13日から15日にかけてフィギュアスケートの平昌五輪女子シングルの金メダリスト、ロシアのザギトワ選手の処遇をめぐる騒動が世界中のメディアの注目を集めました。フィギュアスケートの業界では大きな大会の結果をめぐって時々「場外乱闘」が起こりますが、今回の騒動も「場外乱闘」に似た雰囲気になっている気が。

私が言うフィギュアの「場外乱闘」というのは結果が悪かった選手の陣営(本人ではない)が勝者の演技に対する得点にケチを付け、勝者側の陣営(これも本人ではない)が正当性を訴えるというもので、2010年のバンクーバー五輪男子シングルで大技を繰り出し成功させたのに銀メダルに終わったプルシェンコ選手(ロシア)の陣営が大技を使わずに金メダルを獲得したライザチェク選手(アメリカ)を猛烈に批判したこととか、2014年のソチ五輪女子シングルで銀メダルだったキムヨナ選手(韓国)の点数が不当に低すぎると本人そっちのけで世論が大騒ぎしたことなどが当てはまると思っています。今回の騒動は明確な対決構造があるわけではないですが似た雰囲気があると思うんです。

ザギトワ選手は13日にロシアで放送されたテレビ番組で、世界選手権への代表選考になるロシアの国内選手権に出場せず競技活動を休止すると語ったのですが、その理由として「私は五輪や世界選手権で勝った。人生における全てのものを手にした」(スポニチ15日付)と説明したために「事実上の引退」と世界のメディアが報じてしまったのです。それを知ったザギトワ選手は15日になって本人のインスタグラムで「活動休止も引退するつもりもない」と釈明。しかし、ロシアフィギュア界の重鎮が「もう戻れる場所はない」とコメントするとまた騒然としてしまい、どこに着地するのかわからなくなってきました。その一方でプルシェンコさんが「休止は(今後の)コーチをはっきりさせるためでもあるだろう。別のコーチの下に行く可能性を排除しない」(スポーツ報知17日付)とザギトワ選手の陣営を批判しています。業界全体を巻き込む場外乱闘どころでない大乱闘になってしまいそうです。

フィギュア選手の活動休止は有力者であればあるほどメディアで大きく扱われます。日本人でも浅田真央さんや安藤美姫さんの活動休止、活動再開で大きくわきましたし、高橋大輔選手の休養、復帰断念というニュースが流れたときには残念ムードが漂ったものです。でも今回のザギトワ選手の場合は再開するにせよ復帰断念とするにせよ、ロシアは騒然とするかもしれません。

では、また次回です。
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