部屋の外(共用廊下)でガッツンガッツン何か物音がするなぁと思ってドア穴から見てみたら、大家さんが何やらしゃがんで作業を。
苦しそうな唸り声まで聞こえ、かなりお年寄りの方なので放っておくのも何だかアレで、そっとドアを開けどうしたのかと尋ねてみた。
大家さんはたまにマンションの廊下や階段、入り口などの清掃にみえる。
床にかけるワックスの容器の蓋が開かなくて唸っていたのだった。
そこはバカ力自慢の俺が!!任せて下さい!!とばかりに彼から容器を受け取ったが、これが思いの外固い。
今日に限って大家さんはゴム手袋を持って来ておらず(外に停めてある車まで見に行って結局なかったのでまた5階まで昇って来てかなりぐったりしていた)、きちんと液を拭き取らずに蓋を閉めた奥様のせいだとこぼしていた。
金づちで叩けば開くかと思って何度か叩いてみたが開かなかったそうだ。
あいにく俺の部屋にもゴム手袋がなく(大分前に破れたから買おうと思っててそれ以来忘れてる)、軍手をはめてみたが同じことだった。
5分も経つ頃には疲れ始めて息も切れてきて、大家さんは、
「もういいよ、いいよ・・・手が痛くなるし、お仕事に行かなくちゃならないんじゃないのかい」
と止め始めた。
だが、俺もここまで来たら後には引けないと思い、思いッ切りケンシロウのように息を吸って、吐いてからあらためてぐわしっ!!と蓋を握り締めた。
そして一声、
「まあああーーーどおおおーーーかあああーーーちゎあああああーーーーーん・・・っっ・・・!!!!!!」
と叫びながら回してみたら・・・
嘘のようなホントの話で、蓋はバキッ!!・・・と音立てて回り、見事に開いたのである・・・!!
かなり疲れたし右手も痛くなったが、やはり愛の力っていうやつは凄いと実感して満足して部屋に戻った。
大家さんが感謝の言葉を述べつつも、何だか化物でも見るような表情だったのが少々気になるが・・・まあいいとしよう。
そろそろ部屋を出て実家に向かおう。
画像は関係ないけど、素敵な笑顔のストレッチマン。