ヨーロッパではコロナ禍をきっかけにサッカーの「スーパーリーグ構想」がふってわき大騒ぎになっています。何せ、国の首脳が言及したというんです。

スペインのレアルマドリードの代表が「フットボール界全体のためのクオリティーの向上や、さらなる財源の獲得」のためにやろうと提案したというヨーロッパスーパーリーグ。しかし、金儲け優先主義の運営方法に対する批判の声がヨーロッパ中から飛び交い、ヨーロッパのスポーツマスコミもその様子を大きく取り上げました。ヨーロッパサッカーの総取締であるUEFAも反対を表明。それどころでなく、イギリスのジョンソン首相やイングランドサッカー協会の名誉総裁を務めるウイリアム王子まで反対声明を示したとか。

日本で当てはめるなら大相撲の一代年寄制度の再検討に反対する声明を菅総理が出すような感覚でしょうか。総理大臣や皇族方が日本人アスリートへの励ましや賞賛の言葉を贈ることはよくありますが、特定の組織の運営に対して批判的な言葉を発することはそうそうありません。相撲協会の八百長・違法野球賭博問題、いくつかの競技団体のパワハラと犯罪の一歩手前まで及ぶような問題については別ですが。

ドイツとフランスのチームは「百害あって一利なし」と全く興味を示さず、イタリアのチームも参加には及び腰。イギリスではジョンソン首相やウイリアム王子の声明をきっかけにして参入に前向きだったチームが一転して消極的な態度をとるようになりました。UEFAが「スーパーリーグに参入したら国内リーグに参加する権利をはく奪する」という手段を企てこともあり、レアルが考えたスーパーリーグ構想はほぼ崩壊してしまいそうな感じでしょうか。

利益第一主義と思われがちなアメリカの4大プロスポーツでも共存共栄の意識はあって、MLBで採用されているサラリーキャップ(ぜいたく税)のように金にモノを言わせて有能な選手を集めるのを防ぎ、戦力や資金力の均衡を保つ努力もしています。レアルが掲げた構想にはそういう考えが希薄だったのかもしれません。多くの国を巻き込み、権力者も興味を示す事態になったスーパーリーグ構想。ヨーロッパでのサッカーの存在の大きさをいい意味でも悪い意味でもいみじく感じる問題だったかもしれません。

では、また次回です。
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