以前このコラムでも取り上げた高校野球の球数制限。甲子園大会について1週間で500球を目安にすることを専門家会議が理事会に提案することになるそうです。WBCやU-18ワールドカップのような1試合当たりの球数制限を期待していた人たちには拍子抜けだったかもしれませんが、選手層が薄いチーム対する配慮が必要だからそうしたと考えれば腑に落ちる気がします。

その一方で驚いたのはバットの太さ制限の強化です。来年をめどに現在の基準から5%ほど細くするとか。社会人野球のように金属から木のバットに戻すことは難しいにしても木のバットに近い反発力にするために更に細くしようというわけです。夏の甲子園の後にあったU-18ワールドカップで攻守それぞれで木のバットへの対応ができていないのが露呈してメダル獲得を果たせなかったことや今年の夏の甲子園で打球を顔面に受けて骨折してしまった投手がいたことを問題視したためだといいますが、今年の夏に掛布雅之さんが提言したように無駄な投球数を抑制できるという効果まで考えていたかどうかはわかりません。

また、茨城国体では智辯和歌山の選手全員が最後まで木のバットを使うことにしたそうです。中谷監督は「3年生は卒業して大学に進学したり社会人やプロに進んだりしたら木のバットを使わなければならないから早めに慣れさせたい」という理由で実行させるといいます。プロ入りを意識した選手が個人的に国体で木のバットを使ったケースはあるそうですが、チームぐるみで使うのは珍しいとか。その上、初戦の相手である星稜もこの試合限定ではあるものの木のバットで応戦するといいます。この試みが今後どうかかわってくるか、楽しみにみてみたいです。

では、また次回です。
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15日に行われたMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)。沿道には52万人が集まったというわけですから大盛況だったことに違いないでしょう。目の前で東京オリンピックの代表が決まるというレースですから見てみたい人も来年のオリンピックの雰囲気がどんなものなのかイメージしたい人もたくさんいるかもしれません。

何度かMGCのように…ということをここで話していましたが、実際やってみると面白かったですね。中でも男子でスタート直後から飛び出し、37㎞あたりまで先頭を走り続けた設楽悠太選手の激走ぶりは翌日まで情報番組で大きく取り上げられるくらい注目されました。もしかしたら、オリンピック代表の座をかけた大勝負だから「思い切りのいい激走」と称賛されたけど、場合によっては「世紀の大暴走」とか「目立ちたがりなだけ」と叩かれかねないのではと思ってしまいました。一方で女子で1位になった前田穂南選手が飛び出して後半20㎞以上一人旅を続けて押し切ったレースを一部で「たまたま2位以下の選手がついていけなかっただけ」と切り捨てる声もあるのに場合によっては「よく追い込み型の強豪につかまらなかったね」と称賛されることもある。本気度とか大会の重みなどで見方がいろいろ変わるかもしれません。なんだかんだ言いますが、男子の場合は設楽選手を捕まえた後続集団がその後もスパートの応酬をしてくれたおかげで見せ場たっぷりになったし、女子は2位争いが最後までわからない状況だったので面白いレースになったと思います。

MGCがマラソン業界に本当に有益だったかどうか、判断つくまで時間がかかるかもしれません。ですが、やれば間違いなく盛り上がることは確かでしょう。では、また次回です。
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15日に行われるマラソングランドチャンピオンシップ。MGCと呼ばれる大会が本番を迎えます。「MGCが何の略かわからない。マラソンオリンピック予選くらいの名前でないと」という批判の声もありましたが、MGCという略称がすっかり定着しました。それを前に11日、男子のレースを主に中継するTBSテレビがMGC誕生秘話を特番で紹介しました(ほぼ並行しておこなわれる女子のレースはNHK総合テレビで放送)。

