ラグビーワールドカップが終わって1月半、業界はもう次の4年間に向けて動き出しているようです。27日には恒例の高校ラグビーが花園で始まり、年が明けると新国立競技場で2つ目の公式試合となる大学ラグビー決勝、そして代表メンバーが敵味方に分かれた戦うトップリーグという具合。前々からラグビー好きの人達にとっては日常がやっと戻ってきた感じでしょうか。ワールドカップをきっかけに好きになった人達にとっては未知の世界かもしれません。未知の世界に足を踏み入れる人達がラグビー業界の日常をどう感じるかが日本ラグビー界のこれからに関わってくるかもしれません。

ラグビー業界にとってワールドカップの前に経験した大きな挑戦と言えばスーパーラグビー。オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなど南半球のラグビー大国が代表チームとは別のチームをいくつも結成して戦うリーグ戦で、日本も「サンウルブズ」と言うチームを立ち上げ戦いました。ただ、代表チームとは顔ぶれが大幅に違うためか勝ち星を伸ばせず苦戦続き。ついには次のシーズンをもって除外対象になってしまいました。ですが、最後のシーズンにはワールドカップで得たことを反映できるような戦いをしようと息巻いているそうです。単純な考えかもしれませんが、苦戦をしながらもラグビー大国の戦い方を体感できたからこそワールドカップであの成果を残せたのではないかとも思います。

そんなサンウルブズのような挑戦を競泳界がしようとしているのです。あまり大きく取り上げられていないので知らない方も多いかもしれませんが、この秋に「インターナショナルスイミングリーグ」という競泳の国際大会が誕生しました。アメリカやヨーロッパの主要都市を本拠地とするチームによる対抗戦を何度も行い、そこで得た総合成績を争うというものです。日本的に言えばインカレやインターハイの学校対抗、国体の都道府県対抗のようなものを数ヶ月の間に対戦相手を変えながら何度でもやるような感じです。その大会に2020年秋から行われる2年目のシーズンから東京を拠点とするチームとカナダのトロントを拠点とするチームが新たに参入することになり、東京チームの責任者を北島康介さんが務めることが22日に発表されました。その日まで行われた1シーズン目のチーム陣容を見てみると、オリンピックや世界水泳でメダルを獲得した経験のある各国のトップスイマーが拠点を置く国に関係なくそれぞれのチームに加わっています。日本からは瀬戸大也選手がパリに拠点を置くチームに参加し、21日の400m個人メドレーで短水路世界新をマークしていたりします。そうなると、詳しいことはまだ明らかになっていませんが、来年秋から加わる東京チームは日本代表チーム(通称トビウオジャパン)をそっくりそのまま送り込むものではなく、サンウルブズのような「(ラグビーでいう『日本代表になる資格がない』)外国人選手も加わる日本代表に準ずるチーム」になるかなと思っています。

YouTubeの公式チャンネルでレースをいくつか見ましたが、日本人選手が日本選手権やジャパンオープン以上にショーアップされた空間で世界の強豪と戦うことは2021年の福岡やその次の2023年の世界水泳や2024年のパリオリンピックに向けてプラスになるだろうと思っています。これまでだったら調整のために使っていた時間を手抜きなしのガチンコ勝負に使うことに体調不良やケガのリスクを感じる選手や指導者は少なくないでしょう。でも、短水路とはいえ何度も顔を合わせることで世界の壁を越えられるかもしれないと自信を間違いなくつけられると思うのです。だからこそ東京チームに期待を寄せたいと思っています。

1週休んで次回は1月10日に更新します。良いお年を。
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13日から15日にかけてフィギュアスケートの平昌五輪女子シングルの金メダリスト、ロシアのザギトワ選手の処遇をめぐる騒動が世界中のメディアの注目を集めました。フィギュアスケートの業界では大きな大会の結果をめぐって時々「場外乱闘」が起こりますが、今回の騒動も「場外乱闘」に似た雰囲気になっている気が。

私が言うフィギュアの「場外乱闘」というのは結果が悪かった選手の陣営(本人ではない)が勝者の演技に対する得点にケチを付け、勝者側の陣営(これも本人ではない)が正当性を訴えるというもので、2010年のバンクーバー五輪男子シングルで大技を繰り出し成功させたのに銀メダルに終わったプルシェンコ選手(ロシア)の陣営が大技を使わずに金メダルを獲得したライザチェク選手(アメリカ)を猛烈に批判したこととか、2014年のソチ五輪女子シングルで銀メダルだったキムヨナ選手(韓国)の点数が不当に低すぎると本人そっちのけで世論が大騒ぎしたことなどが当てはまると思っています。今回の騒動は明確な対決構造があるわけではないですが似た雰囲気があると思うんです。

