プロ野球もメジャーリーグも後半戦に突入し、都市対抗野球の全国大会がスタート、夏の甲子園の各地域代表もぼちぼち決まり始め、いつもより長いサッカーの季節が終わりいよいよ野球の季節が本格的に動き出しました。そんなさなか、世論を二分しかねない構想が浮かび上がりました。

来年のセンバツ高校野球を目安に、甲子園大会でもタイブレーク制度を導入することを日本高野連が検討に入ったというんです。このことが報じられると、スポーツ各紙では賛否両論が交わされるようになりました。賛成意見の根拠といえば、「選手の体力的な考慮をすれば当然のこと」というのが基本線にあるようです。一方、反対意見の根拠は「高校野球らしさが損なわれてしまう」「選手の努力を否定するようなもので到底受け入れられない」といった感じ。
考えてみると、タイブレークって、U-18世界選手権でもう使われているし、国内でも国体ですでに採用されているというんです。いわば、木のバットやDH制、ボールカウントと同じようにタイブレークもワールドスタンダードのひとつの形といえるでしょう。それにいち早く触れるためにも必要かもしれません。ただ、高校野球は「ハイスクールベースボール」でなくて日本独特の「KOKO YAKYU」なんだという考え方も一方にあります。たとえば、15回まで死力を尽くして戦い、決着ついても、決着つかず引き分け再試合になったとしてもお互いが肩を抱き合い健闘をたたえてスタンドの誰もが拍手する、そういうシーンに日本らしさを見出す人もいるようです。

そんな中、私はなるほどと思えるような意見を見つけました。報道された翌日のスポーツ報知に、国内野球やメジャーリーグを取材して40年以上という蛭間記者がタイブレーク制度を導入する代わりにこれまで高校野球で導入されなかったサスペンデッドゲームを採用したほうがいいと提案しているんです。これなら、引き分け再試合になったら15回+9回=24回やらなければいけない現行制度から考えると選手の体力消耗がある程度抑えられるでしょうし、タイブレークでこれまでの流れをリセットすることもないわけです。もっと言ってしまえば、選手たちの努力を否定することには通じないといえそうです。

ワールドスタンダードか伝統かという二者択一でまとめられる問題ではないでしょうが、誰もが納得できる落としどころを見出せることを祈ります。

それでは、また次回です。
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