マイクを取り,スイッチを入れたブ厚様。



「オイ!!オイ!!オイ!!…行くぞ!!行くぞ!!行くぞ!!」

ああ,やっぱり後楽園ホールでも太仁田劇場をやるんだ…!!

ちゃんとお客さんたちも呼応してくれ,一安心。

それはブ厚様が後楽園のお客さんたちに認められた証拠だと思うが,同時に,改めて大仁田ファン,プロレスファンは温かいなと実感した。

ブ厚様は,2001年に学生プロレスで太仁田 ブ厚としてデビューし,アマチュアプロレス界であの電流爆破風デスマッチをやり続けてきたことを語り始める。

その風貌のせいもあって大仁田 厚本人にも熱狂的ファンの中でも突出した信者として顔を覚えられ,昨年秋には入場時の花道でさりげなく,まるでセコンドよろしく映像に残ることにも成功(笑)。

そして,とうとう今年の5月に大仁田 厚本人が,彼の夢を叶えてくれた。

それまでもプロの選手(菊地 毅,田村 和宏,高山 善廣,大森 隆男など)とも試合をしてきたブ厚様だったが,憧れのカリスマ・大仁田 厚がブ厚様のして爆破"風"を知って,自分のリングでそれをやらせてみようと言ってくれたのだ。

あれを前座でやることを許可し,巡業にも帯同させたばかりか,引退試合の第1試合という重要なポジションを与えてくれた。

そんなストーリーには,プロレスファンならずとも胸が熱くならないはずがない。

ブ厚様は,これから大仁田 厚という男がどうするのか,どこへゆくのかは分からないが,例えどうあっても自分の魂は永遠に大仁田 厚と共にある…!!という言葉で締めくくり,力強くマットにマイクを叩きつけるかに見せてそっと置いてから,リングを降りた。

変な野次が飛ぶこともなく劇場を終えることが出来,たくさんのお客さんに手を差しのべられる中を退場していくところを親戚のオバサン根性で見守っていた私は,ようやく安心して出勤の準備をしたのだった。

いきなりだが,『ロック・スター』という映画がある。

スティールドラゴンというカリスマロックバンドの熱狂的ファンである青年クリスが,働きながら物真似バンドのヴォーカルをしているのだが。

驚異的な声量・声域・歌唱力で,物真似バンドは地元でも大人気。

スティールドラゴンのライブでは,『Stand Up』という楽曲のクライマックスで息の続く限りヴォーカリストのボビーがシャウトする定番シーンがあるのだが,ある日ボビーより長くシャウトする最前列のクリスの声がボビーの度肝を抜く。

女の子たちをぞくぞくさせるセックスシンボルのボビーに憧れるクリスは,髪型からファッション,歌い方から仕草,ポーズまで日常的に真似しているのだが…

ボビーは実はゲイで,ロック・スターである自分の姿に違和感を覚えており,バンドとも音楽性の違いで衝突することが増えたため,ある日とうとう脱退してしまう。

何とその後釜として,クリスが,バンドにオーディションを受けに来いとスカウトされるのだ。

ちょうどバンド仲間と衝突し追い出されたばかりのクリスは,恋人を伴ってオーディションを受けにゆく。

一発で合格しツアーにも参加,スティールドラゴンの従来のファンにも認められ一躍大スターとなるのだが,パンドはギタリストのワンマン経営であり,作曲に全く関わらせてもらえないことに失望する。

それだけではなく,プロの世界の裏事情を知り,自分もどんどん染まって流されてゆく。

次第に天真爛漫さをなくしてゆくクリスに愛想を尽かし,恋人も去ってゆく。

ロック・スターのパートナーでいるより自分の道を歩むためだ。

失ったものに気づいたクリスが,本当に大切なもの,自分の生き方とは何かに気づいて,最後はファンの男の子をステージに上げ自分の代わりに歌うように言って去ってゆく…そんな映画だ。

まだブ厚様はプロの世界にどっぷり浸かった訳ではないし,浸かったとしてクリスのように流されてしまうような男ではないと信じているのだが,ふと私はこの映画にブ厚様を当てはめてしんみりしてしまった。

もし,ブ厚様がプロの世界に入ってスターダムにのし上がり,クリスのように得た分と同じだけ何かを失って(←勝手に失わせるなよ)引退したら,ちょっとした映画みたいだな…

そんなことにでもなったらブ厚様の人生を映画化…それは無理でも原田 久仁信先生に『列伝』を描いて欲しい。

いや…ブ厚様なら劇画タッチよりも『プロレス・スターウォーズ』の画風の方が似合うかも(笑)。

…などというアホなことを一人で考えては,この数日間,白日夢に浸っている。

もうね,自分のことでドキドキ出来ないから,他人のことでドキドキさせてもらおうと思って(笑)。



ブ厚様,後楽園での大舞台…本当にお疲れ様でした。

追記。ブ厚様のこの第1試合はYahoo!デイリーニュースでも取り上げられていたよ。
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電流(風)が流れる無刺鉄線バット。



