横綱白鵬が3月の大阪場所千秋楽での優勝インタビューで三本締めを観客に促したのが大きな問題となりましたが、24日の理事会で本人にけん責、師匠の宮城野親方に減俸3か月の処分が下されました。「平成最後の場所で優勝したので喜びのあまりにやってしまった」という白鵬の釈明も理解できますが、段取り無視が問題視されたというわけです。

NHKのテレビ中継は千秋楽でも原則として午後6時で終了しますが、その時点では優勝者への表彰の途中、進行が早ければ三賞受賞者への表彰が始まる頃。幕内の優勝決定戦があった場合は表彰式冒頭の国歌斉唱で午後6時を過ぎていることもたまにありますが、その場合は賜杯拝戴(授与)と総理大臣杯授与、優勝インタビューが終わるまで放送時間を延長します。一方、高校野球の甲子園大会決勝は閉会式(表彰式)終了まで放送するのが基本です。高校野球の閉会式は高野連会長と大会会長(主催者代表)のあいさつ、優勝旗などの授与(センバツの場合は優勝旗・優勝杯・準優勝旗、夏の場合は優勝旗・優勝盾・準優勝盾)、メダルの授与、会場一周で終わるので極端に放送時間が長くなることはありません。

高校野球の決勝と同じように大相撲千秋楽を中継する場合、放送時間をかなり延長させないといけません。放送時間を延長した分に何が見られるかといえば、三賞受賞者への表彰と閉会式にあたる「神送りの儀式」です。まず、その場所で初土俵を踏んだ力士に行司が神酒を与え、同席した親方や呼び出し、館内に残った観客とともに新人の激励のために三本締めを行います。その後、御幣を持った行司を新人力士が胴上げし、開幕前日の土俵祭で立行司が埋めた捧げものを掘り起こして「閉会式」は終わります。稀に午後6時前にこの「閉会式」が行われることがあってNHKのテレビ中継でみることができましたが、三本締めのところで時間切れになったと記憶しています。もし高校野球のように最後の「神送りの儀式」まで放送するのが通例となっていれば、白鵬の行為が問題視されることに違和感を持つことはなかったのでしょうか? そういう疑問も感じます。

では、また次回です。
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