ザギトワ選手は13日にロシアで放送されたテレビ番組で、世界選手権への代表選考になるロシアの国内選手権に出場せず競技活動を休止すると語ったのですが、その理由として「私は五輪や世界選手権で勝った。人生における全てのものを手にした」(スポニチ15日付)と説明したために「事実上の引退」と世界のメディアが報じてしまったのです。それを知ったザギトワ選手は15日になって本人のインスタグラムで「活動休止も引退するつもりもない」と釈明。しかし、ロシアフィギュア界の重鎮が「もう戻れる場所はない」とコメントするとまた騒然としてしまい、どこに着地するのかわからなくなってきました。その一方でプルシェンコさんが「休止は(今後の)コーチをはっきりさせるためでもあるだろう。別のコーチの下に行く可能性を排除しない」(スポーツ報知17日付)とザギトワ選手の陣営を批判しています。業界全体を巻き込む場外乱闘どころでない大乱闘になってしまいそうです。

フィギュア選手の活動休止は有力者であればあるほどメディアで大きく扱われます。日本人でも浅田真央さんや安藤美姫さんの活動休止、活動再開で大きくわきましたし、高橋大輔選手の休養、復帰断念というニュースが流れたときには残念ムードが漂ったものです。でも今回のザギトワ選手の場合は再開するにせよ復帰断念とするにせよ、ロシアは騒然とするかもしれません。

では、また次回です。
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東アジア選手権などの代表日程の関係もあってか、今年のJリーグアウォーズはJ1終了翌日の8日に発表されました。例年ならJ1とJ2の入れ替え戦が終わったあとに行われていますが今年は異例の早さです。

JリーグのカレンダーはJ1からJ3までのリーグがすべて終わり、その後J1とJ2の入れ替え戦も終わってシーズンが終わることになっています。それを受けてJ1からJ3各カテゴリーの優秀チーム・選手を表彰するJリーグアウォーズが行われることになっています。ただ、今年はまだ入れ替え戦の最中でJ2の上位どころは表彰対象になってもアウォーズに参加できない状況になってしまいました。クラブワールドカップや代表日程などJリーグや日本サッカー協会だけでは何ともできない、避けられようがない原因があるなら仕方がないかもしれません。でも、Jリーグなどが何とかできそうなことがあるのにこんなに早くなるのは少々納得できません。

心情的にも、すべて終わって来年への体制が固まったところでやってこそ1年を振り返りそして優秀な成績を残した選手やチームを祝福することがJリーグアウォーズだと思うんです。天皇杯が終わるのを待たなくてもいいので入れ替え戦が終わって落ち着いた16日から20日の間にやるのが今年はよかったのかもしれないと思うのは私だけでしょうか?

では、また次回です。
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NPBアウォーズが1126日に行われ、MVPや新人王など記者投票で決まる各賞が併せて発表されました。大方の予想通りの顔ぶれが受賞しましたが、「どうしてこの人に?」という投票があったことが話題になったとか。


夕刊フジのウェブサイトによると、ベストナインとセリーグMVPの投票で巨人の大竹寛投手にそれぞれ1票ずつ入っていたことを報道陣から聞かされ「どうして自分が?」と戸惑っていたとか。それ以前にもこういった投票があったそうです。プロはもちろん高校も社会人も女子野球もチェックしている大の野球好きとして知られる伊集院光さんがこの投票方式について「責任持って投票していることをファンがわかるような方法にするべきでは」とNPBアウォーズ翌日のラジオ番組でコメントしたのです。奇をてらったつもりはないとしても根拠を持って投票してこそMVPなどの賞の権威が保てるだろうと言う意味をこめているのかと思います。その方法として伊集院さんは投票詳細の開示を提案したのです。

投票詳細の開示は、中央競馬の馬のMVPというべき年度代表馬や世代・種目別の最優秀馬を決めるJRA賞の投票で行っています。各賞が発表されたその日にJRAのホームページでどこのメディアの誰がどの馬に投票したかを見ることができるようになっています。ただ、投票した人が開示をしたくないと申し出たらその人の投票内容は開示されないことになっています。同じメディアでも開示した人も開示しない人もいるようで、メディアで拘束するというわけでなく個人の意志に任せているようです。

権威を保つための方法なら、Jリーグアウォーズのベストイレブン、MVPのように当事者、つまり選手・監督に投票させる方法もあるかもしれません。Jリーグの場合、すべてのチームの監督と試合時間などの一定用件を満たした選手が投票権を持ち、記者には一切投票権がありません。現場にいる人たちの実感が反映されるためか、94年のペレイラさん(当時・読売ヴェルディ川崎)みたいに記者の予想を裏切る意外な人選で驚かれることもあります。プロ野球でも日本プロ野球選手会が選手会に加入する選手(選手会に入っていれば外国出身者でも投票できる)の投票で独自にMVPを決める取り組みがありますが、NPBアウォーズには反映されません。オールスターでも選手間投票で追加選出する制度があるので、記者投票60%と選手間投票40%という風な配分をつけた上での合計点で決めるという方法もありそうです。

誰もが納得できるような方法は難しいかもしれませんが、いろいろと検討する価値はあるかもしれません。では、また次回です。

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