中央競馬は6月下旬までGⅠが続き上半期のクライマックスと言える時期ですが、特に5月は重要な大レースが組まれます。そんな中で5月後半のGⅠの優勝争いを大きく左右するような出来事が5日に起きてしまいました。

2000m以上の距離適性がない3歳馬が目指すGⅠ・NHKマイルカップで、圧倒的な1番人気に推されたグランアレグリアに騎乗したクリストフ・ルメール騎手がゴール直前でほかの馬の進路を妨害したとして5着に降着となりました(実際は4番目でゴール)。ルメール騎手は3月にも同じような妨害行為をはたらいて2週間の騎乗停止処分を受けていたため、JRAの規定(加重制裁)により3週間の騎乗停止処分を受けることになりました。騎乗できない期間中にはGⅠの中でも特に重要と考えられているオークスと日本ダービーが行われ、ルメール騎手はいずれのレースでも有力馬に騎乗する予定があったため勢力図が変わるだろうかと気になっているファンが少なからずいるようです。

進路妨害による降着、失格は5年ほど前の制度改正で大幅に減っているようです。昭和の頃は他の誰かの進路を妨害したら即刻失格で着順繰り上げ、平成になれば被害を受けた馬の次の着順まで降着というというのが当たり前になっていました。しかし、現在のルールでは進路妨害を受けた馬がもし妨害を受けなかったら着順を逆転できただろうと判断されたところで、初めて進路妨害した馬が降着になります。4月の皐月賞ではトップでゴールしたルメール騎手騎乗のサートゥルナーリアが2番目にゴールしたヴェロックスの進路を妨害したのではないかと審議されましたが、ヴェロックスは進路妨害がなくても逆転できないと判断されたため降着なしとなりました。この判断が下ったとき会場は騒然としていたようです。

ルール改正で降着が減ったのを世界標準に追いついたと評価する人もいれば、世界的に高いといわれる日本競馬のフェアプレーに対する意識が低下してしまうのではないかと不安を口にする人もいます。ちょっとでもおかしな進路の取り方をする騎手がいたら会場にいる観客がざわつくことが今もあります。馬券的に自分の思い通りにならないことへの当てつけもあるかもしれませんが、まだこういう光景があるのは日本競馬のフェアプレー意識が高いことの証拠ではないでしょうか。

では、また次回です。
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