東京オリンピックを目指したマラソン強化プロジェクトのリーダーになった瀬古利彦さんは「一発屋を生まない一発選考をするには」という発想で選考方法をプロジェクトチームの関係者と考えたそうです。その一員だった河野匡さんの発案で3年がかりの選考ロードを構築し、実現したわけです。最初はMGC本番で代表3人を決めて終わりにするつもりでしたが、勝負強さの他に速さを求めるためいくつかの選考レースで一番速く走りかつ基準のタイムをクリアできた人を敗者復活枠で入れるという2段構えにしたとか。これならあまり批判を差し挟みにくくなるし、選考の過程がガラス張りにできるというわけです。

そこで私が考えたのは競泳のこと。競泳はマラソンのようなテレビや新聞、スポンサー企業のしがらみがあまりないこともあって、世界選手権やオリンピックの代表は一発選考が当たり前になっている感じがします。ただ、日本選手権での一発選考で強くて速い選手を選ぶことにこだわりすぎているから代表になれる人数が想定を下回る事があるのだろうと思います。MGCは競泳を見習ったと思い込んでいたのをを11日に否定されたところで言うわけではないですが、競泳の代表選びこそMGCのようなルートを作った方がいいと思うのです。例えば、日本選手権を一発勝負の選考の場にするならば、派遣標準記録を破れずグダグダの結果だったとしても優勝した人を代表にする。でも、次に行われるジャパンオープンで日本選手権の優勝記録を上回って優勝した1人(または日本人最上位)と派遣標準記録をクリアできた2番手を代表にするというくらいでもいいのかもしれません。

マラソンのMGC、最高の結末を期待しましょう。では、また次回です。
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1日に新潟競馬場で行われた新潟記念が最終戦となったJRAのサマー2000シリーズ。福島・七夕賞、函館記念、小倉記念、札幌記念、新潟記念の5つの競馬場を転戦したシリーズで勝ち馬がすべて異なったばかりか、継続的に良い成績を残せた馬も多くなく、14年目にして初となる総合優勝預かりとなってしまいました。

JRAでは2006年から夏場に行われる単距離の重賞をつなげたサマースプリントシリーズ、芝2000mコースを使う重賞をつなげたサマー2000シリーズ、そのあと芝1600mコースを使う重賞をつなげたサマーマイルシリーズをそれぞれ編成しました。対象となるレースのうち少なくとも1つのレースに優勝しかつ一定のポイントを稼いだ馬が総合優勝の資格を得るというルールになっていて、サマー2000とスプリントでは必ず総合優勝の馬がいました。対象レースが3つしかないサマーマイルでは要件を満たす馬が出にくいからか総合優勝の要件を満たした馬がいなかった年がありました。そしてこの夏、サマー2000で総合優勝の要件を満たした馬が現れなかったというわけです。

コンディションを維持するのがいつも以上に難しい夏だったからかもしれませんが、競馬業界的に秋の訪れが少し早くなっているのも原因なのかもしれません。札幌記念が夏場唯一のGⅡになると、これまで9月以降にならないとレースに出てくることがなかったGⅠ候補といえる馬たちが札幌記念を秋の初戦ととらえ、そこから日本の天皇賞なりフランスの凱旋門賞を目指すようになるのが珍しいことではなくなりました。以前なら上半期にパッとしなかった馬たちが夏場に勝ち星を積み重ねていき捲土重来を誓うのが一般的で、2000mの重賞を2勝する馬が出てくるのが普通に受け止められていました。それが札幌記念のGⅡ化で捲土重来派のチャンスがやや減ってしまうのかなと考えてしまいました。6月の宝塚記念が終わったら9月まで競馬はお休みというファンが昔は多かったそうです。そういう人たちが夏競馬に興味を持てるようにしようということで札幌記念をGⅡにしたりサマーシリーズを設けたりしたのでしょう。でも、相反する結末を迎えるとは思ってもいませんでした。すぐにルールを改善せよとは言いませんが、こういうことが続くようになったらどうするかを考えてもいいかもしれません。

では、また次回です。
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