岡部を引き起こした千春は,パワーボムの態勢で高々と頭上に抱え上げる。
このまま叩きつけても凄い破壊力だったろうが,右肩にバックブリーカーの態勢に抱え直し…
サンダーファイアー・パワーボムで叩きつけたのだった。
完全に3カウントが入り,千春は5月の自主興行での恨みを見事に晴らした。
だが,テーマ曲が鳴り始めるも制し,マイクを握る千春。
固唾を飲んで見守っていたら,
「岡部…お前,強えよ」
何と千春先生の口から出たのは岡部を称える言葉だった。
「お前の勝ちたいって気持はよく解った…一緒に勝とうぜ。タッグを組もう」
えええええ…?!!!
狐につままれたような気持になったのは,私だけではあるまい。
千春先生がいくら高潔な人柄で,いつまでも遺恨を引きずるような方じゃないといったって…
あんまり急展開過ぎないかあああ…?!!!
しかも,岡部さんも受け入れちゃったよ…!!がっちり,さわやかに握手してるし!!
こんなんアリ…?!
と思っていたら,先ほどの試合で度重なる誤爆によりパーカーズと不穏な雰囲気になった力丸 乃りを選手が解説席のマイクを取った。
「ついさっきまでさ,親の仇のようにやり合っていたってのに…昭和の学園ドラマじゃあるまいし,たった1度試合しただけでノーサイドって,何それ?」
ええ,私もそう思います。
翌日試合が組まれていない力丸は,そばに立っていたぢゃいあんとを指して,
「こいつも明日試合がないんだよ。可哀想じゃねえか」
いや,とても"可哀想"には見えないんですが…
「だから,こいつと組んで明日はお前らと遊んでやるよ」
何だか,パーカーズのメンバーから仲間外れにされかけてる八つ当たりみたいな感じだが,千春先生はそんな上からな力丸の対戦要求を受けて立った。
一方,岡部は,
「俺,2日連続でデカいのとやるの…?」
とゴニョゴニョ。やっぱり人の子だったね(笑)。
でも,ちゃんと受けて立った。
千春先生とのタッグか…
いきさつは不自然というかだいぶ無理やり感があるにはあるが…
何だか凄いタッグになりそうである。