうな?(何か面倒を起こせば)地下室だぞ」

上月は秀子にそう言い残して出掛けてゆく。

やっぱりこの胡散臭い叔父は,秀子を何らかの形でこの豪邸からでてゆけないように縛っているのだ…と判る。

この好機に脱出しよう…と打ち合わせしていた藤原と珠子,秀子。

夜になり,秀子と珠子は旅支度をして豪邸を抜け出す。

他の使用人たちに見つからないように玄関からではなく離れから出てゆき,湖のあるところまで走ってゆき,藤原と合流しボートに乗って夜逃げするのである。

偽造パスポートを用意して3人は,日本へ高飛び。

多額の賄賂でかくまってもらう約束をした逗留先に落ち着き,寺で式を挙げる。

これがまた,着物なのに指輪を交換したりとか(笑),完全に日本の様式とは思えないような,変テコな式だった。

ここからイッキに話が展開してくる訳だが,少し休んでから再開します。

疲れた(笑)。
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