大相撲初場所で14勝1敗で優勝し、ほどなく横綱に昇進した稀勢の里。終盤に一気に火がついて綱取りに至ったなんて記憶がないんですよね。ネット業界ではポジティブな炎上を「バズる」と呼んでいるそうですが、今回の昇進劇はまさに「バズる」というに相応しい出来事かもしれません。

最近の成績推移をみると、現在の横綱のうち鶴竜と同じような推移の仕方(準優勝→優勝)で昇進に至ったようで、データだけをみれば驚くようなものではなかったといえそうです。ただ、稀勢の里の場合は去年の秋場所に巡ってきた綱取りへの大チャンスをモノにできず、もう綱取りのチャンスはしばらくないという印象もありました。綱取りへの勝ち星を数えるカウンターはリセットされて九州場所が始まったら12勝で優勝次点。それでも初場所開幕前は稀勢の里にチャンスがまた巡ってきたという声はあがっているとは私は思いませんでした。しかし、場所が進み、稀勢の里の勝ち星が積み上がると一気に綱とりの機運が高まったんです。日本出身者の横綱はあの若乃花勝(虎上)以来19年ぶりということで、待望論と稀勢の里の復調があいまって「バズ」ったのかなと終わってみれば感じます。

優勝ゼロで年間最多勝という初の珍事(去年)も安定感の証として認められたし、休場が少ないという体の強さも安定感の裏付け。長い目で見ての評価もモノを言ったのかもしれません。このような強みを生かして強い、愛される横綱になってほしいと、今は祈るだけです。

では、また次回です。
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