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3日に亡くなったボクシングの元世界ヘビー級チャンピオン、モハメド・アリさんを追悼する企画として12日、テレビ朝日でアントニオ猪木さんとの異種格闘技戦を検証するドキュメントが放送されました。

「東洋人とやってみたい、誰が相手でもいいから」というアリの言葉に猪木が応じて実現したという異種格闘技戦。猪木の挑戦決定から試合までの3か月、アリは猪木にあらゆる言葉で挑発し続けますが猪木は「リングでお返しします」と沈黙を続ける。「アリの要求をすべて飲んだのはアリと試合をしたいから」と謙虚にも見える発言もしていました。そんな中で1976年6月26日、1万4000人以上の観客を武道館に集めての試合になりました。

猪木が異種格闘技戦をやったのはこの時が初めてではありませんが、たくさんのお金と人がかかる大掛かりな試合だったからか、ルールがコロコロ変わり当時テレビ朝日の中継で実況を担当したアナウンサーは困っていたそうです。「一気にフォールに持ち込みたい」「一気にKOに仕留めたい」という言葉でこの混乱ぶりを感じます。試合はプロレス技がほとんど反則になってしまうようなルールを生かして猪木が寝ころんだ状態から突き上げるようなキックでアリの脚を攻め、アリは猪木のキックをもらっても「ダメージはない」とおなじみのステップを見せるという展開。アリは普段のボクシングの試合で使うものの半分の薄さというグローブを使っていたため、1発でもパンチをもらうと猪木のダメージはものすごいものでした。逆に猪木は試合中盤に攻撃の流れの中でアリにひじうちを入れましたが、この時のアリのダメージもかなりのものだったようです。ただ、ひじうちがアリに当たったのはラウンド終了間際だったためダウンには至らず。猪木のひじうちのタイミングが早ければ、アリをKOしてもおかしくなかったと番組では分析されていました。普通ならキックを3分15ラウンドすなわち45分も受け続けることは無理といわれる中、アリはキックを受け続けてしまったのです。しかも、「猪木は女だ! 男なら立て!(女々しいぞ!という意味でしょうか?)」「かかってこい!」と挑発を続けてです。当時は猪木がアリ戦の前哨戦として行った初の異種格闘技戦で柔道の五輪金メダリストをアルゼンチンバックブリーカーやバックドロップで豪快に投げ飛ばして仕留めた展開を期待していたか、動きの少ない展開にものすごいブーイングが起きたようですが、両選手は精根尽き果てたようで復帰まで何か月もかかるようなけがを負ってしまったようです。

放送を見ていて、「アリがどうにか逃げ切り負けずに済んだ」試合だったのかなと感じました。予告していた8ラウンド以内にKOできず、「猪木のリングシューズにテープを巻き付けろ」なんて言ってイラついたのに最後までやりつくした精神力というのはすごいものだと思いました。その翌日、45分もキックを受け続けたアリのような人、見つけました。お金の使い方を問いただされているあの人です。あのひと、アリのように逃げ切ることができるのでしょうか?

では、また次回です。
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