前線が西日本に居座り雨が降り続いている影響で開催日程がかなり狂っている第103回全国高校野球選手権(夏の甲子園)。4試合日を予定よりも増やして大会を進行させようと運営側も躍起になっているようです。また、変異株の流行で新型コロナウイルスの猛威が強まっている中、今回限定の大会規定に抵触して事実上の失格になった学校や失格の要件を満たしていなくても学校側の判断で出場を辞退する学校が現れおり、今までにない大会になっています。

豪雨に振り回されている103回目の夏の甲子園。こうなった原因の一つに高校野球独自のルールもあるのではないでしょうか。それはコールドゲームを宣告できるイニングです。NPBでもメジャーリーグでも5回が終わっていれば試合は成立して、6回以降に雨や風が激しくなって試合続行不能と審判団が判断すればコールドゲームになって勝ち負けが付きます(同点なら引き分け)。そして打点やホームラン、奪三振などの個人記録も残ります。しかし、高校野球の場合は7回まで終わらないとコールドゲームを宣告できないんです。ですから、5回終わって激しい雨が降ったら試合不成立で得点も個人記録もご破算。試合も振出しに戻ってしまいます。中等野球時代の昭和初期には一時5回で成立する通常ルールを適用していたこともあったようですが、現在は7回成立の方をとっています。12日にあった明桜(秋田)-帯広農業(北北海道)は4回、19日の近江(滋賀)-日大東北(福島)は5回でノーゲームになりましたが、近江-日大東北は後攻の近江がリードして5回表が終わっていたので、NPBなどの通常ルール通りで行けば試合は成立して近江の勝ちになっていました。もしかしたら、明桜-帯広農業も5回で成立のルールが適用されていたらもう少し我慢して5回まで終わらせようと審判団が考えたかもしれません。

17日の大阪桐蔭(大阪)-東海大菅生(西東京)のコールド決着を受け、ある著名人が「コールドゲームは教育の一環と考える高校野球の理念に矛盾する。9回まで絶対に試合ができるようにするためには翌日以降(天候が回復した時点で)サスペンデッドにすべき」という意見を述べたそうです。理解はできます。ただ、今回は関係者とマスコミしか会場に入れていませんが、通常の大会は興行の側面もありますし、新学期までの期間を考えると試合をどんどん消化させないといけない事情もあります。そう考えると努力を踏みにじることになってしまうとしても、大会を少しでも早く進めることが大事になるでしょう。そのためにも、試合成立は7回でなくてプロ野球や大学野球同様5回でいいのではと思ってしまいます。では、また次回です。
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