12日に競泳の池江璃花子選手が白血病で闘病していることを本人のツイッターで公表したのを受け、日本全国を巻き込む大騒ぎになりました。「世界と対等に渡り合い勢い盛んな選手が突然こんな病に…そりゃぁもう大騒ぎさ!」といってしまえばそれまでかもしれません。ただ、その騒ぎ方が最近にないものになっているのが気になります。

白血病だということが明らかになった途端に骨髄バンクに登録するにはどうすればいいかという問い合わせや献血希望者が殺到しているとか。その一方で「支援を」とコメントしたタレントさんを「芸能人の傲慢」と糾弾する人が現れたり「これは試練かもしれない」と語ったキャスターに対して「あまりに軽率」という批判がネット上でザワついていたりするそうです。アンチがいない上に物凄い訴求力をもつ人が病床に伏せるようなことがあるとその病気についての興味が増してくるのは自然なことでしょう。でも、ただただ見守っているよりも何とかしてあげたいという気持ちにまでなる人がたくさん現れるようなケースは記憶にありません。

世界中の水泳業界関係者への衝撃も半端なかったようです。「ライバルが1人消えた。これはチャンスだ、シメシメ…」という下心は国内外の業界関係者に多少なりあるかもしれません。ただ、下心を忘れてしまうくらいの衝撃があったから「病気に打ち勝ってまたプールに帰ってこい」というメッセージの方が伝わってくるのだろうと思います。当事者がそういう思いに駆られている中、連続ドラマを見る感覚で競技を見ている身としては池江不在で自由形短距離やバタフライの勢力図がどう変わるか考えてしまうところですが、そういう行動が不謹慎に思われやしないか不安になってきました。

情報番組のコメンテーターとしても知られる内科医のおおたわ史絵さんは13日の「5時に夢中」(MXなど)で「一言に白血病と言っても種類がたくさんある。具体的な病状が公表されていない限り、池江選手の症状がどんなもので、どんな治療法があって、どれくらいの期間で復帰できるか、断定的なことは言えない。今は池江選手本人や周辺の人達が治療に専念するための環境を壊さないようにすることが重要。入院先を探ってパパラッチのように突撃取材することなど、あってはならない」とコメントしていました。積極的な支援ができないならこれくらいの配慮が妥当なのかなとも思っています。とにかく回復を望んでいることには変わりありません。

では、また次回です。
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