一体何が危険なんだろうとは思うのだが,この際そんなことはドゥでもいい。

あのボタンを押すシーンと,バットを拾い上げる姿がカッコよ過ぎてカッコよ過ぎて…訳解らないから。

バットを大きく振りかざして突進するブ厚様だったが,パンディータのスピアーが炸裂。



起き上がったパンディータがバットを拾い上げ,ブ厚様の立ち上がるのを待って叩き込む。



爆破音と共に仰向けに倒れたブ厚様を,同じく仰向けにカバーした。

3カウントが入り,惜しくもブ厚様の勝利はならなかった。

時間をカウントしたら何と,9分近くも闘っていた。



なお,ブ厚様の健闘を称えるパンディータだが,レフェリーに腕を上げてもらった後,うつ伏せに倒れているブ厚様に,無刺鉄線バットでさりげなくカンチョーしているのを私は見逃さなかった。

一旦,完。

お腹空いたから。
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サンダーファイヤー・パワーボム風を返されて不満気なブ厚様。



パンディータをコーナーに振って向かってゆくが,かわされてロープ渡りをきめられてしまう。

セカンドロープかよ(笑)!!



指摘されると,観客の声援をあおりトップロープを渡り始めた。

ブ厚様,苦悶の表情。

トップロープから飛び降りたパンディータのパンチに倒れ,一度は右肩を上げるブ厚様だったが今度はコブラツイストに。

だがしかし,ブ厚様のあの体にうまくコブラがかかるはずもなく,2人はじりじりと残った無刺鉄線に。

掛け声もろとも,背後に回ったパンディータと一緒に突っ込んだ。



ひときわ凄まじい爆破音。



先に起き上がったブ厚様が,リッキー(・フジ)を呼び助けを求める。

が,助けが来るはずもなく(笑),毒づきながらコーナーへ。



無刺鉄線バットに高圧電流(風)を流すボタンを押した…!!

さらに,さらに,さらに続く。
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最初の爆破(風)でレフェリーまでもがダメージを受けたらしく,カウントが激遅。

パンディータも爆破音で鼓膜がドゥにかなったらしく,しきりに頭や耳を押さえていた。

少しく拳や肘で殴り合っていた2人だったが,パンディータが無刺鉄線を拳に巻きつけグーパンチ。

ブ厚様もパンディータの顔面をかきむしり,頭突き攻撃。

だが,無刺鉄線ロープに飛びそうになりつつも助走をつけて向かってゆくが,パンディータにかわされ,再び無刺鉄線にぶつかってしまう。



爆破音で吹っ飛んだ両者&レフェリー。



起き上がったブ厚様が四つん這いで頭突き合戦から,DDO。

さらにダブルアーム・スープレックスを出すがカウント2で返され,サンダーファイヤー・パワーボムを繰り出そうとするも,パンディータの爪先攻撃のため未遂に終わる。



末端はやめて,ボディーにして…とアピールする(してない)ブ厚様に情け容赦ないパンディータ。

ドゥやらブ厚様の弱点は爪先らしいと判るが,ブ厚様も蹴りで応戦。

そして,一度は未遂に終わったサンダーファイヤー・パワーボム(風)が炸裂。





だが,(風)がつくと,いやにスローモーな回転エビ固めみたいで,パンディータに難なく返されてしまうのであった。

さらにさらに続く。
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大仁田 厚引退興行オープニングマッチ~太仁田 ブ厚vsパンディータ

脱いだ皮ジャンを振り回してパンディータにつっかかっていったのは,ブ厚様。

パンディータを無刺鉄線に振るが,パンディータ堪える。



危険なことは何もない無刺鉄線(モール飾り)なのに,なぜかいつもドキドキするから不思議。

サイドヘッドロックにとらえたブ厚様を無刺鉄線に振るが,振り返され,またも堪えるパンディータ。

このやり取りの際,後楽園の客席がほとんど笑顔だったので,「電流爆破の緊張感を再現して楽しむ」試合形式をお客さんも好意的に受け入れていることが分かり,安心した。

逆にブ厚様にサイドヘッドロックにとらえられたパンディータが,ブ厚様の足を踏んで脱出。

「…痛風ーっ…!!」

何てことしやがるんだ!!とばかりに踏まれた爪先を指差し,抗議するブ厚様。

「末端はダメーっ!!」



…と抗議しかけたブ厚様にパンディータが飛び蹴りを放って無刺鉄線にぶつけると…



「ちゅどおーん」という爆破風の音が。

クラッカーじゃ…ない…?!

いつもはブ厚様の試合の前には最前列のお客さんたちにクラッカーが配られ,無刺鉄線に触れたら鳴らすようレクチャーされるのだが…

解説によると,後楽園ホールはクラッカーも火器と見なし禁止しているため,直前になって使えないことが判明したのだという。

そ…そんなハンデを負って試合に臨まなくてはならなかったなんて…!!

驚愕しつつも私は試合を見守るのであった。

さらに続く。
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